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FC piaZZista

”セールスマン”が結成したフットサルチーム「FC piaZZista」の軌跡とキャプテンの私生活。

三浦和良「やめないよ」

2011年03月19日 09時17分18秒 | 小説
本日、三浦和良「やめないよ」を読み終わりました。

日経新聞のスポーツ欄に2週間に1回連載されるコラムを5年間分纏めた一冊である。
人生の指南書として最高でだ。
最近、こんなことを言う人が増えたと思う。

「若い時のカズは大っ嫌いだったが、今は大好き」

歳と共に余裕と器をしっかりと身に付けた人間は違うな・・・。
いまだ、日経新聞にはコラムは連載中なのでこれからも隔週で楽しめる。
でも、「やめないよ2」が発刊されるのは、5年後。
それまで、当然、現役だよね。カズ

最高のコラムを1編。

この時期は契約のことがみんなの関心事になる。
契約終了が決まった後にチームを救うゴールを決め、一転『残留』となる選手もいれば、リーグ戦34試合のうち33試合に出場した翌年に解雇される選手もいる。
選手の運命は移ろいやすい。
十数年前、契約期間を残しつつ、チーム事情で解雇されたブラジル人選手がいた。違約金の減額を求められたうえに、クラブに顔を出さず日本を去ってほしいと頼まれ、「退団理由は『妻の出産のためブラジルに帰国する』ということにしたい」と言われたという。その奥さんは日本の産婦人科に通い、日本での出産を心待ちにしていた。「なのにオレはこんな理由で辞めたと思われるのか」と彼は嘆いた。
クラブにはクラブの言い分がある。それを納得できる形で説明すれば後ろめたさはないはずだ。言い繕って隠すのは説明能力がないから。クラブの判断や考え、哲学に自信かないからだ。僕には理解できない。
契約に限らず、サッカーでは納得できないことも起こる。判定一つに文句を付ける選手も最近は多い。主張することはいい。でも「なぜこうなるんだ」と文句を言いつつも走らなきゃ。「なぜこうなんだ」と不満に終始し、放棄するようならプロとしては終わりだ。
17歳のころ、ブラジルで悩んでいた僕は諭されたものだ。「僕はいつだって考えている」「考えるだけで止まっている人間はたくさんいる。お前もそうだ。考え、悩め。でも前に出ろ」失敗して、人生のレールを躇み外すこともある。その時も、フラフラでもいいから止まるな――。「一気に100m進まなくていい。カズ。1cmでいいから前へ進むんだ。考えるだけではダメだ」
今も胸に残る。
過去の実績なんてものはどこかへしまって、今を歩む。150点以上ゴールしたのは昔の話、今の僕にはどうでもいいんだ。仮にFW経験がない監督が俺にシュートに関して指示をしたとする。「シュートでは教わることはない」と考えるようでは、伸びない。耳を傾け、プラスとなる何かを探すことだ。
学ばない者は人のせいにする。学びつつある者は自分のせいにする。学ぶということを知っている者はだれのせいにもしない。
僕は学ぴ続ける人間でいたい。

道尾秀介「月と蟹」

2011年03月19日 09時01分25秒 | 小説

本日、道尾秀介「月と蟹」を読み終わりました。

「『ヤドカミ様に、お願いしてみようかえてくれると思うで。何でも』やり場のない心を抱えた子供たちが始めた、ヤドカリを神様に見立てるささやかな儀式。やがてねじれた祈りは大人たちに、そして少年たち自身に、不穏なハサミを振り上げる―やさしくも哀しい祈りが胸を衝く、俊英の最新長篇小説」

