『笛物語』

音楽、フルート、奏法の気付き
    そして
  日々の出来事など

フルート奏者・白川真理

CD付き楽譜『水月・浮雲』 発刊

2020-12-29 23:55:16 | 音楽・フルート
CD(演奏とギター伴奏カラオケ)付き楽譜『水月・浮雲』が発刊されました。  

https://www.alsoj.net/store/view/ALFLSU.html#.X-gomfh7lPZ

アルソの専属デザイナーの方が、沢山のアイディアを出してくださり、考えてくださった美しいデザインです。

その上、表紙の題字は・・・

甲野善紀先生が書いてくださいました。

先生は、この4文字のために、お忙しい中、一日を費やし、100枚以上も書いてくださり、その中から数枚渡してくださったのですが、そのどれもが夫々に表情が異なり、選ぶのがとても大変でした。
先生の題字を眺めているだけで清浄な世界へと運ばれる心地がします。

昨年10月に新大久保のスタジオで録音したものです。
ご自身のソロパートに納得がいかないと、何度もテイクを重ねてくださったギターの宇高靖人さん、そしてそれにしっかりと付き合ってくださった制作担当の皆様。

サクっと午前中で終わる予定だったものが、終了時には日が落ちていましたが、皆、嬉しい充実感を感じていました。

帰り路、「あのトレモロだと、まだロットの柔らかな音に釣り合わないです・・・。もっとなんとかしたかったんですが、すみません・・」と悔しそうに仰られたので、本当に驚きました。

そんなことは全くなく、私にはファーストテイクの時から、なんと美しい・・と感嘆していたので・・

奥様がフルートで一緒に演奏活動されていることから、フルーとトのアンサンブルに慣れていること、「いちむじん」で活躍されてクラッシックファンだけでなく、多くの方に喜んでいただける楽曲作りのセンスがあることということで、お願いしたのですが、常によりよいものを追求し続ける真摯なその職人気質に触れ、さらにファンになりました。

何より、ギターの響きが美しく、ロットとの相性が最高に良い。

昨年6月の宇高さんとのコンサートを聴いてくださったアルソ出版社の方が、私達のアンサンブルと、この作品をとても気に入ってくださり、お仕事の依頼となったのでした。

練習の折作ってくださったギターソロパートには、初回はダメ出ししてしまいましたが、2回目には、私の理想を上回った、曲の個性をより引き立ててくださる素晴らしい仕上がりに。

「水月」は胸が痛む程に切なく、「浮雲」は雄大な宇宙が広がり、「星の林」の煌めきの中にいる心地です。

早速、宇高さんのギターによるカラオケで演奏してみましたが、贅沢な気分。

「水月」はギターから始まるので、問題ないのですが、「浮雲」はフルートソロから。

最初にカウントがあって、ほぼ四分音符60秒のテンポなので、何度か聴き込んでいただいて、テンポ感に慣れれば大丈夫なのですが、それまでは、ちょっと大変かもしれません。・・すみません・・

こちらのアルソ出版社のサイトの他、近日中にはアマゾンからも2530円(税込み価格)で購入可能です。







著作権フリーですし、勝手に楽器編成を変えるのも可。

フルート以外の楽器でも演奏可能ですし、元々、ピアノで作った曲なので、ギターパートをピアノに置き換えるのも可能です。

(水月は3カポになっているので、♭3つつけて、ヘ音記号読みとなりますが)


