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『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

Flute meets Minipiano 4月24日(木)19時 鶴見区民文化CサルビアH3階音楽ホール

2025-04-26 21:37:17 | 音楽・フルート
お陰様で盛会の中、無事終了しました。
今はまだ一人反省会状態ですが、ミニピアノとの初デートはとても幸せなひとときで、アンコールのショパンのノクターンの最後の一音Esを吹くのが、
「ああ、終わってしまうのか・・」と寂しく悲しくなった程でした。

お越し下さった皆様、お手伝い下さった皆様、そして砂原悟さん、本当にありがとうございました!

・・・・・・・・・・・・・・・

プログラム

✦ Minipiano  Solo ✦  

・ノクターン第1番 変ホ長調    J.フィールド(愛 1782-1832)                                              

・(『リュートのための古い舞曲とアリア』より) 
                 O.レスピーギ(伊 1879-1936)
第1曲 オルランド伯爵のバレット    第5曲 シチリアーナ

✦ Flute meets Minipiano ✦

・踊る人形              E.ポルディーニ(洪1869-1957)    

・精霊の踊り            C.W.グルック(独1714-1787) 
 
・シチリアーナ          G.B.ペルゴレージ(伊1710-1736) 

・ヴァイオリンソナタK.304ホ短調   W.A.モーツァルト(墺1756-1791) 
Ⅰ. Allegro   Ⅱ. Tempo di Menuetto   

           ・・・・・休憩・・・・・・

・メヌエット(『アルルの女』より)       G.ビゼー (仏1838-1875)   

・瞑想曲(オペラ『タイス』より)       J.マスネ(仏1842-1912) 

・コンクール用小品              G.フォーレ(仏1845-1924)   

・夢                  C.ドビュッシー(仏1862-1918) 
 
・シランクス  Fl.Solo                   
      
・ビリティス(六つの古代のエピグラフ)              

  Ⅰ.牧場の歌    Ⅱ. 名のない墓   Ⅲ. 夜への賛歌  
   Ⅳ.カスタネットを手に持つ踊り子
    Ⅴ.エジプト人の遊び女たち   Ⅵ.朝ふる雨


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
写真はみなリハの時のものです。
練習の時から、本当に驚かされたのですが、ミニピアノはミニとはいっても、むしろ現代のスタインウェイのフルコンよりも、より深い響きも出て、何より低音の持続音が減衰することなく長く続くので、まるでオーケストラの弦の響きのようにも聞こえることもありました。

人の歌声のような中音域を持ち、高音域はキラキラと天上の響きで、オルゴール、リュート、ハープと、これもまた様々な音色と響きが。






もちろん、演奏者が砂原さんだからこそ、そして製作者が河合小市だからこそ、修復された職人さんが素晴らしいこと、調律の幸崎さんが最高なこと、加えてステマネの笛吹き仲間・石井孝治さんの耳とセンスの良さ、と本当に恵まれたご縁の結果だからこその「ミニピアノ」でした。
ちょっとした配置の角度、キャスターの向きの微調整で大違いになる。

・・会社を休んで搬送に協力してくれた息子にも感謝です。

そして響きが良い小さな箱である鶴見の音楽ホールということも。

最初に砂原さんにソロと解説をお願いしましたが、一音目からお客様が引き込まれている空気感が舞台袖にも伝わってまいりました。

初合わせ練習の時に感じたのは、今のままの自分の音では、このミニピアノに相応しくない、ということでした。より粒子を細かくして、よりクリアな立ち上がり、つまりアタックを研究しなければ、と、色々と良い刺激を受けました。
お陰さまで、奏法の発展もあり、本当に有難かったです。
こうしてミニピアノから色々なことを教わりました。

