『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

花束

2020-07-31 00:49:25 | 日常
ありがたいことに、花束を頂くことの多い仕事である。

コンサート、発表会、様々なイベント・・

普段は花を買うということは少なく、大概は庭に勝手に咲いている雑草やハーブ、紫陽花などで楽しんでいる程度なので、やはり嬉しい。

同い年で同じ誕生日の友人Gちゃんは、お誕生日と結婚記念日には必ずご主人が薔薇の花束をプレゼントしてくれるそうで、ちょっとばかり、いいなあ、と羨ましかったりもする。

誕生日のたびに、「・・今頃Gちゃんは、薔薇の花束・・」と思い出している。

でも、なんせ数字に弱く記憶力もないので結婚記念日がいつだったか思い出せないし、夫の誕生日も4日だったか8日だったか未だにどっちだっけ?という体たらくなので、あまり大きなことは言えない。

息子は私と同じ22日生まれなので辛うじて覚えているけれど、「今年幾つになるんだっけ?」と何度も本人に聞いては辟易とされている。

そもそも、婚約していた頃に、今一趣味の合わないプレゼントばかりもらったので、「もう記念日のプレゼントは要らないから、まとめて、これにして。」と息子の出産を機に、アンティークの象牙と黒檀の鍵盤、レリーフ彫刻付きのピアノを買ってもらって、一生分のプレゼントってことにしたのでした。

私から夫へのプレゼントというのも、ほぼない。
これも夫から「やっぱりネクタイは自分で選ぶから」と宣言されて・・
麻のハンカチやソックスを時々買ってあげるくらい。

息子にもあげたりあげなかったりで。
今年はヒマなので猫柄Tシャツをあげたけれど、誕生日プレゼント、というのは子供時代から特にやっていなかったような気がする。

息子にも「母の日のプレゼントとか要らないから」と宣言していたので、もらったことはない。
社会人になった時は御馳走してもらったけれど、それくらいか・・

3人共にお互い、趣味が違うし、好みもはっきりしているので、中々相手の好みに寄り添えないのだろう。

・・・・・

とはいえ、冒頭に書いた様に、花束はよくいただいていた。

でも、今年になってのコロナ禍で、全てのコンサートやライブ、発表会も中止や無期延期となってしまい、花束とはすっかり無縁の暮らしに。

そんな中、本日、とても素敵な立派な花束を頂きました。

4年間レッスンに通ってくださっていた生徒さんが、中学生になり吹奏楽部に入部し、オーディションでの合格も勝ち取り、無事にフルートパートに。

即戦力との期待もあり、部活の練習も学校と共に再開され毎日出来るようになったそう。

でも、部活と塾が忙しくなり、フルートレッスンを一旦やめることになったのでした。

最期のレッスンは発表会で演奏するはずだった曲を本番モードで。

とても素敵な演奏でした。

さらには、部活で一番必要になる演奏時の腰かけ方を餞別代りにレクチャー。
これで、長時間の練習になっても大丈夫。

レッスンが終わった時、ドアの外に人影が。

お母様と妹さんがいらしていて、一緒に大きな花束のサプライズでした。

この7か月間、この世に「花束」というものがあるというのをすっかり忘れていたなあ、と感無量。

「本当は発表会の時に先生にお渡ししたいと思っていたのですが・・」

今までも沢山の花束をいただいてきていて、そのどれもがありがたく、本当に感謝しています。

でも、日々増える感染者数の報道を聞くたびに頭の中でセミがジ~~っと鳴いているような鬱々とした日々の中、本当に幸せな気持ちにさせていただくことができました。

帰宅してすぐに夫に写真を撮ってもらいさっそく活ける。

「細く撮ってね!」
「無理です~」

という会話はいつものお約束。

クリスタルの大きな花瓶2つに分けてもたっぷりふさふさで、収まりきらない花々。

一つは寝室に持っていく予定です。













指と掌

2020-07-30 15:01:37 | 気付き
考えてみれば当たり前のことなので今更、という感じではありますが、私にとっては大きな認識変換となったので、記録。