昨年12月のコンサートではピアノ伴奏で、チェロとメロディーをシェアしたり、はもったり、とアレンジしたものをアンコールで披露し、これも好評でした。

「浮雲」はピアノソロでも良い雰囲気になります。ギターソロが受け持っている中間部は、いわばカデンツアなので、各自で好きなことをやってもいいし、無しでも。

楽譜の頚城から解放され好きな様に演奏していただきたいと思い、敢えて様々な記号は書きませんでした。


水に揺らめく月影や、空に漂う雲の様に、その都度のご自身の心の変化を大切にして演奏していただければと思います。


また楽器をたしなまない方にも、CDの演奏をお楽しみいただければと思います。

「和」の曲ではありますが、その基礎はクラッシック。

古の巨匠たちの遺産を沢山借用させていただいています。

水月の主題の伴奏のアルペジオの音型はバッハの平均律のプレリュード(C Dur)、バスはビーバーのパッサカリア(ロザリオのソナタの終曲)のラメントバス(嘆きのバス)、メロディーにはバッハのシャコンヌの3音の順列が装飾的に変化するパターンもあります。

また浮雲の伴奏もギターの開放弦の音のみの1コードで、主題の伴奏はいわばオスティナートバス。さらには曲全体を通して常に低いEが支配していて、これは揺るぎのない神、自然の摂理を表すオルゲルプンクト。壮大な宇宙にも通じます。

かつて、バッハのシャコンヌを写経するように日々の糧として吹き、フルート編曲譜を出したこと、また同様にビーバーのパッサカリアに親しんでいたことが、いつのまにか自分の血肉、土壌になっていて、小さな2輪の花が咲いた、という感じです。


ステイホームが長くなりそうなこの冬休み、お手元に置いていただけると嬉しいです。

そして、気軽に様々な楽しみ方をしていただきたいと願っています。

・・さらには・・

「音楽は不急かもしれないけれど不要ではない」

と感じていただければ、望外の幸せです。

どうぞよろしくお願いいたします!

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この一年は一度もステージに立つことなく終わり、このブログ名も「笛物語」から「猫物語」に変えた方がいいんじゃないかしら?と真剣に考えていたくらいだったのですが、年の瀬となってではありますが、「水月・浮雲」が発刊出来、とても嬉しいです。
これも、出会った全ての皆様のお陰です。
本当にありがとうございました!

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結婚してすぐに大丸の骨董市展で購入し数回使ったまま、しまい込んでいた漆器のお正月セットを本当に久しぶりに出しました。

息子の育児や母の介護などで過ぎていったお正月には出せないままで。
さらには年々コンサートが多くなってきたことで、やはりこんなことをするゆとりはなくなっていました。

左の松と千両を活けた花瓶の葉っぱは7月末にいただいた大きな花束に入っていたもの。5ヶ月たっても瑞々しい。
右はガラスの器にテーブルフラワーとしてアレンジしてみました。
 



今年はこれで、のんびりとお正月です。

一年間、本当にありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。    


「水月・浮雲」の想い出

2020-12-26 23:23:24 | 音楽・フルート
「人に歴史あり」

と同じく、曲にも夫々の歴史、生い立ちのストーリーがあります。

特に、この「水月」も「浮雲」も様々な方々との出会いと交流がなければ生まれなかった曲です。

改めて、振り返ると本当に沢山の方のお陰で演奏させていただき、曲も生まれたのだなあ、と改めて深い感謝の念が湧いてきます。

感謝の念と共に、曲の歴史を書いておこうと思います。


「水月」

・・・和光大学にて・・・

「水月」は元は「江平の笛」の為の曲。
甲野先生の門人で武術の良きアドバイザーだったKくんは当時和光大学の学生で、「白川さんは関根先生に会うべきです!」と強引に関根秀樹先生(和光大学講師)を紹介されました。関根先生は民族音楽や古代技術の専門家で、空手の達人。
様々な民族音楽のことを御教えいただいたり、キャンパスで焚火をし焼き芋を作ってくださったり、と、色々と楽しい経験をさせていただきました。やんちゃな子供がそのまま大人になったような方で、ブッシュマンと対決して勝って、「火起こし」の世界記録ホルダーにもなった、というアクティブな先生。
先生の教え子の学生さん達にも仲良くしていただき、もぐりのキャンパスライフを満喫。