今回は昨年末の旧奏楽堂の時以上に多くの嬉しい感想を頂く事ができました。
楽しんで頂けて、本当に良かったです。

「たくさんの響きが溢れてて色彩豊かなコンサートでした」

「清らかで気品のあるルイ・ロットの音色、さざなみのような優しいミニピアノの音色のマリアージュが、私をその時代と場所にワープさせてくれました」

「ミニピアノの独特の響きとフルートの優しい音は本当に相性がいいですね」

「ルイ・ロットと小市さんの100年前のピアノ、感動しました。ロットがあのピアノに相性ピッタリで驚きでした。聴く前は古ぼっちい、小さなボリュームのピアノなんだろう、なんて思ってたんですが、最初の10秒聴いて衝撃を受けました。」

ミニピアノだったからこそ引き出されたロットの音色だったと思います。
こんな稀有な経験が出来たことに本当に感謝です。

そして、植村先生の奥様がいらしてくださっていて、嬉しかった!
「良かったわよ~」と笑顔で仰ってくださったことにも感謝です。

ミニピアノとロットが、またいつか2回目のデートが出来ることを祈りつつ。

本当にありがとうございました!





実際にはこちらの立ち位置で



調律待ちタイム




終演後




お約束のように、すぐにピピがチェックしに。

前日の夜、トランクを準備している時もお約束のようにピピ。
「コンサートには行かせないニャ!」と毅然とした表情で阻止しようと・・



第28回 日本フルートフェスティバルin横浜 4月13日(日)14時開演 神奈川県立音楽堂

2025-04-13 22:03:47 | 音楽・フルート
小雨の中の開催となりましたが、出演者、ご来場者共に、昨年よりもグっと増えた盛会となりました。

これも実行委員長佐々木寿弘氏を始めとする実行委員、指揮者の上野正博さん、そして多くの笛吹き仲間の皆様のお陰、と改めて、感謝の念が湧いてまいります。

みなさま、本当にありがとうございます。
そして、とても楽しかったです!!




楽器紹介も、もろもろ反省はあるものの、それなりにルイロットの魅力をお伝え出来た・・かな?

沢山の笛吹き仲間から嬉しい感想、お声がけをいただくことができました。

でも、それ以上に嬉しかったのはお隣で吹いているMさんが学生時代、植村泰一先生門下でだったそうで、私の音を聴いて、先生のことを思い出して泣いてしまった、と仰ってくださったことでした。

もちろん全くまだまだ比べ物にもならないし、きっと今日の演奏を聴いたら先生は「ん~~~、まだ吹き過ぎてる!」とおっしゃるに違いないのだけれど、Nさんがそのように感じてくださったことが、本当に嬉しく、こちらまで泣きそうになってしまいました。

打ち上げも楽しく、同業者同士なのに、ここまでフラットで気持ちの良い団体というのは、このin横浜の素晴らしさだし、その根底には植村先生の哲学、思想が息づいていればこそかと思います。

朝からチラシ挟み込み、リハーサル、本番、打ち上げ、と大忙しの一日でしたが、とても良いひと時を過ごすことができました。

武蔵野音大時代の先輩方や、故郷高松出身の笛吹き仲間との歓談も楽しいものでした。

写真は今朝のピピ。

「日曜日なのに、なんで朝早くからお出かけするニャ?
              コンサートには行かせないニャ!」

とムスっとした顔で、トランクにへばりついて中々どいてくれませんでした。


「もしもし~、ピピちゃん、どいてくれませんか~~?」

と話しかけてもシカト。


とてもぶーたれている顔。




ドレスは今度の24日の『Flute meets Minipiano』で着る予定にしていたシルクのシルバーグレーのマーメイドライン。
そして、この1月にゴゾ島で入手した麻のゴゾレースのストールをデビューさせました。
アクセサリー類は昨年末の旧東京音楽学校奏楽堂の時と全く同じものを。
多分、一番響く組み合わせ。
足元は下駄。




楽器紹介で沢山のお客様の前に立つので、ベストな恰好で、ということと、次回の本番での着心地を試しておきたかったので、これにしました。

このドレスは7,8年前くらいに入手して2回くらい着たものの、その後コロナ禍で太ってしまってお蔵入りだったもの。
昨年からアルコール控えめにして3キロ痩せたので、「もしや?」と着てみたら、ギリ大丈夫だったのも嬉しかった。

