『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

デュエット

2020-10-29 12:00:22 | 音楽・フルート
同門であり、以前一緒にトリオを組んでいたHさんとは、実は同じ町内住まい。

コロナ以前はアンサンブルの練習や様々な本番、練習、宴会で顔を合わせていたし、偶然電車の駅で遭遇ということもよくあった。

今回、コロナでの自粛暮らしになった時、何故かすぐに思い出したのがこのHさん。

元気かな?とは思うものの、みな夫々にコロナに対する感じ方や対処の仕方も違うだろうし、とりわけ音楽関係の友人には連絡出来ないままでいた。

それだけ深刻ということだ。

非常事態時には、他者以上に、自分自身の感覚も疑った方が良い。
なのでプチパニックの時の他者との交流はかなり慎重になる。

ところが、このHさんと偶然、以前は一度も会ったことのないスーパーで遭遇。

お互い夫連れだったので積もる話もそこそこに別れたけれど、こんなに懐かしく感じるとは!?

そして、その数日後にもバッタリ。

これは、もう運命ね、と二人で勝手に決めて、感染に配慮しつつ、フルートで遊ぼう、と話しはすぐにまとまり、昨日午後、お越しになりました。

フルートの前にはおしゃべりもしたいので、3階のルーフバルコニーに椅子とテーブルを出し、ペットボトルのお茶とパッケージになっているチョコやクッキーでお茶。

何度も家にいらしているけれど、そういえば、屋上は初めて案内する。

いつもは本番に備えての練習がメインだったし、練習後にリビングでそのままお茶だった。

この日は、様々な沢山の鳥が頭上を何度も飛び交っていた。

自粛期間中の春先には「おうちでカフェごっこ」と称して、ここでランチを取ることが多かったけれど、夏は暑いので、ずっと使っていなくて、久しぶり。

周囲には高い建物も大分増えてしまって、越してきた当時の景観ではないけれど、それでも遠くの緑地や公園も良く見えて、何より「空が広い!」と喜んでくださっていた。

そしてデュエット。

魔笛、テレマンのカノンソナタ、で初見大会。

もちろん、仕切りをして、3メートル離れて。

二つの音が重なった瞬間の喜びがこれほど大きいとは我ながら驚きだった。

考えてみれば、純粋に「遊び」で合わせたことって今までなかったね、と話す。

Hさんも同様の感想をもたれたようで、「楽しいねえ~~」と。

お互い気が強いので・・というか気の弱い女性音楽家は多分居ないんじゃないかと思うけれど・・若い頃は戦いのようなデュオを繰り広げて、師匠・植村泰一先生にあきれられ、窘められたこともあった。

今回、私達、ようやく師が求めていたアンサンブルに近付けたのかもしれません。

同門なだけあって、アンサンブルの嗜み、お作法は共通項が多い。
何より、ビンテージフルート、ルイ・ロット同士!!

コロナ禍の中、色々とうんざりなことの方が多いけれど、その中に時折キラリと輝く幸せなひと時もある。



身体の側面、法螺貝、鉄砲魚

2020-10-27 20:38:30 | 気付き
やはり音楽家講座で甲野先生にお会いすると、メキメキっと色々変化する。

withコロナになってから、益々、加速している気もします。

今回は、質問しようと思っていて忘れていた肋間神経痛のような痛み。

練習しすぎる(私の場合は、4時間を二日連続)と痛むようになっていて、どうしたものか、と思案していたのですが・・

前回の相手を片手で起こすやり方の応用、そして虎拉ぎの応用で、身体の側面がより繋がり、その結果、悩みも解消となりました。

私の奏法は、腰から腕を繋げるために、かなり背中は丸まっているし、膝も緩んで、少し折れた状態。

膝裏をのばして、まっすぐに立つ姿勢とは対極にある。

今のところ、この姿勢が自分には合っていると思うし、おそらくこの先も膝裏が伸びることはないだろう。

でも今回、セッティングが3ミリ変化したことで、相当身体には負荷がかかるようになった。

今まで使っていなかった箇所が急に働き出したせいもあるのだろうけれど、痛いのはやはり困る。

しかしながら、今回のクロール?と虎拉ぐをすることによって、身体の側面も強固になりそれまで、前後だけで行っていた楽器の保持に参加してくれるようになったのでした。

特に虎拉ぎがフルートでも応用できるようになったのは大きな進化だ。

慣れてくれば、あの虎の手を解除しても肩周辺の感覚は維持できるのかもしれないが、これが結構難しかった。

さりとて、あの手の恰好でフルート演奏は無理。

それが今回、虎拉ぎを作った後、とあることを行うことで、掌を解除しても、肩周辺の環境は虎拉ぎの時のまま、ということが出来るようになった。画期的だ!