知り合ってすぐに、関根先生から福島県江平遺跡で発掘された日本最古の天平時代の笛を復元した、という小さな竹笛をいただき、キャンパス内でもよく吹いていました。

曲もないので、自分で適当に、浮かんでくる旋律を奏でるしかありませんでしたが、これが意外に楽しかった。

2006年11月、和光大学の学園祭に遊びにいった際、中庭の池に関根先生が浮かべたキャンドルと満月が輝く幻想的な風景をみつつ笛を吹きました。

水に映った月、即ち「水月」。
すぐに思い出したのは「水月観音像」。


・・・・東慶寺にて・・・

「水月」で思い出していたのは北鎌倉の名刹・東慶寺の「水月観音像」。

2001年より母校・香川県立高松高校の同総会のご縁で、この本堂で毎年演奏させていただいていました。

その数年前から同窓生からのSOSを受け、幹事のお手伝いをするようになったのですが、そこで出会った沢山の同窓生との交流の中、このコンサートも16年間続きました。

演奏の前には必ず祈りを捧げていた、優しい面立ちの美しい観音様です。

「水月」は和光大学の中庭の池の前で、この水月観音さまのことを思い出しながら、演奏して出来た曲でした。

2007年の東慶寺コンサートではギター伴奏付きに編曲し、初演しました。
ギターは今回の件でお世話になった同期の弁護士Iくん。

アマチュアですが、法廷では弾き語りで勝訴しているという噂も立つ程の腕前で、同窓会関係のコンサートではよく共演してもらっていました。

笛を吹いてメロディーが生まれ、その時感じた和声をピアノを弾くことで具体化し譜面にする、というのが私の作曲方法なので、本来はピアノ伴奏で作ったものですが、東慶寺さんにはピアノはなかったのでギターで。

関根先生の売り込み?でNHKTVの番組に出演させてもらったり、と「江平の笛」は多くの方に喜んでいただけましたが、やはりロットの方が私には面白く、竹笛はいつのまにか自分の中でフェイドアウトしてしまいました。でもまた「その日」が来れば吹く日が来るやもしれません。

少なくとも、フルートだけ吹いていたのでは絶対に「水月」は生まれなかったことは確かです。

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(解説)

水 月(suigetsu) Water moon

開闢700年余の北鎌倉・東慶寺。かつては駆け込み寺として多くの女人を救ったこの名刹には、鎌倉時代より伝わる「水月観音像」(神奈川県指定文化財)が収められています。

高校の同窓会のご縁で16 年間、この本堂で演奏させていただいていた折、必ず祈りを捧げていました。岩にもたれ片足を組み寛いだお姿で水に映った月を眺めている美しい像です。この水月観音さまにインスパイアされ2006 年秋に作った曲です。

静かな楽曲ですが紀貫之の和歌のような深く激しい情熱を秘めた作品です。
どうぞご自由に、皆様夫々の一番大切な恋を思い浮かべて演奏してください。

照る月も 影水底に うつりけり 似たるものなき 恋もするかな (紀貫之)

The shadow of the shining moon is reflected on the bottom of the water,
I’m falling in incomparable love.
                 (Tsurayuki Kino) Translator : Mari Shirakawa



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「浮雲」

・・・蓼科にて・・・

高校の同期メンバーによるWAYAZは、とても緩い練習と、ともすれば練習よりも長い宴会のバンド。
ビートルズやユーミン、フォーク、洋楽なんでもありの好みもメンバー毎にバラバラのバンドです。
年に1,2回、蓼科のIくんの別荘での合宿が恒例になっていたのですが、宴会しつつつま弾くギターに合わせて、適当にフルートを吹くということも夜な夜なやっていた。
その折に、ギターの開放弦のチューニングの音はなんときれいなんだろう、と思ったのでした。





・・・宇治平等院鳳凰堂にて・・

初めて雲中供養菩薩像を見たのは上野の博物館。
この時買い求めた横笛を奏でる菩薩の絵葉書はそれからずっとリビングに。
ようやく宇治平等院鳳凰堂に詣でることができたのは、その数年後、法然院のコンサートに出演させていただいた翌日でしたが、様々な音楽が降り注いでくるようでした。
このレリーフを眺めていて浮かんだフレーズが「浮雲」の主題。


