ユーニッヒ

仕事の話もたまには書くかもしれません。

忘れえぬ入試問題

2021-10-09 15:42:19 | 日記
 私は、かつて中学受験をする受験生でした。記憶から離れない中学入試の問題が
あります。それは、一校目に受けたある有名中学で出された問題です。科目は算数でした。
天秤棒の釣り合いの問題が出たのです。その天秤棒は、左が小さく、右へ行くほど徐々に
大きくなり、正面から見ると台形になっていました。台形上には目盛りが振られていて、
釣り合いの位置を問うていました。問題を見た途端、大きな衝撃を受けました。「こんな
問題はこれまで解いたことがない。全くわからない」。

 塾には5年生から通い始めました。平日は週2回だったか3回だったか授業に出、日曜日は
模擬試験に解説授業を受けました。塾のない日も受験勉強です。あれだけ勉強したのに、まだ
知らない問題があり、それが本番の入試に出ました。予想外の展開に、そして一点でも多く
取りたいと思いながら、絶対に得点できない問題が出てきて、心が乱されました。

 中学校は3校受け、多くの問題を解いたはずですが、余程の衝撃からか、あの天秤問題だけが
記憶に残りました。以来、時折、問題用紙に出ていた天秤棒の絵が頭に浮かびます。

 しかし、変形天秤棒の問題は、二度と私の前には現れませんでした。中学でも、高校でも、
変形した天秤棒の釣り合いの問題を解くことはありませんでした。したがって、解法は知らない
ままで、あの問題は、私の人生では謎と言うべきものでした。

 先日、変形した天秤棒と錘を組み合わせた釣り合いの問題を解く機会がありました。重心を
求める式と方程式を使ったら、あっさり解けました。入試の問題は詳細まで覚えていないので、
今回解いた問題が同じものか否かまではわかりません。また、今回使った手法は、小学生の使える
ものではないので、あの問題の本当の解き方は今も謎です。しかし、変形天秤棒の問題が解けたと
言うことで、大げさに言えば、人生で未解決だった問題がようやく解けたと言う気分になりました。

 ところで、中学受験は全部落ちてしまいました。結果がよければ、それに向けた努力がいかに
辛かろうともいい思い出になるとはよく言われることです。しかし、私の中学受験に関しては、
中学受験の辛さが、今も心に残ります。中学受験における人生の謎は解けましたが、全滅の事実は
消えない以上、中学受験の緊張感の記憶はこれからも残り続けるでしょう。