また、道尾秀介を手に取ってしまった。
読むもの、読むもの趣向が変り楽しませてくれる。
楽しむと言っても、決して読了感がイイ訳ではない。
アンニュイな感じと新鮮な気分。
書き方が上手いのであろう。
デビュー間もないのに作風が偏らず、アイデア満載である。
そんな中、子供の視点を書かせたら抜群なのである。
本作も、10歳の3つの視点のみで殆ど描き切る。
受賞後のインタビューで、
--小学5年生を主人公にする意図は?
「少年の心の揺らぎを書きたい。3年生だと大人を頼ってしまう。それ以上だと不幸と戦うすべを知っている。(小学5年生は)丸腰の状態なので、そういう少年がどうやって戦うのかというところに興味がある」
と言い切る。
この微妙な感覚が直木賞呼び込んだのだろう。
また、
--映像にできないようなものを作りたいというのは?
「今は小さい画面で映画を見ることもできる。映像にもできるようなことを小説でやってもしょうがない。言葉にしかできないことをやる、それだけです」
汚れてないな・・・。
5年程前に受賞した作家なんて今や出すもの出すの映像化を意識したものばかり。
初期の頃のヒネリが全くなくなり、商業ベースに乗せるのに必死と言った感じ。
やはり、作家は、書きたいものを信念と魂を込めて書いて欲しいものだ。
たしかに、道尾秀介も「月の恋人」では、終わったかな・・・と思ったが、前出の発言に今後期待である。


三浦和良「やめないよ」

2011年02月25日 23時18分03秒 | 小説
本日、三浦和良「やめないよ」を入手しました。

日本経済新聞の朝刊に定期掲載されるコラム、キングカズの「サッカー人として」が小生は、大好きなのである。
通勤時は、電車に乗るなり新聞を1面から読み始める。
政治面をサラッ、経済面をザクッ、人事異動をサササッと読み終わるとスポーツ欄。
スポーツ欄は、殆どサッカー記事しか読まないが、いきなりカズの「サッカー人として」が目に入ると心して読むのである。
僅か、1分で読み終わるコラムの中にサッカー界を知り尽くしてきた生きる伝説の男”キングカズ”の生き様を垣間見る。
これを読んだ朝は、何故だか自分までもキングになったような勇気を貰う。

「常にその時点でのベストを目指す姿勢でいたい」
「人生は、いつの瞬間だって挑戦なんだ」
「僕は学び続ける人間でいたい」

こんなフレーズを朝から読まされると心が奮い立たない訳が無い。
人生の哲学書なのである。
まだ、3コラムしか読んでいないが、既に心がキングになりつつある。
こりゃ、大事に噛みしめながら読みたいのである。

劇団ひとり「青天の霹靂」

2011年02月20日 08時00分37秒 | 小説
本日、劇団ひとり「青天の霹靂」を読み終わりました。

「『ひょっとして俺は特別じゃないのかも・・・』学歴もなければ、金もなく、恋人もいない35歳の晴夫。特技といえば、手品が少しできるくらい。一流のマジシャンを目指していたはずが、17年間、場末のマジックバーから抜け出すことができない冴えない日々を送っている。腐りきった自分に飽き飽きしていたある日、テレビ番組のオーディションに挑むことに。審査員の反応に初めて将来への希望を抱いた帰り道、一本の電話が晴夫の運命を大きく変えることに――。ミリオンセラー『陰日向に咲く』に続く、笑いと涙の感動物語がいよいよ開幕!! 」

ビギナーズラックによるデビュー作「陰日向に咲く」がベストセラーとなり、TV界からフェードアウト寸前のお笑い芸人から一躍TVの司会までこなすマルチタレントへ転身。
これまた、TV界で立ち位置が微妙な大沢あかねなる小娘までゲットし、子供までできて順風満帆である。
大ベストセラーとなった「陰日向に咲く」を手に取る前に2作目を読んでしまった。
内容はというと、ベタなんだな・・・。
各所に感動の場面を散りばめるもなんだかしっくりこない・・・。
デビュー作のビギナーズラックで「置きにいったな・・・」って感じ。
冒険と挑戦する勇気に乏しく、ありきたりの芸能人小説である。
恐らく、自伝に近い内容で捻りを加えたようであるが、これなら、伝説の芸能人小説「ホームレス中学生」の方が百倍面白かった
やはり、どこか捨てきれない芸風も麒麟の天然ボケ田村には、かなわない。
劇団ひとりの家庭は、パイロットの父に元スチュワーデスの母、早大生の兄と絵に描いたような悠々自適一家。
田村とは、完全に育った環境が違うもんな~。
そう言う意味では、お笑い芸人で滑りまくるより、文章力をもう少しつけて頑張る方が大成するような気もする・・・。

