ユーニッヒ

仕事の話もたまには書くかもしれません。

ライチを見ていたら

2021-06-19 11:28:43 | 日記
 ライチが店頭に並びました。毎年今頃出てきて、短い期間で店頭
から消えます。ライチの宣伝文句は、かの楊貴妃が好んだ果物というものです。ごつごつした皮を
剥くと乳白色の実が現れます。他にはない独特の香気を放ち、甘さと酸味があります。ライチは
楊貴妃の言葉が似あう果実です。

 宣伝文句は意図していないのでしょうが、楊貴妃が好んだという言葉に、楊貴妃の贅沢さが真っ先に
頭に浮かびます。ライチは、熱帯から亜熱帯に生息します。ライチは、何百キロも運ばれて、長安の
楊貴妃に届いていたのです。今に比べれば輸送力に乏しい当時に、生のライチを長安で食べることは、
大変な贅沢だったはずです。

 ライチを見ていたら、贅沢な生活を送った楊貴妃のことが妙に気になりました。楊貴妃はどのような人
なのか。中学時代に買った漢文学習用の漢詩集に載っていたものの長すぎて読まず仕舞いになり、長年
気になっていた長恨歌を読みたくなりました。

 長恨歌は、白楽天が作った詩で、唐の皇帝玄宗とその寵愛を受けた楊貴妃の物語です。玄宗は、楊貴妃を
寵愛する余り、政治を顧みなくなります。二人の生活は、優美で、楽しかったのですが、玄宗のその態度が
もとで安禄山の乱が起きます、二人は長安を逃げ出しますが、逃亡の途上で楊貴妃は死んでしまいます。
以来玄宗は楊貴妃のことを思い続けて悄然とする日々を過ごします。楊貴妃は、仙女に生まれ変わりますが、
なおも玄宗のことを思い続けます。

 長恨歌では、楊貴妃が不慮の死を遂げたことを匂わせていますが、史実では楊貴妃は、国の乱れの原因
として、逃亡途上殺されてしまいます。しかし、楊貴妃が政治を壟断したというのではなく、玄宗が寵愛
して政治を疎んじただけです。ライチを長安に運んだのも、玄宗の寵愛の証でした。

 楊貴妃が好んだライチと言う言葉に、楊貴妃の哀れな最期と死後もなお変わらぬ思いを抱き続ける玄宗と
楊貴妃の物語が思い浮かぶようになりました。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