ユーニッヒ

仕事の話もたまには書くかもしれません。

福島県産の桃

2022-08-15 16:39:57 | 日記
 福島の桃がスーパーの店頭に並んでいました。我が家は福島の出ですし、福島の応援と
言う意味もあり、福島産の桃を買いました。

 福島で桃が生産されているのは前から知っていますが、桃の生産地としてまず思い
浮かべるのは岡山です。小学校の地理でそう習ったように思います。今では知らない人も
多いとは思いますが、昔大人気だった漫才師B&Bが広島対岡山という漫才で「岡山は
桃やて」と言っていました(広島のもみじ饅頭の方が格好いいというわけです)。
知識が古くなることの典型的な話で、岡山が生産量日本一であったのは昔のことで、
今や5位です。当の福島は2位で、岡山を生産量で超えていました。

 福島で桃の生産が盛んになったきっかけは、桑畑の転用に始まります。同地は養蚕が
盛んで、蚕の餌になる桑が栽培されていました。養蚕業が不振になり、桑が果樹に
替えられていったとのことです。我が家は明治期までは福島で生糸を商っていました。
生糸の商いをやめたのと福島の養蚕業の衰退とは時期が違っていて関係ありません。
しかし、桑畑にお世話になった我が家と、桑畑があったから生産されることになった
桃とは、桑を介してつながっています。

 もう随分前のことですが、父が運転する車で福島のフルーツラインを通ったことがあります。
季節は夏で、桃の販売所が道沿いにありました。桃は輸送の都合で木で熟したものは市場に
出回らないが、地元の販売所なら木で熟した桃が買えると言う話でした。車を止めてもらって、
一人販売所へ行きました。その当時50代くらいの男性が何やら説明をしてくれました。しかし、
その男性の話す福島弁が全く聴き取れず、一語たりとも理解できませんでした。私は関西生まれで
福島弁は話せません。急いで福島出身の父を呼んできました。さすが地元の人間同士、問題なく
会話が成り立っていました。その後、時折、父は、あのときお前は聴き取れなかったんだよな、
と嬉しそうに話していました。

 買った福島産の桃はあかつきという品種でした。桃は好きな果実で他の産地の物も買うのですが、
なかなかいいものに当たりません。しかし、買った福島産は、甘味十分で、芳香も強いものでした。
甘さと香りの向こうに、先祖の商売やら、福島弁が聴き取れず困った旅の思い出やらが浮かんで
いました。