共通一次から年月を経て

　共通試験が始まりました。私のころは共通一次と呼ばれていました。
名前が違いますが、共通一次は国公立大の受験生のみが受けるもので、
制度も違います。私は、この共通一次を、現役、１浪、２浪と３回も
受けてしまいました。

　最後の共通一次の試験会場は、相鉄の鶴ヶ峰駅を降りて水道道と言う名の
道を歩いて行く所にありました。途中新幹線の高架をくぐります。くぐるとき、
「この線路は京都までつながっている」と思いました。目指す京大は、共通一次で
１０００点満点中９００点くらいを取らないと合格は難しくなります。現役、
１浪と８００点台前半の点数しか取れませんでした。今回は９００点くらい取れなければ、
国立大は滑り止めにして、京大の受験を諦めるつもりでした。果たして京大の受験まで駒を
進められるのであろうかという不安を抱えて新幹線の高架を見ていました。

　年月は、はるかに流れ、先日、横浜市の旭区役所で法律相談を担当しました。
市役所、区役所での法律相談は、年に何か所か担当しますが、旭区役所は初めて
行くところでした。道に迷って遅刻などと言うことがないよう、地図で道順を
調べました。なんと、鶴ヶ峰駅から、水道道を通って行くではありませんか。年を
経てまた共通一次に向かった道を途中までですが歩くなんて、何と懐かしいことか。

　相談の当日、出かける前にもう一度地図を見て道順を確認しました。記憶した道順で正しく、
これで良しと思った瞬間、「新幹線の高架はどこや」となりました。地図で旭区役所附近から
水道道をいくら辿っても新幹線の高架が出てきません。水道道は相鉄を跨いで左右に伸びて
います。地図上では、旭区役所は相鉄の左にあります。相鉄はたまに乗るのですが、横浜を
出ると、鶴ヶ峰駅を通過する際、左側に懐かしの水道道を見ています。そのせいで、
旭区区役所と受験会場は同じ相鉄の左側と思い込んだのですが、地図では、旭区役所は、
受験会場とは相鉄を挟んで逆側にあったのです。

　危うく道に迷うところでした。遅刻をすると旭区役所にも相談者にも迷惑が掛かります。
遅刻をすると、弁護士会では、点数がたまると公共機関での相談から排すると言う
マイナスポイントが付けられます。

　過去があって現在があります。共通一次の際の新幹線の高架への思いが、今の自分の
危難を避けさせました。