・・・・岩城正夫先生宅にて・・・

2019年夏、自宅にある古い法螺貝を修復していただくために、しばしば岩城正夫先生(和光大学名誉教授)を訪ねていました。岩城先生は関根先生の恩師で、関根先生からご紹介いただきました。「古代発火法」の大家。現在90才の先生は、85才から始めたというギター演奏を披露してくださいました。誰かに教わるのではなく、自分で知っているメロディーを奏でるという演奏。
せっかくなので、デュエットしましょう、と先生には開放弦のままのアルペジオを弾いていただきセッション。この時に浮かんだのが「浮雲」の主題でした。
ヴィラロボスにも確かこの1コードだけの曲があったなあ、と思い出し、「和」の1コードの作品にしてみようと思いついたのでした。

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浮 雲(Ukigumo) Floating clouds

宇治平等院鳳凰堂の阿弥陀さまの周囲には多くの雲中供養菩薩が雲に乗り飛び交い、様々な楽器を奏で、舞っています。命を全うした暁には、このようなお迎えで極楽へ、という信仰です。
その中の横笛を奏でている菩薩像にインスパイアされ2019 年夏に出来た作品です。
儚げな浮雲はやがて連なり雲海に。柿本人麻呂が歌った壮大な情景が広がります。

85才を機にギターを始められた年長の知己と一緒にアンサンブルするために作ったので、和音はずっと一つ。ギターの開放弦のミラレソシミだけで出来ています。

フルートソロの箇所は星の林に棲む鳥の囀りをイメージしカラートリルを使いました。
ギター伴奏も夫々のソロも演奏者の趣味や技量に応じ好きな様にアレンジして楽しんでい
ただければと思います。

天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ (柿本人麻呂)

In the sky like an ocean, cloud waves rise and the moon boat,
rowed out into a forest of stars, then is out of sight.

             (Hitomaro Kakinomoto) Translator : Mari Shirakawa



(演奏者 プロフィール)

[フルート]
白川真理 Mari Shirakawa

武蔵野音楽大学卒業。青木明氏、佐伯隆夫氏に師事。
84年~86年ミュンヘンにてM.ヘンケル女史の下研鑽を積む。
故・川崎優氏率いる日本初の女性プロフルートアンサンブル『ム
ジカ・フィオーレ』の主要メンバーとして活動。
その後はフリー奏者として室内楽等で活動。

2000年より植村泰一氏に師事。2003年より武術研究者・甲野善
紀氏の下、その術理を楽器演奏に応用する研究に取り組む。
専門誌『ザ・フルート』に『古武術に学ぶフルート』を2年間
連載。関連の講習会を日本フルート協会主催『第16回日本フ
ルートコンヴェンション2013 in 高松』を始め、様々な学校、
団体より依頼される。
CD『SERENADE~flow~』(監修:川崎優、Pf.:寺嶋陸也)
『無伴奏フルート作品の夕べ~銀のロットと共に~』、
フルート編曲譜『シャコンヌ/バッハ』がアルソ出版社より発売中。

今回使用したフルートはマイユショー製で、1873年、初代ルイ・エスプリ・ロットが引退する2年前、66才の時に作ったもの。頭部管はオリジナルだが、それ以外の破損していた箇所を2018年に秋山好輝氏が19世紀当時のマイユショーや銀の食器を素材として修復した。