4月24日は、今のところ、この格好で登壇する予定です。
こちらのコンサートも、どうぞよろしくお願いいたします。

ミニピアノとの合わせ練習で、改めてこの楽器の大きな魅力に圧倒されていますが、それはまた改めて書きたいと思います。









(告知)日本フルートフェスティバル in 横浜 4月13日(日)14時開演 神奈川県立音楽堂

2025-03-31 00:28:20 | 音楽・フルート
あっという間にもう3月も終わり。

まだまだ先だと思っていた本番が近づいてきています。

4月は3回ステージに乗っかることになっていて、前期高齢者の割には忙しい・・

その内の一つ、「日本フルートフェスティバルin横浜」のお知らせです。

今回はなんともう28回目。

亡き恩師・植村泰一先生を始めとして、沢山の先達のお陰で始まり、沢山の志ある笛吹き達によって、繋がってきた笛吹き仲間の集い。

プロだけでなく、熱心なアマチュアの方々の参加もあり、フルートを通しての温かな繋がりを感じることが出来る場でもあります。

曲も、名曲揃い。

今年は、他にも本番あるし、その関係で練習も毎回出られないので、どうしようかなあ、と思っていたのですが、バーンスタインのウエストサイドをやることになっていて、その編曲者は昨年若くして急逝されてしまった笛吹き仲間Tちゃんのご主人。

劇団四季のミュージカルのお仕事等もされていて、チケットの便宜を図っていただいたことがあるのも、懐かしい思い出です。

これは、是非とも、Tちゃんと一緒に演奏して追悼しなくてはと思い参加を決めました。

本日は初合わせ。

60名ほどの笛吹きが集まって、懐かしい顔も沢山。
指揮はいつもの上野さん。

昨年ご一緒させていただいた酒井さんは、今年はバス。
酒井秀明さんは、昨日29日が退官記念コンサート。
仕事でうかがえず残念でしたが、本日は涼しい顔で、お疲れの様子もなく練習に参加されていました。
砂原さんも、昨日は京都芸大の退官記念コンサート。
今頃、どうされているかな、と思いを馳せる。

私は1stの後ろの方で、若干寂しいけれど、まあ、最終日の練習も出られないんで致し方ない。
楽しかったのは、音大生が4名近くにいて、みなとてもちゃんと吹いていて、素晴らしかった。そして可愛い。
この集まりも、そろそろ「限界集落」に近付いているのかな?と最近は思っていたので、こうして受け継ぎがなされていることがとても喜ばしい。

「来年もまた出てね!」 とお声がけ。

そういえば、音大生の頃、初めて東京でフルートフェスティバルに出た時、気さくにお声がけしてくださった菅原早苗先生のことなども思い出されました。
川崎先生の茅笛の会でも、本当にお世話になりました。

卒業して2年目くらいに参加したヨーロッパ演奏旅行の時は、異常気象でとても暑くて、ヌーシャテルの湖があまりに綺麗だったので、私はホットパンツと半袖Tシャツ(そんな恰好をしてた時もあったのね・・と遠い目)のまんまで飛び込んで泳いで、周囲からあきれられたのだけど、友達に見張らせて岩陰で洋服を脱いで飛び込んだのが早苗先生だった・・負けた・・

