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『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

大澄男爵 千秋楽

2006-01-19 | グランドホテル ザ ミュージカル
ラフレシアのような赤い薔薇の作り物に眼を奪われないようにしながら、大澄さんの笑顔の魅力を存分に見せていただきました。ダンサーとしてずっとキャリアを積んでこられた大澄さんにとって、一番得意なものを封印しての舞台ですが、私の目にはとても魅力的に見えました。男性ダンサーは、一流スターであっても「パートナー(女性ダンサー)のために踊っている」と明言する方もいるくらいで根っからの紳士が多く、大澄さんもそんなジェントルマンぶりがにじみ出ていたように思います。

 男爵とはいっても、ドイツでは1919年のワイマール憲章ですべての特権が廃止されたため、彼は「名前だけ」の貴族であったことになります。また、戦場では弾にあたらなかった、という歌詞が出てきますが、1928年、といわれている作品の設定からすると、「29才と29か月」ならば、20才前後の青年期を戦時下ですごしているので、子どものときはいざ知らず、優雅で安楽な時間とあまり縁のない人生を送ってきた「男爵」のようです。そう思うと、グルーシンスカヤの舞台の想い出を熱く語り、自分の能力で生きてきた彼女の内面に魅かれるというストーリーにも説得力を感じますし、よからぬ輩にいいように遣われている寄る辺なさも理解できます。

 この作品に初めて接して、最初に感じたのは敷き詰められた絨毯のように「説得力」が物語を支えていることです。たとえば青山さんのベルボーイも、あの姿勢のよさ、歩く姿で「ああ、ここは世界でも有数の一流ホテルなんだな」と視覚的に分りますよね。ウォルフォードさんの演出については賛否両論のようですが、たとえば「三忍者」で青山さんが自由に踊っている(もう本当にカッコよくって素敵なんですけど~)のとはまた違う魅力が見えてきたのも事実です。大澄さんのファンの方もそうなのではないでしょうか。演じる方たちが、それぞれの個性と共に、絶対に自分からは見えない面を無意識に輝かせているような感じのする舞台でした。そしてそれがウォルフォードさんの手腕によるものならやっぱり凄い方だと思います。

 それにしたってあの薔薇は少し強烈すぎました。大澄さんなら黄~クリーム系の優しい色の薔薇の方がお似合いのような気もしますし・・・。岡幸二郎さんはどんな色の男爵なのでしょう。『グランドホテル』、もう一度見たい、の一言です。


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2 コメント

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2006-01-20 (あゆあゆ)
2006-02-06 11:46:02
「もう一度みたい!」と私も8日以来ずっと思っていました~。大澄さんの男爵をもう一度観たい!そして岡さんの男爵を少しでも早く観たい!そしてそして、青山さんのチャールストンとあのお姿を~~~、と思いながら、何度「当日券に並んでしまえっ!」の誘惑の声に悩まされたことでしょうか。へーまさんの記事がアップされて、ますます気持ちが高まるなか、やっと本日19日木曜日のソワレに、あらかじめ取ってあったチケットを握り締め、行って参りました!



とにかく感動でした!!!毎回思うことですが、舞台というものは、本当に「一期一会」の場ですね。前回の観劇のときからさらに、カンパニー全体としてものすごく密度が高くなっている印象を受けました。勿論岡さんの男爵も、大澄さんの雰囲気とはまた違った感じです。とっても無責任発言ですが、へーまさん、是非是非もう一度ご覧になってください!!(ホント無責任だな、私って・・・、ごめんなさい。でも、ホントにもう一度観ていただきたいのです~~~。)



そして今日の青山さんですが、もう「最高」です。(舞台での青山さんは、ひとつの作品でも、観るたびごとに「最高」が更新されてゆく感じです。)まず、チャールストンのダンスシーン、私などが言うのはおかしいというのはわかっているのですが、「非の打ち所がない」とはこういうことですね~、「完璧」です!!!月並みな言葉しか出てこなくて、申し訳ないのですが、何度観てもカッコイイんです。これだけです。ファンモード全開にさせていただきますが、どうしてあんなダンスをしてしまうのでしょうか~~~、はあっ~~~、カッコイイですね~~~。「ダンスを多用していないミュージカル」なんて、前回のコメントで書いちゃったのですが、そんなことを言うことがナンセンスに思えてくるぐらい、あのダンスを観ているだけで、もう十分すぎるぐらいにシアワセになってしまいますね~♪青山さんのチャールストンを観ている間は、はっきり言って何も言葉が浮かびません。心の中は、ただひたすら「!(エクスクラメーションマーク)」です。



そして、へーまさんも書かれているとおり、あの「姿勢のよさ、歩き方」、何度観ても本当に説得力があります。青山さんは舞台の上で座ることはないのですが、舞台という台の上に居る、存在している、そのあり方という意味で、はじめからおわりまで「ベルボーイ」としての、あの「居ずまい」みたいなものが、圧巻ですね。(あまりにも上半身、特に背中のラインが美しくて、説得力があるので、上半身を意識して「居ずまい」と言いたくなってしまいます。「たたずまい」という言葉では、あの青山さんを表現しきれない気がするんです。)ああいう青山さんの姿を観ていると、単に「パントマイム」という意味での「マイム」ということだけではなくて、「マイム」という言葉のもともと意味するところが何なのか、そんなところにまで思いが及んでしまいます。



パンフレットのウォルフォードさんの言葉によれば、ヴィッキー・バウムの小説こそが、このミュージカルのエネルギーの源になっているんだと確信した、ということだそうです。「ロンドンの古い図書館の地下で」見つけたというこの小説から、ウォルフォードさんが感じたものはどのようなものだったのか、それがキャストの皆さんの身体を通してどのように見えてくるのか、毎回劇場に行くたびにとても楽しみです。青山さんがこのミュージカルに出演されると知ってまもなく、某ネット書店で、バウムによるこの小説を注文していたのですが、在庫切れとかで、いまだ私の手元にこの小説は届いていません。初見前までは、舞台を観る前に一読しておきたいと思っていたのですが、今はそのようには思っていません。楽日を含めたあと数回の観劇を通して、紙の上に書かれた言葉ではなく、青山さんは勿論、キャストの皆さんが紡ぎだす有形無形の言葉を、観る側としても身体で聴いて、感じてきたいと思っています。

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2006-01-20 (へーま)
2006-02-06 11:46:48
「得チケ」とか「ブロック指定」とか数々の無責任発言をしている私にお気遣い有難う・・・。でも今回は当日券も抽選(何度かお話してますがとにかく私は「当たらない」のです)のようで、さすがに私にも一分の理性があるのか、その分『ビューティフル・ゲーム』に予算をまわす予定です。でもやっぱり見たいわ~。なんであんなにかっこいいのでしょうねえ。なんかの間違いじゃないかと思うぐらい。

私もアマゾンで525円、なんていう信じられない価格の原作を注文したのですがいまだに届きません。新古本かと思いましたが、ひょっとして単なるミス?で調達のメドがついていないような気がしてきました。う~ん、読みたかったですよねえ。

この作品、いつかはまた日本で上演されるだろうと思います。その時、観客の身に流れた歳月に応じてまた違った目で見られそうなところも魅力ですよね。長い目で考えると、青山さん振付で、というのが理想です♪

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