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『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

岩城正夫先生の講座 第2回 2月5日(日)

2023-02-07 16:09:28 | 日常

本日のテーマは「失敗との触れ合い方」

ボノボは人がやることを見ていて、例えば、道具を使うどころか、石器まで作ってしまったり、ライターだかマッチかで火を付けたりすることも出来るのだそう。
そこまでの知能があるけれど、ボノボは言葉を使わない。
なので、おそらく彼等には失敗、成功という感覚はない。

「失敗」という概念を持つのは人間だけで、それは言葉を使うからこそではないか。

また将棋などで、AIが勝つのは、人と違って、失敗を悔やむことなく、出来るというのもあるのかも?

大型猫科のチーターやライオンなどは、よく狩りで獲物を仕留めそこなっているが、彼等は、おそらく、それを失敗とは全く感じず、ただひたすら、次の狩りに備えているのではないか。

つまり、言葉を持たない動物には「失敗」の感覚はない。
言葉があって、初めてその概念が生まれる。

失敗を気に病むことなく、すぐまたやればよい。
欲を型にあてはめすぎると「失敗」と感じてしまう。

成功や失敗の概念がいつもあって、それに囚われすぎるから失敗が辛い。

自分は挫折感や失敗感がないままやってきた。おそらく動物の感覚に近いのかもしれない。

腹が減るから次の獲物を追いかけるだけ。

この御話しが最も心に残りました。
他にも「後期高齢者の学び」として、ご自身が取り組まれたギターの独学に関してのお話や、何でも自分でゲーム化して面白くすることを試みること、など、の人生の指標となるようなお話が続きました。

そして、先生がギターを始めるきっかけとなった江平の笛の演奏。

先日の美彌先生のご指導のお陰で、より鳴る様になり、この日も午前中に吹いた時は絶好調。これで良し、とすっかり安心した気持ちで、受講していました。

出番となっても、全くドキドキもせず様々な解説などもしていたのですが、最後に「岩城先生のために・・」と先生を見たとたん、急に、過去の様々な出来事、お世話になったことがワ~~っと思い出されて、胸の奥から心臓を掴まれたような状態になってしまいました。ドキドキはしていないのに、胸苦しい。
音はなんとか出たものの、勝手に右手が震えているのがわかる。
こんな状態でも、吹き通すことが出来たのは、新たな成果といえば成果ですが、到底人様に披露するようなものではなく、先生やみなさまには申し訳なかったです。

私にも、このようなことが起きるのか?とまるで他人事の様にただ不思議に思うだけでした。

例えていえば、歌謡大賞を受賞して感極まって歌えなくなった歌手、といったところです。

まさにこの日の岩城先生の「失敗」のお話を体現したかのような流れとなったのでした。

この日は江平の笛の生みの親、関根秀樹先生もお越しで、久しぶりにお会いしました。

相変わらず、「やんちゃすぎる幼馴染」といった感じの関根先生。
私が修復した江平の笛のケースの口に巻いた糸を早速「巻きが甘すぎる!」とその場でキリキリときれいに巻き直してくださいました。

講座の後、みんなで入ったファミレスで、最近の甲野先生の「片手だけ」のお話をしたら、琉球空手では左右の手は夫婦の様に使うのだと御教えいただきました。
利き手が夫でもう片方は妻。妻はでしゃばらず「内助の功」なんですって。

・・成程!?・・ってこれは我が家の実生活には程遠い感覚。

でも、内助の功は「それと判らない様に助ける」という甲野先生の御話しにも通じている。

岩城先生や関根先生の影響で、すっかり火起こしにはまってしまわれた男性御二人が熱心に質問している姿も微笑ましかった。

火きり棒に関しての会話は、
「・・じゃあ、キイウイもいいんですね?」
「あれはサルナシ科ですから、いいですね!」
「紫陽花の枝の中のフワフワは取らないままがいいですね。」
など、他にも火きり板の切り込みの長さとか厚さとか、マニアックな会話に熱が入る。

この日は、かつてキャンパスで一緒に遊んでいたMくん、Iさんなども遠方からいらしていて、お会い出来たのも嬉しい出来事でした。

次回4月30日(日)は和光大学のキャンパスで、岩城先生と関根先生の対談になるそうです。

お天気がよければ、焚火もやって、みんなで遊べそう。
関根先生からは「僕も太鼓持っていきますから、一緒に江平の笛、やりましょう!」と嬉しいお申し出が。

よっしゃ。リベンジだい!