[クラシックギター]
宇高靖人 Yasuhito Udaka

高知県岡豊高校2年よりクラシックギターを始める。
桐朋学園大学短期大学部ギター科卒業。
第16回日本重奏ギターコンクール第一位。
ギターデュオ「いちむじん」として結成~2016年まで12年間
活躍した。代表作には福山雅治主演2010年NHK大河ドラマ
「龍馬伝」エンディング曲を担当した。
現在は、クラシックギターの名曲を主にした演奏活動を行
なっている。
音とお話のユニット「おとばな」のリーダーとしても活動中。
2017年、いちむじんの育ての親「松居孝行」氏とのデュオア
ルバム「gentle」リリース。
また、2018年2月1日、「おとばな」として初アルバムCD「お
とばなオリジナルセレクション」をリリース。
同年、2月15日にはフルートとギターのデュオ「アルボル」の
初アルバムCD「the garden」をリリース。
作曲では、高知龍馬空港のテーマ曲、アイゴッソ高知(現在
は高知ユナイテッドSCに統合)公式応援歌、高知銀行ZEYO
ローンTVCM曲を担当。
アジア開催初となるラグビーWC2019VP音楽担当。
宇高音楽教室主催。(茨城県・東京都)
https://udakamusic.jimdo.com/
桐朋教育研究所桐朋講座ギター講師。
桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。
フルート×ギター×語り~音とお話のユニット『おとばな』


写真は昨年6月、宇高さんとのコンサート


昨年8月、岩城先生と「浮雲」初演
 


昨年10月、宇高さんとスタジオ録音。



諸事整う

2020-12-25 22:26:20 | 音楽・フルート
今年の1月頃は悶々としていました。

本来ならば昨年11月に完成するはずだったトリオのCDが12月のお披露目コンサートにも間に合わず、何の事情説明も謝罪もないままに年が明けて。

さらには4月には出版社からの依頼のお仕事で、ギターと録音したCD付き楽譜も発刊されるはずだったのに、こちらに関してもずっとサイレント。

その時の日記は以下。
https://blog.goo.ne.jp/pipipipi/e/2c2391c10c9125e3943a56db08f9b4d8

音楽業界では、こうしたトラブルは決してない訳ではなく、中には他の業者だけれど、もっと酷い話も聞いたことがある。音源を消されたとか、持ち逃げされたとか、というのを慰めてくださるためか、同業者から聞かされて、唖然としたものです。

もし私だけのソロ作品であれば、もうお付き合いを絶って、全てあきらめて、忘れたことにして終わらせていた気もします。

でも、夫や、同期の友人達、音楽家仲間の助言により、意を決しての行動に。

心情的には、逡巡もあり、何故かわからないけれど、きっと何らかの事情があるのだろうと、当時の担当者や出版社に対して悪い印象も持てないままだったのですが、共演者への責任を果たすべく、最悪の場合は民事訴訟も念頭に置いて一歩踏み出すこととなりました。

そして専門家の手を借りることも決意。

幸いにも長年の知己、高校同期バンド仲間のI弁護士が引き受けてくれました。

大企業の顧問も数社務め、大型倒産事件では時々TVのニュース画面にも登場している弁護士。

日頃彼が手掛けているものからすれば、おそらく0が3つかそれ以上違う桁違いの小さな案件。

いくら友人とはいえ、あまりに申し訳ないので、お弟子さんか後輩の方を紹介して、と頼んだら、

「儲かんない仕事は若手には頼めないよ」

と爽やかな一言と共に、引き受けてくれました。

このご時世、おそらくとても忙しかったと思うけれど、お陰さまで円満解決となりました。

エンジニアが音源を渡さない、というのもどうも濡れ衣だったようで、結局のところ原因は私もよくはわからないけれど、それを追求するのも野暮というもの。

とにかく、様々にもつれていた糸が解かれ、丁重な真心溢れる謝罪を受け、そしてあきらめていたプロジェクトも実行されることになりました。

これで共演者への責任も果たせることになり安堵しています。

何より、ずっとお世話になってきたこの出版社とお互い感情的にこじれることなく、再び、いや、おそらくこれまで以上に良いお付き合いを続けることができる、というのが一番嬉しく、ほっとしています。