昔よりも色々と大変な時代になってきているけれど、音大生の皆様も、フルートと共に色々な経験をして幸せな一生を過ごして欲しい、と切に思いました。

曲もみな大曲で難しいのだけれど、一応メドも立ちました。
あと3日くらいちゃんとさらえばなんとかなりそう。

で、それだけならまあお気軽ではあったのだけれど、このフェスティバルを仕切ってくださっているKちゃんから「おりいってお話が・・」と。

「白川さん、当日は楽器は何を使いますか?」
「?」
「もしよかったらロットで吹いてくれませんか?」

「ああ、もうロット2本とヤマハの安いのしかもってないから、ロットにするつもりだけど。」

「ああ、良かった。実は・・」

何かと思ったら、コンサート当日の4月13日は、大阪万博の開催日と同じということで、パリ万博で、ルイロットや当時の様々なフルートが出品され、人気を博したということをプログラムに書いたので、楽器紹介の時にロットを吹いて欲しい、とのこと。

毎回楽器紹介コーナーがあって、ピッコロ、フルート、アルトフルート、バスフルート、コントラバスフルート、と短く曲の冒頭をソロで吹くというのは知っていたけれど、そこで初代ロットを、という提案をいただきました。
当日の台本は作ってくださるとのこと。

「私でよければ、喜んで!」と即返答。
本当にありがたいお申し出です。

お陰様で、昨年12月末の上野旧奏楽堂でのコンサートの評判が良く、嬉しい感想を改めて今回の練習時にも沢山いただいたのだけれど、こうした大きなイベントでの依頼をいただけるとは・・

曲は、ロットと同じ時代、同じ国、フランスの作曲家の作品が希望とのことで、じゃあドビュッシーのシランクスで、ということになりました。

冒頭の2小節~8小節だけですが、あの大きなキャパ1000人の会場で、一番後ろに座ったお客様にも、ご納得していただける演奏にする、というのは私にとってはやはり大きなミッションとなります。

響きのない奏楽堂で音が通ったからとはいっても、その3倍の広さの会場では果たしてどうなのか・・・
それも「初代ロット」の魅力をちゃんと伝えられる演奏で。

気負うことなく、様々なことに感謝して、真摯に取り組みたいと思います。

沢山の方に初代ロットのことを知っていただけることが嬉しい。

ということで、4月13日、お越しいただけると嬉しいです!

そして4月24日のFlute meets Minipianoにも是非!!










ビリティス(六つの古代のエピグラフ)

2025-03-06 00:39:52 | 音楽・フルート
全てはピエール・ルイスの創作ではあるけれど、「ビリティスの歌」の舞台はパンフィリイ、レスボス島、キプロス島、となっていて皆地中海。
昨年のシチリア島、南イタリア、そして今回のマルタ島と地中海の旅が続いたこともあり、独特の光、風、海、空の色、とその風土全てがシンクロしてきます。

キプロス島は、ドバイで乗り換えた後、途中で立ち寄ったけれど、2時間の機内待機。
ビリティスやるとわかっていたら、キプロスにも行く旅にしたのに、とちょっと残念。

新婚旅行は個人旅行でトルコをウロっとしたのだけれど、南のリゾート地、アンタルヤがおそらく、パンフィリィにも、キプロスにも地理的には近い。

あとレスボス島は、やはりトルコのエフェスが近い。

ミュンヘン時代に女子旅したアテネ、ナクソス島も、まあ近い。

いずれも遥か昔ではあるけれど、夫々の陽光、風土の体感は記憶に残っている。

地中海の語源は「黒海」に対しての「白い海」ということだけれど、白というか、透明な、軽やかな明るさのある、様々なニュアンスのある青。


2025年1月18日マルタ共和国 ゴゾ島

確かヴェルレーヌだったか?「色ではなくニュアンス」とあったけれど、ドビュッシーの音楽にも通じている。

いくつもの門のある城壁に囲まれた古い街、そして習慣として、その外側に死者を葬るための墓地の街が作られるというのも古代ギリシャからローマ時代に繋がる風習。

フェニキア人であるビリティスのお墓も地下墓地とその冒頭「ビリティスの人生」の中でルイスが書いている。

マルタ共和国の古都イムディーナも同様で、街の門を出るとラバトという死者の為の街となるのだけれど、このラバトは固有名詞ではなく、「死者の街」という意味を持つ名前であり、色々な地域にあったそう。