これもリモートレッスンだからこそ気付いたこと。

幸いなことに近場の方のリアルレッスンは6月から再開。

でも、時折遠方より訪ねてくださる方も数名いらして、やはりまだ新幹線や飛行機は・・

ということで、リモートレッスンが続いています。

これが思いのほか、面白い展開になることが多い。

やはり画面でクローズアップされるということ、自分と相手の画像双方を同時に見ることができるということが大きな原因だと思う。

・・さて・・

指の話です。

以前、「シャコンヌ/バッハ」のフルート編曲譜を出版した折、そこに古武術奏法に関しての当時の知見を書かせてもらったのですが、それが以下。

「魚の胸鰭のように」

つまりは「崖の上のポニョ」。

おさかなの胸鰭が徐々に人間の女の子の手に。

ちょっと先祖返りして手指をひれのように動かしてみる。

その延長上に渡しのフィンガリングはある、という話。

この動かし方になったからこそ、早いテクニカルなパッセージが格段にラクになった。

これも楽器の構え方同様、「水平垂直からの脱却」に他ならない。

言われなくても人はついついキィの真上で指の上下運動をしようとしてしまう。

腱鞘炎の主な原因はここにあるんじゃないか、と踏んでいる。

関節は螺旋なのに、上下運動の繰り返しだもの。

バッハタッチに関心を持ってかなり調べたことがあるのですが、伝記を書いたお弟子のフォルケルも言っている。

「手はものをつかむ動きに適している」

掌側に回収されるような動きが本来の機能ということだ。


なのに、その指を手の甲側に振り上げるのがハイフィンガー・・
古いクラヴィーア奏法とは正反対の動き。



より強さが必要な現代のピアノだし、という説明もされてきているけれど、最近はこのハイフィンガーも随分と廃れてきて「イマドキもう居ないでしょう」という人も居るけれど、そうでもない。

