platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

All Shook Up/A Little Less Conversation

2007-10-17 | ALL SHOOK UP
 『ALL SHOOK UP』サントラの"A Little Less Conversation"、これも女性コーラスがカッコイイ~~。これは68年の映画『バギー万才』(原題"Live a Little, Love a Little")の挿入歌の一つ、エルヴィスがコンサート活動に復帰する直前の作品ですね。
 この映画で憧れの人・エルヴィスと共演した女優セレステ・ヤーナルは、インタビューで彼の紳士ぶりを回想していますが、やっぱり(?)彼女から見たトム・パーカー大佐は好ましい存在ではなかったようです。ただ撮影所にはあまり顔を出さず、それがエルヴィスには居心地良かったのかもしれないな、という気がします。彼女の回想ではエルヴィスはいつも閉じ込められ夜しか外出できない生活を続けていたようで、アイドルはいつの時代もどこの国でも大変ですね。
 そして彼女のインタビューのなかで、キング牧師暗殺に対するエルヴィスの反応も語られていました。(なんなの唐突に、という方はこちらの記事を読んで頂けましたら幸いです)撮影中はいつも一緒にランチを食べていた彼女がエルヴィスの楽屋に行くと、ちょうどその葬儀の様子がテレビで流れていたそうです。エルヴィスはキング牧師が暗殺されたことにひどく動揺していて、彼女の腕の中で泣いたといいます。
 実はこのインタビューを読む前に、50年代半ば、エルヴィスがテレビで黒人差別発言をしたことがある、という複数の記事を目にし戸惑っていたのですが、ヤーナルの話でなにか腑に落ちるものがありました。
 言ったかどうか、ということは私には確かめられませんが「黒人文化の影響下にある」ということがアメリカ社会でキャリアを築くには不利だった時代、そういう発言を周りに勧められたり、周りが仕組んでも不思議ではありません。別のインタビューでは、自分の選んだ黒人女性コーラスグループを侮辱した招聘先に「彼女達を出演させないというなら僕も行かない」と言ったとも語られている彼、そのテレビでの発言だけがあまりにも異質で、浮き上がっているのです。
 33才の世界の大スターが声を上げて泣くほどの悲しみは、追悼の念だけから生まれたものではないと思えてなりません。もちろん、彼の心の中を知る由はありませんが、黒人教会でゴスペルに聞き入っていた少年のことをどうしても忘れることができないのです。