一流の仕事に共通である、I弁護士の「繊細な手付き」を目の当たりにさせていただいたのも良い経験となりました。

最高のネゴシエーターだった。

もちろん、もういいよ~、とともすればいじけるだけだった私を叱咤激励しサポートしてくれた夫が一番の功労者か。

コロナ禍ストレスと共に、私にとっては大きな悩みを抱えた一年でしたが、ようやく合意書も締結され、様々なことが諸事整いました。

具体的には、あと数日で、この30日に

CD(演奏・-1伴奏音源)付き楽譜「水月・浮雲」(Fl.白川真理、Gt.宇高靖人)

が発売の運びとなり、目下カウントダウンのドキドキ中。

「水月・浮雲」が発売されましたら、また改めてご案内させていただきますね。


そしてトリオのCD「エーテルブルー」(Fl.白川真理、Vc.山本徹、Pf.砂原悟)は来年4月に発売予定となりました。

一年がかりとなりましたが、すっきりと諸事整って、良いお正月を迎えられることに感謝です。

激励してくださった皆様、本当にありがとうございました!

そして

         メリークリスマス!!


90才 エレキギター デビュー

2020-12-22 23:20:35 | 日常
先週末は同期バンドWAYAZのリモート飲み会でした。

猫と息子が来ている、と言ったら

「猫見せて!」と言われもちろん!と猫自慢。

息子がピピを抱えて登場。

いつも抱っこを嫌がってすぐに逃げ出すピピが、おじさん5人の画像に関心を持ったのか、珍しく大人しく、じっと画面に見入っている。

ついでに、肉球画像アップのサービスもしてくれたのでした。

本当なら今頃の週末は荻窪Nちゃんちの豪邸で40名ほどでクリパ。
スタジオで練習を重ねて、本番!宴会!!と楽しく遊んでいたのにね・・

言ってもしょうがないとはわかってはいるものの、つい言ってしまいます。

広いスタジオを借りれば、練習はできるかもしれない、となったけれど、すぐに、

「でも、その後、飲みにいけないんじゃあなあ・・」

本当に。飲み会あればこそのWAYAZだもんね。

まあ、しばらくはリアル飲み会も控えて、元気に生き延びようとエール交換して終了に。

。。。。

本日は知人と二人で岩城正夫先生を訪問しました。

先生からは、何度かお誘いを受けていて、その都度、都合がつかずお断りばかりしてしまっていたのですが、少しだけでも、お会いしておきたいという気持ちもあって決断。

90才という年齢が心配ではありましたが、何の持病もなく、とてもお元気なので決断。

健康の秘訣は歩くこと、階段は一段飛ばし(時には二段)・・、薬は一切飲まない、ということですが、おそらく一番の理由はその飽くことない追求する姿勢ではないかと思う。

今までなら、ワインやビールつまみを買い込んで、お宅で宴会しつつまったりと過ごしていたのですが、今回はペットボトルのお茶だけで2時間。

先生はマスクなしですが、私達はお茶を飲む時以外はマスク着用。

コロナに関しての、そして「地球」に関しての先生の大きな視野の見識をうかがうことができました。

さらに、ギター演奏も。

以前聴かせていただいたのは、昨年の夏だったのですが、毎日、全てのレパートリーを練習されている、というだけあって、早いパッセージでも、的確に演奏できていて、感動。

「500回やれば、簡単な曲は出来るようになるけれど、難しいものは800回くらいやらないとだめですねえ。」

まさに「失敗」を大切にされる先生ならではの言葉。

70年前、つまり二十歳の頃によく聴いていた曲が弾けるようになった、と聞かせていただいた曲は、私が知らないものでしたが、明るくシンプルな曲想で、なんだかフォークソングの様。

なんと、ソビエト連邦の国歌だそう。ロシアになっても、同じ曲が使われているのだそうです。
当時ロシア語講座のラジオをよく聴かれていて、その時流れていたのだそうです。

先生は全て独学で、楽譜なしで、自分の耳で、弾くポジションを探すとのこと。

それにしても、とても上達されている・・

さらに、「実はエレキギターも始めたんですよ。」

と部屋の奥から持ち出された。

小さなアンプにつなぐと、あのワワワ~ンというエコーもかかる。

アコースティックギターでのあのトレモロは到底出来ないので、エレキのエコーを使うとのばす音が楽しいのではないか、と思ってとのこと。

若い頃やっていた、というのではなくて、アコギは85才から、エレキは90才からのチャレンジです。
エレキはかなり重いのではないかと思うのですが、先生は軽々と構えて演奏。

アコギも素敵ですが、エレキギターを抱えた岩城先生、とてもカッコイイ!!