私もそうでしたが、フルートよりも以前にピアノを習っていた奏者・・それもハイフィンガーで・・はこの指の動きの頚城がかなり強いのではないかと思う。

まあ、ずっとこういったことを主張してきていて、もう何年も経っている訳ですが、先週のリモートレッスンでようやく、ハタと気が付いたのでした。

胸鰭の様ななめらかな動きをもたらしている大きな要因は掌だった、ということに。

掌の真ん中のツボ。

横隔膜を下げ、結果肩を下げ、呼吸が深くなり緊張が緩和される、という良いことづくめのツボの部分。

ここが中に入っているからこそ、胸鰭の動きは可能になる。

なので、事前に「蕾」の手の内をやっておくととても良い。
実際、この提案で、それまでパキパキしていた生徒さんの指もちゃんと胸鰭の動きに。

思えば、これは手裏剣をやる中で養われる手の内なのだろう。

マイブームが去って、もうすっかりしまい込んでいるけれど、2003年、甲野先生と出会ったばかりの頃は熱心に取り組んでいた。

実際、掌で筒状を作るのは難しいのだけれど、「最初にしては随分と柔らかく出来ている」と励ましていただいたのは良い思い出で。

まさかここに繋がるとは・・

手洗いは新しい生活の基本で、洗う回数も増えたと思いますが、その時もこのツボを意識してやると、指の関節が緩んでより快適に洗える気もします。

やってみてみて。

猫柄Tシャツ

2020-07-21 22:44:40 | ピピ
息子が30才になるので、何かプレゼントを・・

と心がけていてネットでみつけてしまったのが猫柄Tシャツ。

マウンテンというアメリカのメーカーのビンテージ、つまり古着なのですが、ピピにそっくりな凛々しい猫のTシャツがみつかりました。


勢いに乗って、さらにはギャラクシーで活躍している猫たちのTシャツもみつけてしまった・・

ミッションに燃えている引き締まった表情が何とも言えず可愛く、これは自分用に。

「Tシャツ」は、これまでの私のクローゼットには一枚もなかった。

正確にはWAYAZのメンバーTシャツとIくんからいただいた「まちかどまぞく」のシャミ子のご先祖さま御用達・血糖値高めTシャツの2枚のみ。

まさか自ら進んでTシャツを着たくなるとは、本当に人間変われば変わるものです。

それ以前に「猫柄を着る」っていうのもまさか自分が?と感慨深い。


最初は家の中でだけ着ていたのですが、ついには近所のスーパーデビュー。

一歩玄関を出てしまえば、後は同じで、先週はついにレッスンにも・・

電車の中でチラチラっと視線を送ってくる人はきっと猫好きなんだろう。

おでかけの時はTシャツのギャラクシー柄に合わせて、グレーパールのイヤリングをする等心がけて、このところ、すっかりヘビロテです。

問題は自分が着ていると、せっかくの猫柄が見えないこと。

なので目下、夫の部屋着用にもと、探しているところです。

このマウンテンというメーカー、全く知らなかったのですが、胴体部分は縫い目もなく、生地も程よい厚みでなめらか。とても着心地が良く驚きました。







肘・当て位置・埋める

2020-07-16 13:08:05 | 気付き
梅雨の日々の中の貴重な晴れ間の様に、ダウンした気分の日々の中にも、サーっと光が刺す様な歓びがあります。

練習の中での気付き。
そして、レッスンでそれを応用した場合の生徒さんの音の変化。

やはり、フルートっていいなあ、と今更だけど思えるのは、こんな状況下だからこそか。

忘れっぽいので記録を兼ねてアップしていますが、自分自身の為の覚書なので、わかりにくいところは御容赦を。

左肘を胴体につけたまま構えるというのは体力筋力のないお子さんや年配の初心者がやりがちな構え方ですが、ある意味理にかなっている。

腕にかかるフルートの重さを胴体で引き受ける、というのは合理的な選択だ。

もちろん、その結果、首が下を向き過ぎて負荷がかかるのでよろしくはないのですが。

先人の「卵一つ分開ける」という教えは正しいと思う。

卵とはいっても色々で、常識的な鶏の卵で良いと思うけれど。
・・しばしば駝鳥?というのも見受けることがあるので・・

そこでの助言は「身体から肘を少し離して」というものだけれど、その離すやり方が、ポイントということに気付いたのでした。

自覚はなくやっていたことが明確に。

胴体にくっつけたままの肘をただ上げるのは、その結果、当然ではあるけれど、肩が上がる。

フルートを持たずにやってみてもわかると思うが、どんなに僅かであっても、ちゃんとわずかに上がってしまう。

腕というのは器用な分、出しゃばりだ。
なんでも自分で出来ると思っている。

でも、たまにはさぼらせてやる。

代わりに働いてもらうのは胴体。

私の「羊座り」や「セミの羽化」は、この肘の取り扱いにも役立っている、ということである。
腰、背中と腕を繋げる作業の時に胴体が後ろに引かれることにより、肘から離れる。

もちろん、そのままではまだ下を向いたままの首でよろしくないのだけれど、それを解消するために、膝、腰でその角度を引き受けるように移動。
「屏風座り」に似た、軽くスクワットをやり続けている体勢となるけれど、下半身を隠してしまえば、10㎝ほど身長は低くなるものの、すっとした上半身が得られる。

結果、足腰の参加を得ることも出来て、良いことづくめ。

大きな仕事は大きな筋肉に。

云わばフルートを二頭上腕筋ではなく体幹で持ち上げていることになる。

先に述べたように、腕は器用ででしゃばりなので、何処にでもフルートを連れていけてしまう。

その先は「ものを食べる」ことに慣れている口元。

つまり大概の間違いの始まりは、「腕のでしゃばり」に起因しているのである。

口元に近ければ近い程、その柔軟性は損なわれることになる。

しかしながら、この構え方であれば腕の肘から先のサイズに導かれた無理のないその人本来の位置に導かれる。

「ここに来い」ではなく「楽器と人の共同作業」なのだから楽器だってご機嫌は良くなるはずである・・?

そして、さらにその結果「埋める」となるのだけれど、その「埋める」に関する気付きが昨晩のレッスンでありました。

埋める場所の変化。

あと、ハミングも。
通常のハミングとオペラ歌手のハミングの違い。

より少ない息で音を出せるようになった結果なのか、埋める場所が変化したからこそのハミングなのかは不明ですが、まあ、とにかく本当に不思議で、面白いです。

目に見える部分の説明は「物理」で間に合うけれど、身体の内側のことは不明。

だからこそ、面白い。

昔、火起こしの世界記録ホルダー関根秀樹先生から教えていただいた南の島の民族の鼻笛のことを思い出す。

その民族では男性が女性にプロポーズする時に鼻笛を奏でるのだそう。
何故鼻?

「口は嘘を付くから」

・・フルートは鼻で吹く楽器といっても良いのかも・・

さらに思い出したのは同じく関根先生から教えていただいたトルコの笛、ネイ。

これは斜めに吹く笛で、マホメットがネイに秘密の教えをささやいた、と言われている民族楽器。

・・フルートは斜めに吹く笛といっても良いのかも・・

いずれにしても、水平垂直思考からの脱却というのが大事だし、難しいということで。





2020-07-13 21:04:39 | 日常
東京での感染者数がまた増え始めました。

また大雨の被害が相次いでいます。

ここ数年、ずっと大変なことになっている。

コロナ禍に加えての水害、本当にどれほど辛いことだろう、とずっと日記更新もできないままに落ち込んでいました。

こちらでは、特に大きな被害はないにしても、暗いニュースと雨が続くとやはり気分は落ち込む。

昨日は久々に外に干した洗濯物がみな乾いてくれて、ちょっと一息ではありましたが。

8月と10月の本番は、やはり無期延期となりました。

この状況下ではあるしと、予想はしていたものの、やはり、これもまた落ち込む。

この先、本当にどんな世界になってしまうのか・・

周囲ではじんわりと再開され始めた宴会にお誘いいただくことも増えてきましたが、会話を伴うお酒付き飲食は感染リスクが高そうだし、調子に乗って予防意識もおろそかになりそうなタイプなので自粛中。

どんなに注意していても、うつるときにはうつる。
とはいえ、できれば、「遊び」でうつるという事態は避けておきたい。

レッスン、講座等、ようやく、動き始めたこれ等の歯車を止めないためにも慎重になります。

ということで、結果として夫とばかり遊んでいる。

・・あ~あ・・?


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写真は庭の紫陽花第二弾。



前のものは薄いブルーでしたが、今度はピンク。
同じ木なのに、不思議です。
ブルーのものは朝と夜、水を替えてやっていたら2週間も持ちました。

「ステレオスペルラムレモンライム」という長い名前の新入りも。

ノウゼンカズラ科ラデルマケラ属なのだそう。
肝心なことは何も覚えられないのに、こういう、別に覚えなくても良い名前の方が、頭に入る、というのは何故でしょう?

4年前に一目惚れして連れ帰って、家を出た息子の代わり?に世話をしていたシマトネリコは立派になりすぎたので庭に植え替え、さらに立派に。
切っても切っても、すぐに伸びてきます。

なので、今度は小さな鉢にしました。