角田光代「ツリーハウス」

2011年02月12日 16時16分34秒 | 小説
本日、角田光代「ツリーハウス」を読み終わりました。

「謎多き祖父の戸籍──祖母の予期せぬ“帰郷”から隠された過去への旅が始まった。満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店3代記」

大好きな女流作家 角田光代。
待望の新作を手に取った。
今まで「森に眠る魚」では、音羽お受験殺人事件、「八日目の蝉」では、赤ちゃん誘拐、「ひそやかな花園」では、代理母など時代が起こした問題を題材に物語を展開。
今回は、冒頭にバスジャック事件の記述があり、これはあの事件が題材か?などと勘繰ったが、全く違っていた。
親・子・孫三代に渡る一族の話。
戦中になぜ祖母は、満洲へ行ったのか?
どうやって祖父と知り合ったのか?
戦後、どうやって子世代が中華料理店「翡翠飯店」を築いていったか?
孫が、謎解きよろしく祖母と中国へ旅へ出るが、ただの旅行の域を出ず・・・。
最後まで読むと途中途中、躍動的で問題提起にうってつけのシーンもあったが、珍しく淡々と書き進んでしまう。
いつもの角田光代なら、一つのシーンに重要な問題提起が隠されており、物語をグッと〆るが今回ばかりは、ヒット作連発とはいかなかった・・・。
もう少し、書く前の準備と訴えたかった事を明確にすれば、いつものように感慨ひとしおの作品になったのでは。
いかに、ヒット作を連発する事の難しさを痛感した作品であった。
でも、今後も角田光代は、読み続けることになるだろう。

百田尚樹「錨を上げよ(下)」

2011年02月11日 12時37分43秒 | 小説
本日、百田尚樹「錨を上げよ(下)」を読み終わりました。

「すべてが、この時、つながった。錨を上げよ――後世必ずや日本文学史上に残る、怪物的傑作。なぜ自ら嵐に飛び込むのか。それとも、この男が嵐を呼び寄せるのか。大阪を飛び出した又三は、東京へ、そして日本最東端の地へ――予想もつかない大展開! 又三の航海に終わりはあるのか!講談社創業100周年記念出版 16世紀の悪漢小説(ピカレスクロマン)を現代の日本を舞台に甦らせた、途方もないエネルギーに満ちた物語。感動の最終章!作田又三、24歳、すべてをなげうち、大阪を飛び出した。何の目的もあてもない。『どこかへ行きたかっただけだ。行く先などどこでもよかったのだ』昭和50年代の東京を漂流した又三は、ついに北海道根室に立つ。緊迫する北方領土の海に跋扈する特攻船! 又三の航海に暴風が吹き荒れる! はたして錨を下ろす『終着の港』にたどりつけるのか? 」