クラッシック音楽を学んでいると、どうしても西洋文化というのはドイツであり、フランスであり、イギリス、イタリア、となってくるけれど、西洋文化の源流はこの地中海にあるということを改めて、しみじみ感じています。

劣化の少ない石や岩で築かれた文明だからこそ、何千年、何百年と当時のものが残っているのも素晴らしい。

と同時に近代になって登場したコンクリートのビルやアスファルトで覆われた道の耐久性は何年くらいなのか?何年くらいで劣化してしまうのか?3000年とはいわなくとも、1000年後に観光客は訪ねてこられるのか?とちょっと考えさせられたりも。

といつもながらに、話しがそれてしまいました。

全文読むと、ちょっと胸やけしてしまう程の妄想力のピエール・ルイスのビリティスですが、最後は芸術賛歌で終わっている。

ちなみに「墓碑銘」というのは実際にP.ルイスが書いたものは3つで、フランス語表記では LE TOMBEAU。
それ以外は、BUCOLIQUES, ELEGIES,  EPIGRAMMES の3つの詩集となって編纂されている。

意味は、夫々、「牧歌」、「哀歌」、「エピグラム(短詩)」。
エピグラムにも碑文、碑銘という意味があるので、ややこしいのだけれど、この場合は、既にLE TOMBEAU「墓碑銘」が別途あるし、3つ夫々の詩(歌)のスタイルを表す言葉である「短詩」と解釈する方が、「碑銘」よりも妥当だろう。
より揃えるのであれば、
「パストラーレ」「エレジー」「エピグラム」が良いかも。

エピグラフとエピグラムが一字違いで似ているのもややこしい。(´;ω;`)


エピグラフというl記載はルイスのものにはなく、おそらくこの6曲をまとめたドビュッシーによる命名だろう。もしくは出版社かも。

それまでの作品は、ルイスが出版の時に命名したChansons de Bilitis 「ビリティスの歌」を使用していたのに、ピアノ連弾に編曲しチョイスしたこの6曲に関してのタイトルはいきなり、Six Epigraphes antiques 「六つの古代の碑銘」となっている。まあ、確かに「古代の碑銘」というのはかっこいいけどね。

フルートとピアノのものは、その連弾をさらにドイツのフルート奏者であるカール・レンスキーが編曲したもの。
彼は、タイトルをバッサリと「ビリティス」のみに。
とても良い決断だと思う。
ちなみに、彼がもう一人のカールである楽器歴史の研究者のカール・ヴェンツケと共著での大きくて重たくて、ついでに高価なフルートの本がドイツから出ているのだけれど、これはかなり役に立ってくれている。
私の狭くて浅い知識教養を補ってくれている種本でもある。

昔はおぼつかないドイツ語を辞書を引きながらだったので楽しかったけれど大変で、それが今はもうスマホの翻訳サイトのカメラ機能でパチリとすれば、あっという間にサクっと日本語に。精度もかなりのもので、本当にとてもラクになりました。

(ドビュッシーのビリティス関連作品はそれまでの成り立ちが複雑なので、こちらで。)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%AD%8C)


でも、この場合も、もとは「歌・詩」なのだから、碑銘という意味ではなく、強いていえば「六つの古代の歌」もしくは「六つの古代の詩」で良いのでは?
とはいえ、かっこいい碑文のニュアンスも残したい、ということで、もう「エピグラフ」でいいんじゃないか?という結論に到達し、プログラムには「六つの古代のエピグラフ」とすることに。
「の」が重なるのがやや気に入らないけれど、他に思いつけないので。


これまたややこしくて、エピグラフも、エピグラム同様に碑文、碑銘の意味があるのだけれど、果たして巷に普及しているように「碑銘」(時には「墓碑銘」)と訳して良いのか?と疑問に思う。

ちょっと想像してみる。
140以上もの詩をみな岩に刻んだのか?誰が?ビリティス自身が?
(それはちょっと大変じゃあ?)
そもそも、そんなに沢山の碑銘を刻める程の豪華なお墓だったのか?

