FC piaZZista

”セールスマン”が結成したフットサルチーム「FC piaZZista」の軌跡とキャプテンの私生活。

道尾秀介「月と蟹」

2011年03月19日 09時01分25秒 | 小説

本日、道尾秀介「月と蟹」を読み終わりました。

「『ヤドカミ様に、お願いしてみようかえてくれると思うで。何でも』やり場のない心を抱えた子供たちが始めた、ヤドカリを神様に見立てるささやかな儀式。やがてねじれた祈りは大人たちに、そして少年たち自身に、不穏なハサミを振り上げる―やさしくも哀しい祈りが胸を衝く、俊英の最新長篇小説」

また、道尾秀介を手に取ってしまった。
読むもの、読むもの趣向が変り楽しませてくれる。
楽しむと言っても、決して読了感がイイ訳ではない。
アンニュイな感じと新鮮な気分。
書き方が上手いのであろう。
デビュー間もないのに作風が偏らず、アイデア満載である。
そんな中、子供の視点を書かせたら抜群なのである。
本作も、10歳の3つの視点のみで殆ど描き切る。
受賞後のインタビューで、
--小学5年生を主人公にする意図は?
「少年の心の揺らぎを書きたい。3年生だと大人を頼ってしまう。それ以上だと不幸と戦うすべを知っている。(小学5年生は)丸腰の状態なので、そういう少年がどうやって戦うのかというところに興味がある」
と言い切る。
この微妙な感覚が直木賞呼び込んだのだろう。
また、
--映像にできないようなものを作りたいというのは?
「今は小さい画面で映画を見ることもできる。映像にもできるようなことを小説でやってもしょうがない。言葉にしかできないことをやる、それだけです」
汚れてないな・・・。
5年程前に受賞した作家なんて今や出すもの出すの映像化を意識したものばかり。
初期の頃のヒネリが全くなくなり、商業ベースに乗せるのに必死と言った感じ。
やはり、作家は、書きたいものを信念と魂を込めて書いて欲しいものだ。
たしかに、道尾秀介も「月の恋人」では、終わったかな・・・と思ったが、前出の発言に今後期待である。


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