platea/プラテア

『ゲキxシネ五右衛門ロック』『The Musical AIDA』など、ミュージカルの話題作に出演の青山航士さんについて。

All Shook Up/トム・パーカー大佐

2007-10-04 | ALL SHOOK UP
 ・・・とタイトルを書いたものの、実はまだまだわからないことばかりです。「え? 大佐? エルヴィス・プレスリーのマネージャーが?」と思った時から色々気になって見ているんですが、奥が深いというか、かなり複雑な背景を持った人のようです。
 プレスリーが亡くなったのは1977年の8月16日ですが、その22年前、またもや「1955年」の8月15日(公式サイトより)にプレスリーとトム・パーカーは事実上の契約を結んでいます。なんと書類はなく、「握手と口約束」だったそうで、つい映画『ゴッドファーザー』の世界を想像してしまいました。彼らを良く知るスタッフによると、まるで長年連れ添った夫婦のような信頼関係で結ばれていたとか・・・。
 「大佐」の称号は、ルイジアナ州の政治家ジミー・デイビスの選挙をサポートした代償にもらったようです。最初はアメリカ生まれで、サーカスについて家出したと、いかにもウソっぽい生い立ちで押し通していたのが、あるとき訴訟沙汰になり、じつはオランダでドイツ人の家庭に生まれたということが発覚しました。プレスリーがあれほど世界の注目を集めながら、アメリカとカナダでしかツアーをしなかったのは、大佐のパスポート取得が難しかったから、ともいわれているそうです。
 アメリカは3代さかのぼれば殆どの人は外国人、というぐらいで、今も世界中からいろいろな人が寄せ集まって暮らしているのが実感できる国です。そういう意味ではアメリカを代表するスター・エルヴィスのマネージャーが、冬の長いヨーロッパの国から無一文のような状態でやって来た(らしい)ことも、いかにもアメリカ的だな、と思います。
 未知の大地で故郷をふりかえらずに働き続けた移民のパワーが、あの新しい国をあっという間に経済大国に押し上げたように、大佐のマネージメントでエルヴィスは、歴史の浅い、若い国アメリカの「キング」になりました。大佐は国籍詐称が発覚した際、オランダのテレビ局から取材を受け、そこで初めて兄弟の死を知ったそうです。そんな風に肉親の死を知る人が、アメリカにはこれまで何人いたことでしょう。