とにかく、圧巻
まず、そう書こう。
少年期から青年期へ自由気ままに行動した又三。
青年への第一歩を北海道根室で踏み出した。
東京でTVで見た鱈漁の男らしさに惹かれ、縁も所縁も無い北海道根室へ上陸。
あても無く、根室の街をうろつく。
そこで、日銭を稼げる密漁船の情報を仕入れる。
ここからが、面白かった。
北方領土内の貝殻島へウニの密漁に行く。
密漁メンバーを集める行は、まさに短絡的で猪突猛進。
思い立ったら、即、行動。
晴れて”特攻船”に乗船するメンバーを集めると、又三の荒稼ぎが始まる。
詳しくは書かないが、強烈な推進力と爆裂な自分勝手な行動ではちゃめちゃを通り越し、破天荒にも程が有る暴れっぷり。
やることなすこと、メチャクチャであるが、終わってみれば”スッ”と進む。
やはり、男は、多少強引で自分勝手なのがイイのだろうか?
特攻船生活を終えると、ひょんな事から結婚。
これがまた、悪夢の始まりであり、考えようによっては、人生のやり直しでもある。
しかし、愛に対する定義を最後に掲げたこの小説は、恋愛小説だったのだろうか。
あれだけ、破天荒、破れかぶれだった主人公が、30歳を過ぎて真実の愛に気付く。
しかし、小生も、愛とはこれか?
なんて、純に考えてしまう。
と、簡単に感想を書いてしまったが、怒涛の1,200Pだった。
もっと、もっと色々と書き綴る事があるのだが、なんせ色んなことが有り過ぎて、何を書いていいのやら?
しかも、これは、著者の実体験がベースになっているのは間違いなく、自伝的小説なのだろう。
学生運動、宗教活動との対立、暴力団との抗争、ウニの密漁ととにかく危ない橋を渡り過ぎ。
ソビエト連邦までも敵に回し、北海道根室で大活躍?
どこまでがホントで、どこからが作り話なのか?
ただ、一貫して又三が拘り続けたのは、純愛。
それにしても、今一番注目の作家なのは、間違いない。

百田尚樹「錨を上げよ(上)」

2011年01月20日 03時13分04秒 | 小説
本日、百田尚樹「錨を上げよ(上)」を読み終わりました。

「この男、いったい、何者か。錨を上げよ――疾風怒濤の2400枚。圧倒的青春小説。昭和30年大阪下町生まれ。その名は、作田又三。下品で、ずるくて、しぶとくて、ルール無視でもお構いなし。人生の至る所で敗北を喫しながらも、絶対にへこたれない不屈の男。講談社創業100周年記念出版 大ベストセラー『永遠の0』をはるかに凌ぐ感動! だれも2度と出会えない大傑作!戦争が終わってちょうど10年目、いまだ空襲の跡が残る大阪の下町に生まれた作田又三。高度経済成長、60年安保闘争、東京オリンピック、大阪万博、よど号ハイジャック事件、日本列島改造論、石油ショック――激動の昭和の時代、生まれながらの野生児、作田又三は、人生という荒海を渡っていく。いざ、海図なき嵐の海へ。さあ、錨を上げよ! 」

大好きな作家、百田尚樹。
出すもの出すもの趣向を凝らし、読者の心を掴む。
今回は、怒涛の1,200Pの大作。
あまり先入観を持たずに、読み進めたが、恐らく作者の自伝的小説なのだろう。
主人公の名前が作田であったり、ケンカ(ボクシング)の記述が多かったり、同志社大学中退だったり・・・。
でも、犯罪紛いの行為や女性に対する突飛な考え方には、共感を覚えるには甚だ逸脱感も否めない。
但し、男が行う冒険が気付いてみると軽犯罪だったり、女性に対し思いを寄せるうぶな気持ちで心身ともに滅入ったり、「あったな~」と共感できる場面も多々ある。
また、この小説は、あくまでもエンターテイメント性を重視していると思うので、記述がオーバーだったり、こりゃ、現代じゃご法度だなと思うようなことも多々出てくる。
しかし、現代の小説界が誇る稀代のエンターティナーが描いたものであるので、楽しくそしてワクワクと心躍らせ読み進むのである。

