『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

「にくの会」 7月

2021-07-25 02:33:42 | 俳句
高校の同窓生有志による俳句の会「にくの会」。

同窓である対馬康子先生に選句していただける贅沢な会です。

今回もリモート参加。

前回、初めて康子先生の特選★3つを頂き有頂天に。

やはり、とても励みになるものです。

今回は、結構前からちゃんと考えた。

いつも、締め切り当日にパパっと、だったのを3回くらい推敲しました。

今回の兼題は「向日葵」。

特選とはなりませんでしたが、この兼題の句で★1つをいただきました。

最初に思いついたのはオヴィディウスの「変身物語」。

太陽の神・アポロンに焦がれて向日葵になってしまったニンフの話。

でも、句は披露するのも憚られるくらい陳腐なものに。

間際だったら、きっとこれを出していたことでしょう。

切り替えて、他に連想を飛ばして、すぐに思いついたのは、ウクライナの向日葵。

作曲家・カプースチンのことを調べるために、ウクライナのことを検索している中、向日葵の生産量が世界一、ということを知りました。種からオイルを取るのだそう。

そして、チェルノブイリ。

さらには福島。

放射能を軽減するために、向日葵が植えられたという話も耳にしたことがある。
見る人もいない村に咲く向日葵。
最初は「見る人もなき村」だったのを、より句糸がわかるように、「線量測る」に。

     向日葵や線量測る村に咲く (4点)★



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ウクライナ繋がりで思い出したのは・・
ウクライナワンピースにすっかりはまり、ついでにウクライナの古い手紡ぎ手織りの麻のストールを入手し、梅雨時に重宝していたので、そのことを。
100年程前のものらしく、やや厚手で、本来はテーブルセンターかもしれない。
でも、時代を経て、よい具合にしなやかになっているので、巻物に。
どんな女性が紡いで織って、そして使われてきたのだろう・・
サンドベージュの生地(65㎝×180㎝)全てに白い糸で刺繍が施されていて、その手間を考えると気が遠くなりそう。



やや、重いけれど、不思議なことに身に着ける全く気にならないのはウクライナワンピースと一緒で、肌ざわりや通気性がよく心地よいからかも。

本人がヴィンテージ年齢?に近付いてきたせいか、身につけるものも、ヴィンテージが増えてきたなあ・・

    梅雨寒の首にクシュリと手織り麻  (2点)

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母の形見の白檀の扇子は夏の必需品。

3本程ある。

古い物なので、香りすぎなくなっているところも丁度良く、愛用しています。
母方の祖母からもらった鼈甲にオパールと翡翠の細工がされた簪をリフォームしてもらった根付を滑り止めに。







「簪はもう使わないから、作り替えたの。一つは私に。もう一つを〇〇さんに。」
と、母に。おそらく40代で夫を亡くした母への労わりだったのだと思います。
それを私が受け継いだ。
着物を着た時にはいつも帯飾りとして付けているものです。

祖母とはいっても、血の繋がりはなく、元芸者さん。
最初の奥さん、つまり本当の祖母以降の祖母の最初の1人は銀座のママ、他3人は、みな芸者さんだった。

私は2人しか知らないけれど、お二人とも綺麗で、シャンとしていて、親切で、話も面白かった。そして可愛がってもらいました。

母たちの感情はまた別だったろうとは思うけれど、子供心には、綺麗なおばあちゃんというのは自慢で嬉しいものだった。

子供の頃は高松に居て、西鎌倉の祖父母に会うのはいつも夏休みだったので、夏になるとより、想い出すことが増える。

祖父の家での親戚一同集っての宴会はとても楽しかった。
・・そうか。私の宴会好きのルーツはこれだったか!?と今気付く。


この夏のあまりの暑さに、携帯用扇風機も買ってはみたものの、音も気になるし、かさばって重いので、結局は、ずっとこの扇。祖母の根付も付けたので親子三代の扇になった。

白檀の香りはもう微かになりましたが、母を思い出す薫風です。 
もちろん祖母達のことも。


       白檀の扇の風に母想う  (2点)


第108回 音楽家講座 in 鶴見  7月20日(火)

2021-07-22 01:21:49 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
今度こそ・・と思っていたのに、またしても、時短開催となってしまいました。

でも、こうして開催出来るだけでも、ありがたい。

パソコンが昨日から不調で、ようやく先程回復しましたが、それでも立ち上がるまでに30分もかかってしまいました。

よりによって、音楽家講座当日に故障とは・・

お申し込みに返信できないままの方も複数名いて、失礼してしまい、申し訳なかったですが、甲野先生にツィートをお願いしてあったこともあり、皆様、私からの返信がなくても参加してくださり、良かったです。