・・・と意気込むところが「人間」でまだまだです・・
でも、誰だって、今度こそ、と思っちゃうよねえ。



伝承ホール 打ち合わせ

2023-02-04 22:11:09 | 音楽・フルート
伝承ホール(渋谷区文化センター大和田)で打ち合わせ。

https://shibu-cul.jp/denshohall

主宰の富原淑子さん、音楽監督の青木素子さん、そして私も。

会場責任者の藤本さんの案内で、ホール見学。

音も少し出せるということで、吹かせていただき、一安心。

ここでは演奏したことがなく、何度かフルートのコンサートを聴きにいったこともあるけれど、とても広く感じていてやや不安がありました。

でも実際ステージに立ってみると、それほどでもなく、むしろ、この会場独特の芝居小屋的な包み込まれるような雰囲気があり、落ち着くなあ、と感じました。





富原さんが客席で響きを聞いてくださいましたが、充分に響いているし、当日は反響版も設置するので、全く問題ない、とのことで一安心。

その後は部屋に移動し、富原さん作成の「舞台進行表」や「付け帳」に基づいての打ち合わせ。

第一部の室内楽では、解説のマイクをどのタイプにして、どこに設置するかなど、細かく決めましたが、まあその程度。

第二部のオペラ「トスカ」では・・
演奏会形式とはいっても、せっかくの伝承ホール。会場の雰囲気を生かした簡単な演出も取り入れることになったとのことで、舞台には様々な小道具が設置されることになり、その打ち合わせ。

日頃、馴染みのない「箱馬」とか、「血染めのシャツ」(カヴァラドッシのね)等、横で聞いていて、ワクワクしてきます。

ナレーションはここで。


いよいよあと一か月となりました。

どうぞお越しくださいませ!




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ちなみに、渋谷は行くたびに変化していて、毎回カオス。

この日も、西口に出るのに少々手間取ってしまいました。

地下鉄から西口への行き方として、わかりやすいのは、A5で地上に出て、目の前の井の頭線乗り換えのエスカレーターを昇って、(井の頭線乗り場と反対側となる)左に進むと、正面上に、大きな岡本太郎の壁画が。




その下にある通路を進んで、246にかかる陸橋に出る、というものです。
また変わるかもしれないのですが、多分このルートは大丈夫かな?と。

初めて伝承ホールにいらしてくださる方は、どうぞ、お時間にゆとりを持ってお越しくださいませ。



祈り

2023-02-02 22:49:42 | 魔女トレ
日本フルート界の重鎮で作曲家である川崎優先生には、2回の『茅笛の会』のヨーロッパ演奏旅行でお世話になり、そしてその後の、日本初の女性のみのプロフルートアンサンブル・ムジカフィオーレにお声がけいただきました。

最初のCDのプロデュースもしてくださり、いつも応援してくださった大恩人です。

その川崎優先生の『祈りの曲 第4番』はずっと取り組み続けている作品の一つです。

昨年逝去された師・植村泰一先生も川崎先生の御弟子、それも一番弟子です。

2019年、王子ホールのリサイタルでこの曲を演奏するにあたって、植村先生に何度もレッスンしていただきました。

最後に仰ったのは、「後は、川崎先生の『祈り』をちゃんと感じられるかどうかだね。」

広島の原爆で亡くなったり傷ついた方々への追悼と慰めの祈り。

この曲の理解を深めるために、広島を訪ね、原爆記念館に行き、川崎先生が被爆された後、炎天下寝かされたままになっていたという小学校の校庭にも行ってきた。

でも、当事者の苦しみは想像を遥かに超えたものなのだ、ということがわかっただけで、それをどう祈りに昇華できるか、というのは今も大きな課題。

そんな途中経過の拙い『祈りの曲第4番』を美彌先生が舞ってくださっていた・・

先日の個別セッションの折に、リサイタル曲を録音し直し、コロナ禍の2021年春にリリースされた拙CD『エーテルブルー』を僭越ながらプレゼントさせていただいたのだけれど、早速聴いてくださり、舞ってくださっていた。

ツイートを観て、泣いてしまいました。
川崎先生の「祈り」と美彌先生の「祈り」が共振している。

2019年の演奏なので、今よりももっと拙い笛だけれど、私の演奏が御二人の「祈り」を繋げることとなったことが嬉しい。

深い「祈り」を以前よりも感じられるようになったのは、美彌先生のこの舞を観たからこそだと思う。

紛れもなく美彌先生は魔女だけれど、その本質は舞姫であり芸術家・アーティストなのだ、と改めて感じたのでした。

だからこそ、先日のセッションの折、ロットも、えだいらの笛も、そして私もその感性に共振して、日頃出ないような音と音楽が生れたのではないか?と思います。

公式には、川崎先生は表明されてはおられないけれど、実はあの曲の中間部は頼朝に囚われて、舞うことを強いられた静御前のことを思って書かれた、ということを生前教えてくださった。

そのことを美彌先生にはお話していないのに、舞姫・静御前の曲を選んで踊られたということも凄い。





(西園先生のツイート)1月31日
身体に起きる現象の数々。 私にも、相手にも。 なぜあんなミラクルが起きたか。 一流の方の集中力と、全身全霊は半端ないチカラがある。それによって引き出されたものだろう。そこに共鳴が起きると、あぁなるのかと。 私はそこにいない。 ただの受信機。…いつもそう在れたら。 体験に感謝。
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恐縮するばかりです。そしてただただ感謝!!