主人公は、無鉄砲で短絡的、行動は奇々怪々。
やることなすこと向こうみずで、破れかぶれ。
行動は、大胆不敵であり、猪突猛進。
所謂、考えなし。
何度も窮地に追い込まれるも危機回避能力に欠け、同じ事を繰り返す。
ここまで、自分に正直に生きる男も珍しい。
この世に生を受けた自分という存在に漲る自信と気ちがいじみた腕力にものを言わせ、喧嘩や揉め事を繰り返す。
女性関係でも強引さが邪魔をして粉砕の連続。
粉砕どころか玉砕に近い。
こんな豪勇な主人公も歳と共に社会性を身に付けていく。
純愛に溺れてみたり、社会性を身につけようと必死で社会と対峙する。
あの荒胆な主人公が「男は女で変る」と女々しいまでの自己分析をし、自堕落な生活を正し始める。
でも、失恋は、突如として訪れ食も通らない程落胆する・・・。
この繰り返しが、男を強く、逞しく、そして、豪傑にする。
上巻では、幼少期から少年期、そして、武勇伝に支えられた青年期。
いよいよ、下巻では、北海道根室の地に降り立つ。
男の中の男が集まる漁港へ姿を現し、勝負が始まる。
どんな戦いが作田又三に待ち受けているのか、楽しみでたまらない。
さあ、万三よ、ヒグマの如く暴れまわれ!!

柳広司「キング&クイーン」

2010年12月08日 22時16分23秒 | 小説
本日、柳広司「キング&クイーン」を読み終わりました。

「ある事件をきっかけに警察官を辞めた元SPの冬木安奈。六本木のバー『ダズン』で働いていた彼女に、行方をくらましていた元チェス世界王者の“天才”アンディ・ウォーカーの警護依頼が舞い込む。依頼者の宋蓮花は、『アメリカ合衆国大統領に狙われている』というが…。”ジョーカー・ゲーム”シリーズでブレイクの柳広司が満を持して放つ、絶品書き下ろし」

ここまで期待の外れた小説も珍しい。
あの”ジョーカー・ゲーム”シリーズで散々楽しませて貰ったので、期待せずにはいられませんでした。
でも、期待裏切り度120%であった。
なんせ、分かりにくくて内容が希薄・・・。
恐らく自分の興味ある”チェス”を題材に描いたようであるが、なんせ、日本でのチェスの知名度の低さから、感情移入できず・・・。
元女SPが主役であるが、現実味から甚だ逸脱しており、「いないな・・・」と純粋に思わせる人物設定に疑問が・・・。
あれだけ、スパイの世界を興味深く描いた作家が、現代を描くとここまで飛躍し、妄想癖甚だしく描き切るとは意外であった。
正直、駄作であった・・・。

※確か、こんな話が現実にあったような・・・。
で、ウィキペディアで調べてみた。
ボビー・フィッシャーなる人物が題材になっているのは、明確である。

「6歳のときにチェスを覚える。1957年インターナショナルマスターとなり、翌年グランドマスターとなる。1962年国際舞台から引退(但しアメリカ合衆国内の大会には出場した)し、1966年復帰。1968年再度引退し、1970年のソ連対世界戦で再びチェス界に復帰した。
その間1956年の対ドナルド・バーン戦でクイーンをわざと捨てることで勝ち、1963年の対ロバート・バーン戦でもナイトを捨てて勝つ。
1971年の挑戦者決定戦ではソビエト連邦のマルク・タイマノフに6対0で完勝し、さらにデンマークのベント・ラーセンにも6対0で完勝する。前世界チャンピオンのチグラン・ペトロシアンに5勝1敗3引き分けで勝ち、当時の世界チャンピオンボリス・スパスキーへの挑戦者となった。1972年、レイキャヴィークで行なわれた世界選手権でスパスキーを破り世界チャンピオンとなる。
1975年、防衛戦の運営をめぐり国際チェス連盟と対立し、不戦敗とされタイトルを剥奪される。1992年に復帰しユーゴスラビアでスパスキーと再現試合を行ない、勝利した。これにより300万ドル以上の賞金を得たが、アメリカのユーゴスラビアに対する経済制裁措置違反として起訴され、再び消息不明になる。この起訴をフィッシャーは、反ユダヤ的発言と反米発言に対する政治的迫害であるとする。ただし、フィッシャーはポーランドのユダヤ系である。
2004年7月14日、成田空港からフィリピンへ出国しようとしたところを入国管理法違反の疑いで東京入国管理局成田空港支局に収容された。同年8月、かねてより親交のあった日本チェス協会事務局長の渡井美代子と結婚を宣言するが、入籍はしなかった。
その後、アメリカ政府は身柄引き渡しを要求したが、フィッシャーは拒否していた。羽生善治、民主党の榛葉賀津也や社民党の福島瑞穂の運動が功を奏し、2004年12月、アイスランド政府がフィッシャーに対して市民権を与える措置をとり、拘束から約8ヵ月後の2005年3月24日、日本政府はフィッシャーのアイスランドへの出国を認め釈放した。以後はアイスランドに滞在していたが、2008年1月17日に64歳で死去した」

