ユーニッヒ

仕事の話もたまには書くかもしれません。

オペラへ行く

2023-10-09 14:36:26 | 日記
 新型コロナ流行後初の海外公演として、ローマ歌劇場が来日公演を行いました。その初日
の「トスカ」を見にいきました。

 この公演では、歌姫トスカの恋人であるカヴァラドッシをテナーのヴィット―リオ・
グリゴーロ氏が演じました。グリゴーロ氏は、去年、アリアのコンサートで来日し、
魅力的な歌を聴かせてくれました。彼の歌を演技付きで聴けることを楽しみにして
いました。この期待はそのとおりでした。また、トスカもスカルピアも歌も演技も
素晴らしく、感動的な舞台を体験できました。

 ところで、オペラを観るだけならDVDでも楽しめるのですが、舞台は格別です。
会場が暗くなると、オーケストラからどのような音が出るのか、幕が開くとどのような
光景が広がるのか、心地良い緊張感があります。最初の音が鳴ると、一瞬にして
オペラの世界に引き込まれます。幕が開き、舞台の空間あるいは空気感が伝わります。
歌もオーケストラも音に透明感があります。DVDの映像は、映画と同様に、その場面の
主たる人物に焦点を合わせ、時には表情のみを捉えます。映像としての迫力はあります。
しかし、オペラは舞台上の全景、舞台に立つ全ての演者から成り立っています。劇場では、
全体の調和を感じられます。そして劇場でのみ感じれます。カーテンコールでは、聴衆は
拍手で、感動を演者に伝え、演者は何度も幕から出てそれに答えます。その日の舞台の感動を確かめるような時間を過ごせます。

 2020年の新型コロナウイルスの流行以来、人の集まる催し物に行く機会が少なくなってしまい
ました。オペラに行ってみて、その場に出かけて直接その場の時間を体験することのよさを再認識
しました。何となくコロナ禍は明けたような雰囲気がありますが、実は新型コロナウイルスは流行
しているようです。芸術に直接触れることの難しかったこの3年が再来しないことを祈るより他
ありません。