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将棋のニュースに刺激を受けて

2020-10-03 11:12:29 | 日記
 織田作之助の「聴雨」を初めて読んだのは、もう何年も前です。「聴雨」は、昭和12年の坂田三吉と木村八段の対局を描いた作品です。昨今は、藤井二冠の活躍がニュースになっていて、将棋を題材にした「聴雨」を再度読んでみました。

 坂田三吉は、名人の呼び名ながら、長い間世間に現れませんでした。長い沈黙を破って、昭和12年に木村八段と対局することになります。伝説の名人の対局に世間は大いに注目します。「聴雨」を読むと、当時の人々の熱狂や興奮を共感します。

 坂田三吉は、家族を路頭に迷わせながら、強い将棋を目指しました。読める字は駒に書かれた字と自分の名前くらいという、将棋だけを追い求めた人生でした。

 対する木村八段は、近代将棋の使い手です。近代将棋とは、「聴雨」によると、棋譜を研究し、早い戦法を特徴とします。
 勝つのは、古い将棋か、新しい将棋なのか。坂田は奇襲を得意とするのですが、一体いかなる奇手を繰り出すのか。勝負の行方を期待をもって、読み進めることになります。

 「聴雨」の舞台は、2月の南禅寺です。南禅寺は山が近く、緑が多い景色にあります。自然、静寂、寒さ、南禅寺の落ち着いた雰囲気。一局に人生をぶつける坂田。何手も指した手の中の立った一手が勝敗を決めてしまう将棋の残酷さ。

 私も将棋の駒の進め方は知っています。しかし、全くのへぼ将棋で、私に負ける人はこの世にいないのではないかと言うほどです。将棋については、面白さが理解できませんし、興味も皆無です。しかし、「聴雨」では、しっかり将棋を楽しみました。

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