ポン助の迷走日記

30歳目前・無職から、まあ何とかなるでしょうという日々を綴ったブログ。実際、何とかなりかけている。

駆け回るほどの体力はない

2008年02月10日 | 日記
土曜日の話になりますが、
休日出勤の為に家を出ると一面の雪景色。
東海地方でこんなに積もったのは
今シーズンで初めての事です。

人通りも少ないので、雪の積もった道には、
ぽつぽつと足跡があるくらい。

子供の足跡って小ちゃいなあと思ったり、
歩いてきた道を振り返って、うわ、俺の足跡でっけえ、
なんて言いながらもたもた歩いていたら、
駅まで行くのに、いつもの倍ぐらい時間がかかってしまいました。

これが平日の朝だったら、そんな情緒に気付くこともなく
歩きにくさに苛立ちながら、一目散に会社へ向かっていたでしょう。

気持ちに余裕があった方が
いろいろなものに気付けてお得なのではと思いました。

明日は15分早く家を出るようにしよう。
せめて、電車の中でフーフー言う事のないように。

ま、明日はいつもより空いてるんだろうけど・・・・・・。

難産だった・・・・・・

2008年02月10日 | 日記
短編1つ書き上がりました。

「真夜中に目が覚めた」というタイトルで
この記事の下にUPしています。

画面左側のカテゴリ一覧から
「ショートショート」を選択すると、
短編小説のみ表示されます。
現在、2本がUPされています。

結構、苦労しました。
3回ぐらい書き直して、ようやく形になった気がします。

さて、次は長編だ。
短編は勢いで仕上げられますが、長編はそうはいきません。
アニマックスシナリオ大賞は2回連続で挫折しているし、
囲碁小説も間に合わなかった。

今度こそ完成させよう。
まずはネタ探しから。

真夜中に目が覚めた

2008年02月10日 | ショートショート
真夜中に目が覚めた。

眠りが浅かったのか、今ひとつ夢と現実の境がはっきりしない。
枕元にある時計を見る気にはならないが、夜明けには程遠い時間だろう。
私は再び目を閉じ、寝直そうとした。

さっきまで見ていた夢がまとわりついているような気がする。
気持ちの悪い夢だった事は覚えているが、内容は何ひとつ思い出せない。
思い出せない事が気分の悪さに拍車をかけ、神経を過敏にさせる。

私は何も考えないように努めた。
眠れない夜にだけ聞こえる冷蔵庫のモーター音や、
チッ、チッという時計の秒針に意識を向けて、
再び眠りが訪れるのを待つ。

ピピピピピ・・・・・・ピピピピピ・・・・・・

私は聞き慣れない電子音に気付いた。
遥か彼方で鳴っているような小さな音だ。

ピピピピピ・・・・・・ピピピピピ・・・・・・

電子音はなかなか鳴り止まない。
どこかの家で携帯電話でも鳴っているのだろうか?

私は何となくその音を数え始めた。

7・・・・・・8・・・・・・9・・・・・・。

19・・・・・・20・・・・・・21・・・・・・。

63・・・・・・64・・・・・・65・・・・・・。

100までいくだろうかと私はぼんやり思った。
いつの間にか冷蔵庫や秒針の音はまったく聞こえなくなっていた。

ピルルルル!ピルルルル!ピルルルル!

93まで数えた時、大きな音がその電子音に取って代わった。

一瞬、なにが起こったのか分からなかったが、
枕元に時計と並べて置いてある、自分の携帯電話が鳴っているのだと気付いた。

半分眠りかけていた私は目を閉じたまま、あたふたと携帯を探す。
何度かの空振りの後に大音量で鳴っている携帯を捕まえた。
そのまま指が覚えている通話ボタンを押し、携帯を耳に当てた。

「・・・・・・もしもし」
「・・・・・・」

電話先の相手は何も答えなかった。
微かな息遣いから電話がつながっているのは分かる。

いたずらだと思い怒りが込み上げてくるが、感情に頭がついてこない。
私は電話を切る事もせず、相手に怒鳴る事もせず、
ただそのまま、沈黙に付き合っていた。

相手の口元がイメージとして頭に浮かぶ。
薄笑いを浮かべている口がはっきり見えた気がした。

その口がそっと開く。

「・・・・・・こんどは、逃げられないよ」

粘りつくような声が頭の奥に滑り込んできた。
私は思わず目を開き、携帯に顔を向けた。

そこにあったのは空っぽの右手だけだった。
携帯を持っているつもりで半開きになった手は妙に間が抜けて見えた。

確かに携帯を持っていた感覚があったのだが、寝惚けていたのだろうか?
私は現実を確かめるようにあたりを見回した。

・・・・・・ここは、どこだ?

仄暗い中で私は見知らぬベッドに入っていた。
部屋の中には何ひとつ家具がない。
家具どころか、窓も、ドアも、ない。

まるで、外界から遮断された立方体の中に
閉じ込められているようだった。

壁に囲まれた何も無い部屋。
はたと私はこの部屋をどこかで見たことがあるような気がした。

まだぼんやりしている頭で記憶を辿ってみるが、
動揺しているのか、気持ちの悪い夢を見て
目を覚ます前の事がまったく思い出せない。

・・・・・・夢。

そうだ、この部屋はさっき見た夢に出てきた。
出入口のない狭苦しい部屋。

私は自分が誰なのか忘れてしまった状態でこの部屋に閉じ込められ、
逃げ出そうとして目を覚ましたんだった。

そこまで考えて、すっと血の気が引いた。

私は懸命に頭を働かせて、自分の事を思い出そうとした。
私はどこにいたのか、私が誰であるのか。

だが、何ひとつ思い出す事はできなかった。
それは、たったいま見ていた夢を思い出せない感覚に似ていた。

ピピピピピ・・・・・・ピピピピピ・・・・・・

どこかから、あの音が聞こえてきた。
今度はさっきよりもずっと近くで。

その瞬間、私はもう逃げられないのだと分かった気がした。

ピピピピピ・・・・・・ピピピピピ・・・・・・

私はその音から少しでも離れようとベッドに潜り込んだ。
ベッドの中で私は耳を塞ぎ、目を堅く閉じた。
あの薄笑いを浮かべた口がまぶたの裏にちらつく。

ピピピピピ・・・・・・ピピピピピ・・・・・・

音はいつまでも鳴り止まなかった。
私はますます身を小さくしながら、
他の誰かにもこの音が聞こえているのだろうかと考えていた。