乾ルカ「蜜姫村」

2010年12月04日 13時24分37秒 | 小説
本日、乾ルカの「蜜姫村」を読み終わりました。

「変種のアリを追って、東北の山村に迷い込んだ、東京の大学の講師で昆虫学者の山上一郎は、瀧埜上村の仮巣地区の人々に助けられ、命をとりとめた。翌年、山上は医師でもある妻の和子を説得し、一年間のフィールドワークのために、再び仮巣地区を訪れた。この村には医師がいなかったため、和子にとってもそれはやりがいのある仕事に思えたのだった。優しくて、親切な村の人々。だが、何日かその村で生活していくうちに、和子は違和感を覚える。―みんな健康的過ぎる・・・。医師もいないのに・・・」

初めて手に取った作家。
本屋の話題本コーナーで見つけ、帯に書かれた内容説明だけに興味を覚え、図書館予約。
男なのか女なのかも分からない。でも、名前からすると女流作家なのだろう。
舞台は、昭和三十七年、東北の山奥。
この時代に無医村があり、そこで暮らす村人達は、異常に若々しいらしい。そんな疑問からストーリー展開され、前半は、ホラーのようなファンタジーのような雰囲気で物語が進む。
最後は、純愛で締めくくる。
この狭い日本にこんな村が存在するとは思えないが、世界のどこかにあるのでは?なんて考えるだけで、100倍面白かったと思える作品である。
不思議な物語であった。

東野圭吾「プラチナデータ」

2010年11月13日 06時07分51秒 | 小説
本日、東野圭吾「プラチナデータ」を読み終わりました。

「犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、検挙率が飛躍的に上がるなか、科学捜査を嘲笑うかのような連続殺人事件が発生した。警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果は『NOT FOUND』。犯人はこの世に存在しないのか?時を同じくして、システムの開発者までが殺害される。現場に残された毛髪から解析された結果は…『RYUHEI KAGURA 適合率99.99%』。犯人は、神楽自身であることを示していた―。確信は疑念に、追う者は追われる者に。すべての謎は、DNAが解決する。数々の名作を生み出してきた著者が、究極の謎『人間の心』に迫る」

東野圭吾だから読んでおこうと思い、図書館予約。
当然、最新刊の「白銀ジャック」も予約済み。
それにしても、最近の東野圭吾どうよ?
全く引き込まれ感がなくなり、ただダラダラと内容が展開されマンネリ感タップリである。
今回もまた、DNA捜査やら二重人格やらテレパシーやら妄想と幻想とをふんだんに散りばめ、非現実感甚だしい。
以前書き続けていた現実で起きそうな事件を題材にした東野に再び会いたいものである・・・。
「白銀ジャック」に期待。
と、「もう読むのを止めた」と捨てられない人気作家である事は事実。