WAYAZのバンド活動が再開した時には、ぜひゲスト出演していただきたいものです。

90才のエレキギタリスト。

なんだか、久しぶりにとても楽しいワクワクした気持ちになりました。
皆様にもお裾分けを。

ご承諾いただいてきたので、お写真をアップします。

本当に、カッコイイし決まってる!でしょう?

先生の生き様に、沢山元気をいただきました。

・・・・・・・・・・

帰りの電車でふと前を見たら、なんとフルート仲間のNくん。

電車も空いていたので、お互いの近況報告や様々なことを、ずっと話しっぱなしで帰宅。
当たり前のようにコンサートが出来ていたんだねえ、としみじみ。

私よりも年下とはいえ、同じシニア世代。

こうなってくると、とにかく前向きに、そして生き延びようね、ということに尽きる。

早速、エレキを抱えた岩城先生の御写真を見せてあげたら、

「カッコイイ!90才には見えないね。70才くらいの感じ。」とのこと。

本当に、そうだと思います。

ジャスト サイズ!

2020-12-20 14:14:51 | ピピ
ピピがやってくる前にはいつも、ペットショップに行って、あれこれ楽しく買ってしまいます。

チュールを始めとしたさまざまなおやつ、猫缶、そしておもちゃ。

猫じゃらしは、消耗品でもあるし、どれもよく遊ぶので、買うときに迷いはないのですが、けりぐるみや、他の物は、気に入ってくれるか否かはいわば、賭け。

フカフカしたものは苦手なようで、息子が最初に買った猫ベッドは見向きもせず、結局、先日捨てることに。

雑誌「ねこのきもち」の付録のネコハウスはとても気に入っていて、すっかり使い込んでもうボロボロに。


丸い窓が、ジャストサイズです。
ほぼ同じ写真の様ですが、微妙に表情が違うので2枚アップ。
1枚目は可愛くて、2枚目はクール。

今回はイカのけりぐるみと、麻で出来た猫鍋風のもの。これは爪とぎ対応にもなっているし、値段も1000円くらいだったので、ダメ元でも、と思い買ってみました。

イカは好みではなかったようで、これはやらせ写真です。
マタタビパウダーを振りかけても、少し匂いを嗅いだだけで、すぐにしらんぷりなので、余程好みに合わなかったのでしょう。


麻の猫鍋も、最初は踏んで通り過ぎるだけで、がっかりしたのですが、2日後にようやくすっぽりと収まって、色々なポーズをやってみせてくれたのでした。





これまた、とてもジャストサイズ!


今、一番欲しいのは、本当の藁で編まれた東北地方の手技の「猫ちぐら」

絶対、似合うと思うのですが、入ってくれるか否かはピピ次第。
おいそれとは買えない値段で、安くても2万円くらいしているし、その上予約で3か月待ちというものもある。

さらには、愛猫のために、自ら藁を打ち、猫ちぐらを手作りしてしまう、というサークルまであるではないですか。

やってみたい気もしますが、その結果、見向きもされなかったら???

万が一気に入ってくれなかったら、かなりがっくりくることになるし、他の使い道も思いつけそうにない。

悶々としつつ「猫ちぐら」を夜な夜な検索しているうちに、こんな句を詠みました。

  日向ぼこ満員御礼猫ちぐら

2,3匹がムギュっと入っていたら可愛いだろうなあ、という妄想句。