ルイスは墓碑銘としては3つのみ記していて、それはビリティスが納められた石棺、そして次は・・とこれまた詳しく・・
多分「墓碑銘」はその3つのみであって、それ以外は、パピルスに書かれ残された彼女の沢山の作品、つまりは詩ではなかったか?と、思う。

ルイスの妄想の世界をまた妄想しているだけなので、ここまでこだわる必要はないのかもしれないけれど、昔からとても違和感があったので、考察してみました。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ビリティス(六つの古代のエピグラフ)   
  作曲/ C.ドビュッシー/1915年
      詩/P.ルイス/1894年    訳詞 /栗田勇         

Ⅰ.牧場の歌  
パンフィリィの牧歌・・故郷パンフィリィ(トルコ南部)での少女時代

夏の風の神 パンに加護を祈るため 牧場の歌をうたわなくては
わたしは わたしの羊の番を   セレニスは セレニスの羊の番をする  風にふるえる オリイブのまあるい木陰で (後略)



2025年1月19日 マルタ共和国 ハジャーイム神殿近郊





Ⅱ. 名のない墓 
ミュティレネの哀歌・・レスボス島 サッフォー、ムナジディカとの恋
            (16歳以降)

ムナジディカがわたしの手をとり  町の門を幾つかくぐり 
耕されない小さな空き地までつれてった
そこには一つの大理石の墓碑があった  あのひとは わたしに言った  『このひとは お母さんの女友だちだったのよ』 (後略)   

 
2024年3月9日 ポンペイの墓地




2025年1月20日 マルタ共和国 イムディーナの門 朝と夜




2025年1月20日 マルタ共和国 ラバト 聖アガサ地下墳墓



Ⅲ. 夜への賛歌   
キプル島のエピグラム・・キプロス島 遊び女としての暮し(20歳前後)

樹々の暗いかたまりは もう山のようにうごかない  
あの限りない空には星がいっぱい ひとの子の息吹のように暑い風  
わたしの瞼と頬をくすぐるの  (後略)


2025年1月16日 マルタ共和国 ヴァレッタ



2025年1月20日 イムディーナ




Ⅳ.カスタネット(クロタル)を手に持つ踊り子 
キプル島のエピグラム・・キプロス島 (30歳以降)


そなたは鳴りひびくカスタネットを 軽やかな手に結び 
わたしの可愛いミリニジオン 
そしてローブを脱ぎ捨て裸になると せんさいなその手肢をひき伸す

2024年3月11日 ピアッツァ・アルメリーナ






Ⅴ.エジプト人の遊び女たち   
キプル島のエピグラム・・キプロス島 (30歳以降)

プランゴと二人で 旧い市街のいちばん奥の 
エジプト人の遊び女たちの宿へゆく
そこにあるのは素焼きの酒壺 銅の皿 黄色い莚(むしろ)  
そこに彼女たちは力もなげにうずくまる (後略)

(2019年4月 エジプト 王家の谷)
 


Ⅵ.朝ふる雨
キプル島のエピグラム・・キプロス島(40歳前後)

夜は消えさる 星ははるかに遠ざかる  
いまこそときは 最後の遊び女たちも情人たちと家路についた 
そしてただわたしだけ 朝(あした)ふる雨に濡れそぼれ 
砂の上に 詩句をかく (中略) 
ひとしずくまたひとしずく雨がわたしの歌をうがってゆく (中略)
ミルタレ、タイス、グリケラも 美しき頬のこける日に 
その身を語りはしないだろう
けれど後の世に生まれ 恋するひとはうたうだろう  
わたしの詩(うた)を もろともに



2024年3月9日 ポンペイ

2024年3月9日 ポンペイ

2024年3月9日 ポンペイ


(告知)4月24日(木) Flute meets Minipiano 鶴見区民文化CサルビアH3F音楽ホール

2025-02-28 08:38:51 | 音楽・フルート
早いもので、今年も、もう2カ月が過ぎようとしていますが、如何お過ごしでしょうか?昨年末のコンサートは、お忙しい中、沢山の皆様にお越しいただき、感謝しております。本当にありがとうございました!