先生の背中、という訳にはいかないけれど、随分と肩が下がってくれるようになった。

虎拉ぎは高音に効く手の内だ。

声楽、龍笛、そしてフルート。

・・・・・・・・・・・・

さらには、マイブーム再びの法螺貝。

吹いたことがなくても、TVの時代劇などであの倍音をパオー!と鳴らすのは誰もが持っている共通のイメージだろう。

これがインターバルの練習にとても役立った。

パーオーではなくてパオーというのがポイント。

すかさず速く行うことで、口元の余計な動きを封じる稽古にもなる。
奏者の進度にもよるけれど、この結果、より身体の奥、内側が使えるように。
このやり方は以前気付いた「後追い支え」にも通じる。

先日お気に入りの「アニマル・プラネット」のチャンネルを観ていたら、何かの番組で
鉄砲魚のことをやっていた。

水面から水鉄砲の様に水を吹き付けて、木の枝に止まっている虫を落として食す、という。

その命中率はかなりのもの。

以前から鉄砲魚のことは知っていたけれど、今回初めて知ったことが。

通常、物理的に考えると、水しぶきは上向きに発射されると、どんどんその勢いが失われてしまう。

ところが、鉄砲魚はそうではない。

獲物に達するまでその勢いは落ちない。

それは何故か?

発射してすぐに、もう一度勢いを上乗せしているらしい。
そうすることによって、水しぶきの先端は勢いがつき丸まって、虫をノックアウト出来るんだそう。

これが、法螺貝の「パオー」に通じているのではないか、というのは私の想像。
つまりは後追い支えだ。

ゆっくりの跳躍はどうするか?

跳躍する直前に頭の中で「パオー」ってやるの。

最初の音をのばしつつ頭の中では最後の瞬間を短前打音的に。



ミニ発表会

2020-10-26 22:36:25 | 音楽・フルート
5月に予定されていた大会場での発表会は中止となってしまいましたが、先日、せめても、ということで、広めのお教室で、出演者3名と、観客は夫々の父兄2名、そして講師2名、ステマネ1名という合計12名のミニ発表会が開催されました。

ピアノ2名とフルート1名の、本当にかつて経験した中で、一番小さな発表会。

それでも、お店の配慮で、豪華な生花スタンドが、コンサートホールの時と同じように飾られていて、生徒さん達も発表用の衣装で、もちろん私もいつもよりドレッシーにして、華やいだ雰囲気に。

いわばサロンコンサート形式。

客席が近いのは、かえって緊張することもあるので、案じていましたが、みなしみじみと素晴らしい演奏を披露されました。

ちょっと涙腺危なかった。

中学生の生徒さんは、ユーミンの「緑の街に舞い降りて」と「いつも何度でも」。
お母様がユーミンファンで車の中でよく聞いていて好きになったのだそう。

ユーミンのこの曲は、私も大好きで、高校?大学?なんせ昔ピアノで弾き語りしていた曲。
その曲をこうして50才の年齢差のあるお子さんとアンサンブルしているのが不思議だし、楽しい。

良いひと時を過ごさせていただきました。





第99回 音楽家講座 in 鶴見 10月20日(火)

2020-10-21 02:27:33 | 音楽家講座・甲野善紀先生を迎えて
音楽家講座のある日は雨になることが多いのですが、今回は珍しく良いお天気となりました。

先生の「左と右で別人になる」の技はさらに進化されていて、毎回驚かされています。

今回はなかなかの盛況。

個別指導希望者も多く、全員が受講できるかどうか心配したのですが、大丈夫で一安心。

ベース、口笛、チェロ、ジャズピアノ、日常での姿勢に関しての質問、パソコンワークに伴う肩こりの解消法、龍笛、ギター。

どなたも、ご助言いただいた後、瞬時に響きが変化する。

こうしたシーンはもう何百回も見てきているのに、毎回、感動するし、ワクワクする。

先生のご助言や「ひも」が凄いのは大前提として、それを受けて瞬時に変化する個々の心身が美しいと思う。

最近、音楽というより人の存在自体が美しいと感じることが多くなってきたのは、おそらくコロナの影響だろうし、年を取ったということなのかもしれないけれど。

電車の遅れで、先生の到着が10分程遅れたので、繋ぎとして、私の前回からの進展をご紹介した。参加者の皆様にも、その響きの変化ははっきりと分かったようで、これまた嬉しい。

