ユーニッヒ

仕事の話もたまには書くかもしれません。

東海道中膝栗毛

2020-07-25 12:12:21 | 日記
 作品名と作者は知っているものの、読んだことのない小説というものがあります。十返舎一九の東海道中膝栗毛は、その一つです。この作品は、書名と作者名だけではなく、内容も有名です。弥次さん、喜多さんの珍道中と言う内容を誰もが知っています。すべてを知ったような気がして、読むと言う発想がなかったのですが、ふと読む気になり、何年かかけて、このたびようやく読み終えました。

 二人は江戸を立ち、お伊勢さんを目指します。お伊勢さんの後は、京、大坂を遊山します。各地で、二人で冗談を言いながら、そしてその冗談が発端となってちょっとした騒動を起こしながら旅が続きます。

 この作品の特徴は、会話文が地の文よりも多いことです。地の文で、物語の背景を語ることもありますが、登場人物に語らせることでその場の情景も雰囲気も伝えます。ほぼ会話だけと言ってもいい書き方で、読み手には映像が浮かびます。

 今でも旅番組では、食事の場面がよく出ますが、この作品でも、よく食べる場面が出てきます。旅先で、その地の物を食べるのは、旅の楽しみです。食べる際には、昼間でも、酒を飲みます。今でも、特急列車で旅行する人が、朝からビールを飲んでいることがあります。私も普段は酒は夜にしか飲みませんが、旅先で暑いさなか、駅で列車を待つ間、真昼なのにビールを飲んだことがあります。酒は、いつの時代も旅の楽しみというところでしょうか。

 ギャグには、時折糞尿に絡んだものが出てきます。この手のギャグを大人が楽しむことは、今ではありません。いい大人が糞尿で笑っているところに、江戸の時代の人の、今とは違ったギャグセンスを感じます。

 この作品の大いなる主題は、二人が旅先で会う人たちの間で起こす騒動です。実際の旅でも、旅先で、名前も知らない、ほんのわずかな間接触するだけの、多くの人に出会います。見知らぬ人とほんの一瞬会うことも、旅気分を作り出します。弥次、喜多の旅先の人との関係は、現実社会での出会いよりも濃密ですが、滑稽な騒動話を読みつつ、旅気分に浸れるところも、この作品の面白みです。


リモート会議初参加

2020-07-04 12:42:06 | 日記
リモート会議に先日参加しました。消費者庁では、消費者契約法の改正に関する会議が行われています。その中の一回について、私が傍聴し、会議の様子を伝える役目が弁護士会から振られました。本来は、東京にある会議室に委員が集められ、私は傍聴人用の席に座って会議の様子をメモすることになっていました。しかし、コロナウイルス感染拡大防止のために、会議自体がリモート会議になり、パソコンを通じて傍聴することになりました。

 パソコンには、発言をしている委員だけの姿が映し出されます。みなさん思い思いの服装でした。背景は、職場であったり、自宅のどこかの一室だったりします。会議室で会議が行われれば、見ることのない光景です。テレビ番組のコメンテーターがリモート出演している様子をさんざん見たせいか、大いなる違和感と言うのはありませんでした。

 この手の会議の傍聴は、今回が初めてではなく、過去には会議室で会議が行われて現場に行ったこともあります。今回はリモート会議ですが、会議室に集まって会議が行われているのと全く変わりなく、議論が進みました。現場に集まっても、リモート会議でも、会議として差がありません。

 私は、職場のパソコンで傍聴しました。本来の会議室よりも、はるかに自宅から近い職場で傍聴できること、終了後、職場に戻る手間がないことに、相当な便利さを感じました。委員は、全国にいるので、東京に来なくて済んだことは、助かったことでしょう。話題になっている資料が画面に映し出されるので、どこの話をしているのかと資料をさまようこともありませんでした。
 
 会議室では、ノートに硬質の下敷きを入れて膝の上でメモを取ります。自分で書きながら判読不明な字が出るのですが、今度は職場の机の上にメモ用紙を置いて安定した状態でメモが取れるので、字の判読性が高まるものと期待しました。しかし、判読不明な字が出現しました。焦って書けば、どこで書いても同じです。判読性には、リモート会議の恩恵は至らずでした。