4月24日(木)19時より、鶴見区民文化センターサルビアホール3階音楽ホールにて、とても珍しいミニピアノとのコンサートを開催します。
(全席自由 3000円、未就学児不可)
チラシ冒頭にも書きましたが、ミニピアノは「初めて聴くのに懐かしい」という形容が最もしっくりとくる、繊細で親密な響きの楽器で、フルートとの相性は最高です。
おそらく関東地方でこの楽器が演奏されるのは初めてではないかと思います。






プログラムは春の宵に相応しい作品を集めました。
お馴染みの名曲「アルルの女のメヌエット」や「精霊の踊り」等の小品も、ミニピアノとのデュオでは、新たな魅力を放ちます。

また最後の3曲はドビュッシーの作品ですが「夢」を導入とし、「シランクス」でギリシャ神話の世界に遊び、古代ギリシャの「ビリティス」へと繋がります。
「シランクス」は20世紀最高のフルート無伴奏作品で友人ガブリエル・ムーレイの劇「プシュケ」の付随音楽として作られました。

「ビリティス」はやはり友人ピエール・ルイスの奇書?「ビリティスの歌」がテキストで、当時のフランス人が憧れ夢想した古代ギリシャの奔放なビリティス(遊女・詩人)の生涯が描かれたものです。
舞台はトルコ南部のパンフィリィ、レスボス島、キプロス島です。
古代の地中海の風や風土に思いを馳せて頂くことができるよう務めたいと思っております。

会場は鶴見駅から徒歩2分と便利で、とても響きの良い会場です。御都合つくようでしたら、どうぞお越しくださいませ。

お問い合わせ、お申し込みは白川まで。 karadatoongaku@gmail.com

どうぞよろしくお願いいたします。 白川真理

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(プログラム)
〖 Minipiano  Solo 〗                           

  未定(演奏とお話 砂原悟)


〖 Flute meets Minipiano 〗

・踊る人形                             E.ポルディーニ(洪1869-1957)    
・精霊の踊り               C.W.グルック(独1714-1787) 
 
・シチリアーノ            G.B.ペルゴレージ(伊1710-1736) 

・ヴァイオリンソナタK.304ホ短調  
Ⅰ. Allegro   Ⅱ. Tempo di Menuetto   W.A.モーツァルト(墺1756-1791) 

           ・・・休憩15分・・・

・メヌエット(『アルルの女』より)        G.ビゼー (仏1838-1875)   

・瞑想曲(オペラ『タイス』より)        J.マスネ(仏1842-1912) 

・コンクール用小品               G.フォーレ(仏1845-1924)   

・夢                  C.ドビュッシー(仏1862-1918) 
 
・シランクス  Fl.Solo                   
      
・ビリティス(六つの古代のエピグラフ)   
           
Ⅰ.牧場の歌    Ⅱ. 名のない墓   Ⅲ. 夜への賛歌 
 
Ⅳ.カスタネットを手に持つ踊り子

Ⅴ.エジプト人の遊び女たち   Ⅵ.朝ふる雨





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3月29日(土)午後3時、京都では、こちらのコンサートが。
御都合のつく方は是非!

(以下引用)
砂原悟教授退任記念演奏会「minipiano 2.0」
2025年3月29日(土曜日)、京都市立芸術大学 堀場信吉記念ホールにて、2025年3月をもって退任する砂原悟教授退任記念コンサートを開催いたします。
在職14年、音楽学部長や副学長を務め、学生の学びと本学の発展のために尽力した砂原教授が、自身が指導した卒業生やガムラングループ・パラグナと共演し、ミニピアノの新しい響きへ挑戦します。
皆様の御来場をお待ちしています。