platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

ルドルフ RUDOLF The Last Kiss/最後の皇妃ツィタの証言

2008-01-22 | RUDOLF The Last Kiss
 オーストリア=ハンガリー帝国皇太子ルドルフ(井上芳雄さん)と男爵令嬢マリー・ヴェッツェラ(笹本玲奈さん)の二人が短い生涯を閉じたマイヤーリンク事件、ヨーロッパでは1889年の発生以来、人々の関心を集めてきた稀な事件で、何十という説があるとも言われています。約百年を経過してもその熱は冷めやらず、帝国最後の皇妃ツィタの1983年の証言によるルドルフ暗殺説は特に注目を集めました。
 父フランツ・ヨーゼフ(壌晴彦さん)と王宮の政策に批判的で、プロイセンのヴィルヘルム2世(岸祐二さん)との軍事同盟に反対するルドルフに、皇帝廃位をたくらむ一派が接触してきた。しかし皇太子としてそんなことはできない、と拒否したルドルフは口封じのために暗殺された・・・というのが彼女の言い分です。このインタビューは一大センセーションを巻き起こしましたが、「暗殺説」自体は1918年以前にもあるのだそうです。また、35年以降にはルドルフの遺書、自殺の意思が示された書簡が発見・公開され、マリーの手紙にも二人で自殺する、と書かれていていることから、「暗殺ではない」と断言する研究家も多いのだとか。また、ご当地ではおじいちゃんが王宮の猟師だったとか、皇太子の親戚(!)だとかいってマスコミにしょっちゅう電話や手紙が舞い込むのだそうです。
 事実をこの島国にいて探ることは到底無理ですが、作品として見るなら、そのあたりがどう描かれるかで全く違ったものになりますね。バレエ"Mayerling"では、マリーはついたての向こうに姿を消し、次に姿を見せたときにはすでに息絶えてベッドに横たわっている、そしてルドルフは観客の前でピストルの引き金を引く、という演出です。ハンガリー版ミュージカル"RUDOLF"はどうだったんでしょうか、それに宮本亜門版はいったい・・・?
 ツィタは非常に誇り高い女性で、89年に96才でなくなるまでハプスブルク家の再びの隆盛を信じていたといいます。一族の歴史に残り、憶測の飛び交うこの事件から、スキャンダル的な要素を払拭することを希望していたことでしょう。このラスト・エンプレスにも、ある意味「演出家」のようなところがあるのかもしれません。


最新の画像もっと見る