事務所を作った当初は、お客さんはほぼいませんでした。事務所には
毎日出勤していましたが、誰も来ませんし、電話もかかってきません
でした。事務所は毎日静寂に包まれていました。あれから随分経ち、
状況も変わったのですが、時折、誰も来ず、電話もない日があります。
先日もそのような日がありました。外は雨がしとしとと降っていました。
事務所も外も静寂でした。ふと頭の中で「静かな雨 並木の雨」という
歌が響きました。「小雨降る径」です。雨が降り、恋人のことを思い、
恋人に会いたい気持ちを募らせる歌です。
この歌には、原曲があります。「Il pleut sur la route(道に雨が降る)」と
いうフランス語のシャンソンです。道に雨が降る、恋人は来ないのか、いや
今宵来る、やはり来ないのかと言うような歌です。恋人に会いたい気持ちを
歌う点では、小雨降る径も原曲も同じです。ただ、小雨降る径は、雨でしんみり
した感情を全面に出すのに対し、原曲は雨が妨げで恋人は来ないのではないかと
気に病む歌になっています。雨の使い方が、違います。日本の古典では、武人も
恋に涙するくらいで、小雨降る径は、日本人の湿った感情に合った歌になって
います。
さて、頭の中には小雨降る径がかかったのですが、雨の日だから誰も来ないのだ
とも思って、Il pleut sur la route(イル プリュ シュル ラ ルート)の歌詞も
頭の中を巡りました。ただ、事務所の生活は、これらの歌の世界とは異質です。
事務所に人が訪れるか否かは仕事があるか否かの象徴です。そもそも、法律事務所に
ふらっと訪れて頼みごとをする人など皆無なので、雨が降ったから人が来ないと
言うものでもありません。事務所で過ごす時は、降る雨に恋焦がれたり、恋人が
来ないのか悩んだりする時間ではありません。
しかし、関係なさすぎて新鮮な気持ちになるからなのか、現実逃避をしたいから
なのか、頭をめぐる甘美な曲が、落ち着いた気持ちにさせてくれました。
毎日出勤していましたが、誰も来ませんし、電話もかかってきません
でした。事務所は毎日静寂に包まれていました。あれから随分経ち、
状況も変わったのですが、時折、誰も来ず、電話もない日があります。
先日もそのような日がありました。外は雨がしとしとと降っていました。
事務所も外も静寂でした。ふと頭の中で「静かな雨 並木の雨」という
歌が響きました。「小雨降る径」です。雨が降り、恋人のことを思い、
恋人に会いたい気持ちを募らせる歌です。
この歌には、原曲があります。「Il pleut sur la route(道に雨が降る)」と
いうフランス語のシャンソンです。道に雨が降る、恋人は来ないのか、いや
今宵来る、やはり来ないのかと言うような歌です。恋人に会いたい気持ちを
歌う点では、小雨降る径も原曲も同じです。ただ、小雨降る径は、雨でしんみり
した感情を全面に出すのに対し、原曲は雨が妨げで恋人は来ないのではないかと
気に病む歌になっています。雨の使い方が、違います。日本の古典では、武人も
恋に涙するくらいで、小雨降る径は、日本人の湿った感情に合った歌になって
います。
さて、頭の中には小雨降る径がかかったのですが、雨の日だから誰も来ないのだ
とも思って、Il pleut sur la route(イル プリュ シュル ラ ルート)の歌詞も
頭の中を巡りました。ただ、事務所の生活は、これらの歌の世界とは異質です。
事務所に人が訪れるか否かは仕事があるか否かの象徴です。そもそも、法律事務所に
ふらっと訪れて頼みごとをする人など皆無なので、雨が降ったから人が来ないと
言うものでもありません。事務所で過ごす時は、降る雨に恋焦がれたり、恋人が
来ないのか悩んだりする時間ではありません。
しかし、関係なさすぎて新鮮な気持ちになるからなのか、現実逃避をしたいから
なのか、頭をめぐる甘美な曲が、落ち着いた気持ちにさせてくれました。