今後も、この鶴見での講座はキャパもあるので、当日の返信がなくとも、どうぞご参加くださいませ。

・・・

指揮者の岩城宏之が、美空ひばりのことを語ったエピソードをお話されました。

「誰もが、自分だけのために歌ってくれていると感じる歌手」

これは、私も経験したことが。

ドミンゴ、カレラス、パバロッティ、カヴァリエ、フレーニ、バルツァ・・

オペラやコンサートで聞いた名歌手たちは、みな、そのように感じられたものだった。

その極意にも通じる、という先生の摩訶不思議な技。

「人間は思っている以上に、こうした相手の思念を察知する能力があるのです。」

拳を出しているけれど、自分の気持ちの中では、その拳が肘のところにあって・・

また、もう既にそれはもう相手の向こう側にあって・・

前回に続き、Aダッシュの技も。

なんだか、もうみんな催眠術みたいだけれど、実際には、みな足元から崩される。

先生の手の力感は全くなく、それなのに、(いや、それだからこそなのだろうけれど)目にも止まらぬ速さで相手に到達する。

「イメージではなく、これは、もうリアルに自分の中の真実としてあるものです。
出来るはずだ、というポジティブ思考的なものは、むしろ、出来ないことが前提になっているものだから、それとも違います。」

このイメージと内観の違いは未だによくわからない。

そもそもイメージの定義もあやふやだ。

ポジティブ思考的な発想も、ある場合には役に立つこともあるかもしれないが、先生の技の中ではバッサリと斬り捨てられる。

初参加の方が3名が個別指導を受けられましたが、もう何度もその変化を目撃している私や常連の皆様も驚くような変化でした。

上質のコンサートホールである鶴見の会場では、本当にその変化がよくわかる。

紐、そして祓い太刀によって変化するのは、奏者の身体だけでなく、心もなのだろう。






この二つが共に変化することで、響きも、音楽も瞬時に変わる。

緊張するのをなんとかしたい、という方には掌の真ん中をくぼませるための手の内の作り方と、紐を。

また、歩行が困難になってきた親御さんのために、何か、という方には、鎖紐による四方襷、そして身体が繋がる手の内を。

誰が作っても、それなりに効果があるからこその手の内ですが、やはり先生のものは、なんだかその奥底が違う気がする。

いつもは袖の中に隠れていて見えない肘周辺の様子を見て、改めてびっくり。

どう養っていけば、あのような様子になるのだろう・・?









最後に木刀で、「何故か、ふとやってみようという気になって、やってみたら、出来たんですよ。」

と「燕返し」を披露してくださいました。

「昔は、ここで、詰まって止まってしまうので、やってみようという気にもならなかったのですが、それが何故か・・」

というその技は本当に美しく、もっと見ていたかったです。

木刀の重さが無くなって、宙をひらりと舞うような様子は、生まれて初めて見るものでした。

まるで、舞の様。

昔、東慶寺コンサートの折に先生にお願いし、先生の真剣による剣舞とイサン・ユンのソリというフルートソロの現代曲で共演していただいたことを想い出していました。
先生の舞を見ながら演奏することで、かつてない世界に入いり込めた貴重な経験。

次回の音楽家講座では、真剣での燕返しをお願いしてみようと思います。

次回は8月31日(火)、同会場(横浜市鶴見区民C.サルビアH.3階音楽ホール)です。今度こそ、通常開催出来ますように!




ツチノコ

2021-07-19 16:05:18 | ピピ
小学校の5,6年生だった頃、家庭科の課題で、ぬいぐるみを作る、というのがありました。

熊でも、猫でも、好きなものを、ということでした。

すぐに閃いたのは、当時話題になっていた

「ツチノコ」

これなら、手足も耳もなしでいけるじゃない!?


母のコートを仕立てた残りの茶色のウールの生地があったので、それを適当に切って、縫い合わせて、パンヤを詰めて、黒いボタンを目にし、口元は、せめて可愛く、と黒い糸でばってんにクロス刺繍。

あっという間に完成させました。
その上、可愛い。

それを提出した時には、クラスメイトも先生も「・・・流石です・・」と(多分いろんな意味で・・)唸ってくれたような記憶がある。

そんなエピソードをなぜ何十年も経ってから思い出したかというと、ピピがそっくりの恰好で寝ていたから。







顎をペタっと床に着け、前脚は胴体の中に収納。

大きさも色も形も、かつて作ったツチノコのぬいぐるみにそっくりでした。

そもそもツチノコもこうした格好をした猫を見間違えた、という説もあるくらい。

なんだかニョロっとしています。

・・本当にいるのだろうか・・?ツチノコ・・



7月の設え

2021-07-14 23:34:51 | テーブルコーディネート
7月はエジプト。

ナイル川岸の模様のテーブルクロス、カイロの飛行場で買った螺鈿細工の箱、そしてファルーカの中、ヌビアの少年から買った50円の白檀の猫。



よく見ると猫の目の位置は左右でかなり違っていて、このあたりのおおらかさも好き。




ピピの形状認識能力はとても高くて、この木彫りの猫をライバル視しています。

シュっと猫パンチを繰り出してテーブルの下に落としたり、小さな牙の噛み跡も。

ルスカスは今も元気で、今月末で遂に一年を迎えることに。
本当に不思議な植物です。