でも、この新たな進展をもたらしてくれた釣り合いの為のセッティングもまた、新たな「小成」に過ぎないと肝に銘じておこう。

だって、2004年の大発見の「小成」から現在に至るまで16年もかかってしまったのだから。

先生には、事前にご報告していたけれど、今回の講座の中でも「小成は大成を阻む」と仰っていたではないか・・

定番の紐に加えて、今回面白かったのは奏者の脚を先生がゆすって動かすというもの。

本来「みちのく山道」というごつごつしたボードの上で稽古すると良いとのことだけれど、それがない場合は・・と。

演奏が、より楽しそうで上機嫌な表情になったのだった。

さらに鎖編みの紐の四方襷で、より響くように。

また、前回も仰っていた「自分の音に教えてもらう」という方法。

録音し、それに合わせて、自分の身体が動くところを探す。

数年前、先生がバリを訪れた時、その後しばらく毎晩、舞っていらした時期があったが、それは自分の中から自発的な動きを導き出す、というもの。

「緊張するというのもひとつの才能」

という言葉にもハッとさせられた。

腰かけた相手を起こす腰から繋がる腕の作り方の応用で、過去にヴァイオリニストには弓を持つ時にやっていただいていたのを、今回はチェロでも。

これまた驚く程の変化。

さらには、龍笛での高音のための「虎拉ぎ」。

ギターのピックの持ち方のご助言は数年前の合宿以来で懐かしい。

私の新たなセッティングに伴う演奏方法は、まだ日にちが経っていないせいか、結構身体に負荷がかかっている気もする。

気もする、というのは、演奏している最中は、全く違和感もなく(鈍いからだろうけど・)むしろ、より長時間吹けるようになっているので、練習しすぎてしまっているのかもしれないが、夜眠る時など急に肋間神経痛的な痛みを感じる日が増えた。

今回は、そのあたりを先生に質問したかったのだけれど、色々と面白すぎて、すっかり失念していた。

でも、沢山のヒントをいただいたので、早速色々と試すのが楽しみである。


このような状況下、こんな暮らしがいつまで続くのか、先の見えない中、心身を蝕まれてしまう危険も沢山だ。

還暦を越えた私でも、わ~っと叫びだしたくなるような、その一歩手前の感覚が襲ってくることもあるくらいだ。

とはいえ、まだ私の世代は、過去の沢山の経験という蓄積と想い出がある。

でも、若い世代や子供たちにとって「集う」ということすら困難になっていることが気の毒すぎる。

特に音楽やダンス、演劇等、舞台芸術に関係する者にとっては受難の時代となってしまった感すらある。

そんな中、この音楽家講座で、甲野先生と触れることが何かしらの一助となれば嬉しい。そして参加された皆様から、さらにその周辺へと、こうしたエネルギーが伝わり広がっていければ、と思う。

「従来のメソードを鵜呑みにせず、自分の奏法を探す」

ということは、音楽に限らず、実は実人生を生きるのに最適なやり方ではないか、と遅ればせながら本日気が付いた。
 
とにかく生き延びましょう!

ということで、次回は同じ鶴見の会場にて、11月26日(木)の開催です。

そういえば、本日最後にお伝えするのを忘れてしまったけれど、次回は遂に100回目。

合宿や、オープンにしていなかった頃の講座までカウントすると、実際には、もうとっくに100回は越えているのだけれど、数字に弱く、正確な回数はアバウトで、申し訳ないです。

でもまあ、一応、ほぼ100回記念ってことで!

・・

写真は・・いつもガラケイのピンボケですみません・・

・「もう持ちたくない」の先生の杖の手の表情。


・背中!!


・ギタリストに巻いた紐


・ピアニストに巻いた紐







ピピ!

2020-10-11 00:06:10 | ピピ
久しぶりにピピに会いに行きました。

私は9月後半に一回、東京に用事があったついでに息子の部屋に寄っているので一か月ぶりですが、夫はお盆休み以来の対面で、とても嬉しそうでした。

悔しいことに、何故かピピは私よりも夫に懐いている。

一歳半となったピピは、先月よりも、少し大人びた風情。

夏の毛がすっかり抜け替わって、より艶々としたダークな色合いのルディーカラーの毛並みが美しく、そして夏には、細々とみすぼらしくなっていた尻尾がフサフサで、さらにイケメンニャンコになっていました。



・・ああ・・連れて帰りたいっ・・!!