久々の中華街

　横浜の中華街は、職場から歩いて１０分と少しのところにあります。
コロナ前は時折中華街に行っていました。廣東料理の同發でお持ち帰りの
脆肉焼肉などを買っていました。脆肉焼肉は、豚肉を焼いたものですが、
皮がパリパリで食べるとサクッとなるのが特徴です。そして、同發の道を
挟んだ向かいにある源豊行で老酒やら中華料理の調味料を買っていました。
　
　しかし、去年新型コロナウイルスが蔓延してからは、行くことがなく
なりました。中華街は人が多いので、混雑したところに行きたくなかった
のです。

　オミクロン株が出現し、コロナウイルスの再度の蔓延も危惧されるところですが、
一応は感染者数が落ち着いているので、久々に中華街に行きました。

　中華街は大混雑でした。人出が少ないという話も聞いたことはありますが、すっかり
人出は戻ったようです。行った日がクリスマスで、デートの若いアベック(死語)が加わり、
一層混雑でした。歩きづらいほどでした。

　同發は健在で何よりでした。無事目当ての脆肉焼肉が買えました。さて、向かいの源豊行で
老酒を買おうと思うのですが、店がなくなっていました。スマホで調べると、店が移動して
いました。スマホで地図を出して、源豊行を目指しました。

　実は中華街は長年通っている割には、全く地理感がありません。行く店が同發と源豊行だけだ
からです。おまけに、中華街は道がよくわからないと言われています。地図を見ればすぐ気づくの
ですが、中華街は周囲とは異質な地域です。関内とその周辺は基本的には海岸線に垂直な道と水平な
道によって道が碁盤上に走っています。しかし、中華街は碁盤の中に斜めに広がる街なのです。
中華街の地域は、幕末までは田んぼが広がっていて、そこに街を建設したということです。田んぼの
区画を無視して都市計画をしたのではなく、あぜ道に従がって道を作ったということで、斜めの街が
できました。他の部分の碁盤目の感覚でこちらにいけばきっとどこそこに着くだろうと思って
歩くと、方向感覚が狂っているので、思った場所に着きません。スマホの地図は見ていましたが、
それでも方向がよくわかりませんでした。

　中華街を一周してようやく源豊行に着きました。脆肉焼肉に合わせる老酒は買えました。
　
　中華街の復活した賑わいを肌で感じつつ、田んぼにできた中華街の街の成り立ちに翻弄された
久々の中華街でした。

幻の年末生活

　年末は、毎年、東京のサントリーホールで
ジルベスターコンサートが行われます。ウイーンにある、フォルクスオーパーヴィーン
という劇場のオーケストラと所属の歌手によるコンサートです。
ヨハンシュトラウスの曲やオペレッタが演奏され、聴衆は、楽しい音楽を
聴きながら年を越します。

　行ったり行かなかったりしていましたが、今年は、１０月にチケットを
買いました。今年は、テノールのメルツァード・モンタゼーリが出演します。
２００５年に買ったシカゴの女公爵のＤＶＤに主役のシャンドール・ボリス役で
出ていました。力強い声で、大のお気に入り歌手になりました。そのモンタゼーリの
声が聴けるとは、大いに期待が膨らみます。

　シャンドール・ボリスは、「メアリーとちょっとフォックストロットを踊って、
カクテルとシェリーがあれば理想的」と歌うのですが、モンタゼーリの歌を聴いて、
バーで酒を飲めたら理想的です。年越し後に公演が終了するいつもならバーも
閉まっていますが、今年のコンサートはマチネー（昼間の公演）です。公演後も
理想的な時間が楽しめそうです。

　去年もジルベスターコンサートのチケットを持っていましたが、新型コロナウイルスの
せいで中止でした。しかし、日本国内では新型コロナウイルスが落ち着いています。
今年はコンサートは大丈夫そうでした。

　ところが、１１月にオミクロン株が確認されます。その後、日本は外国人の入国を
原則禁止します。コンサートはあるのかと不安になりました。それでも中止の知らせは
ありません。「随分早めやけど１１月中にもう入国してるんやで、きっと」とさえ
思いました。しかし、そのようなはずもなく、数日前中止の知らせが来ました。

　明るい年末の生活を思い描いていたので、残念であり、落胆にも似た気持ちです。
演者も、日本で公演できず、悔しい気持ちでいることでしょう。我慢の言葉は、
誰か彼なしに突きつけられています。

　新型コロナウイルス蔓延下でも、仕事は普通にできました。コロナウイルスに魅入られたけれども、
今は無事に生きています。それだけでも感謝しないといけないのはわかっていますが、
人間ができていないので、昔の生活を懐かしんでしまいます。