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この坂を歩いたのは、一体何年ぶりだろう。

生まれ育った四谷の町の、坂。
私の住んでいた家から、一番の仲良しの子の家へ行く道にある、坂。

最後にこの坂を歩いた時には、まだ私たちは子供だった。
友達には、お父さんがいてお母さんがいて、家に遊びに行けば、
笑顔で「いらっしゃい」と迎えてくれた。

私たちは、何も難しいことなど考える必要がなく、ただただ目先の
くだらない悩みを、うじうじと考えていただけ。
自分の人生や、ましてや親の人生などに思いを馳せることなど、
まるでなかった。幸せで優しい日々だったように思う。

今、坂を歩きながら、そんな暖かかった時代のことを、思い出す。
今はもう、そのお父さんもお母さんも、居ない。
友達には2人の子供ができ、彼女が生れた家に、新しい家族の形で
暮らしている。

この間読んだ『東京タワー』のせいなのか、この間観た『Always
三丁目の夕日』のせいなのか。
こうして、自分の人生や、自分の親の人生。そして、家族のことを、
ぼんやり考える。

何の涙だかわからないけれど、少しだけ、泣いてしまう。



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