真保裕一「ブルー・ゴールド」

2010年10月31日 03時52分31秒 | 小説
本日、真保裕一「ブルー・ゴールド」を読み終わりました。

「水の惑星―地球。だが、人類が利用できる淡水は、そのわずか1%にすぎない。10億を超える人々が、この瞬間も飲み水にさえ困っているのだ。今や水は戦略物質となり、世界中の巨大企業が激しい獲得競争をくり広げている。そこに斬り込む弱小企業の男たち。貴重な地下水を持つ酒造メーカーを強引に買収するも、予想もしなかった妨害が入った。真犯人を暴き出すための戦いが始まる」

何冊か読んでみるものの、何故だかあまりしっくりこない真保裕一である。
前回読んだ「デパートへ行こう!!」は、結構面白かったが。
今回のテーマは、水ビジネスである。
作中に”CO2削減”や”環境ソリューション部”など小生にとって身近であり、世の中の流れを良く組み込んだ展開であるが、何故だか、薄い・・・。
「この話題、売れそうだから書いてみよう」的なのだ。
やはり、「この話題、興味があるから良く取材してから取り組もう」的な方が面白いに決まっている。
どうも真保裕一の小説は、安易に書いているような記述が多く、薄っぺらな感じが漂う。
但し、サラッとかじっただけで300P書いてしまう図々しさと能力には脱帽である。
でも、面白くなくては、小説じゃない。
今回の作品は、お世辞にも面白いとは、言えなかった・・・。
やはり、企業小説なのかエンターテナー小説なのかハッキリした方が良かったかと。
結局、最後まで薄っぺら感から脱却できずにエンディングを迎えた。

横関大「再会」

2010年10月27日 22時22分53秒 | 小説
本日、横関大「再会」を読み終わりました。

「誰がうそをついている?幼なじみの四人が校庭に埋めた拳銃は、二十三年の時を経て再び放たれた。それぞれの想い出が重なるとき、時を越えたさらなる真実が目を覚ます―!全てはタイムカプセルにとじ込めた―はずだった。第56回江戸川乱歩賞受賞作」

江戸川乱歩賞受賞作品である。
前回の遠藤武文「プリズン・トリック」がイマイチだったので、今回は期待したい。
23年前に仲良し4人組が閉校される学校の校庭にタイムカプセルを埋めた。
ある事件をきっかけにそのタイムカプセルの蓋が開けられる。
鍵の番号を知るのは、4人のみ。
地中と鍵という2重ロックが開錠された。
誰が掘り起こしたのか?
誰がウソをついているのか?
ミステリーとトリックとサスペンスの要素がふんだんに散りばめられており、一気に読んだ。
正直、面白かった。
但し、「んーーーっ?」と首を傾げる設定や、ご都合主義に頼らざるを得ない展開に、まだまだ成長の余地ありとみた。
例えば、冒頭部分で息子の万引きの発覚で主人公の一人がスーパーの店長から脅される。
万引きシーンが録画されたビデオテープと引き換えに現金30万円要求される。
私立中学受験を控えた息子の内申書を考え、要求を呑むことに。
そもそも、こんな悪質な脅しに乗るか?
今までの努力が水の泡になると言う気持ちは分かるが、一体全体万引きと言う悪い行為をしたのは、誰?
確かに万引きは犯罪であるが、未成年も未成年の少年の間がさした行為を金で解決するか?
そもそも、ありえない。
また、最後の佳境のシーンで登場人物の恋人と犯人が偶然出会い、行動を共にする。
これまた、絶対にありえない。
登場する全ての人物を23年の時間軸とともに縦に横に繫げようとする努力は認めるが、ここまでこじつけて、ご都合主義と言われる位なら、他の状態で犯人が見つかる設定はいくらでもできたのでは。
しかし、最終章で事件解決に奮闘した刑事の繋がりを知ったとき、犯人を知ったときよりもタイムカプセルの鍵を開けた人物を知ったときよりも一番驚き、清清しい気分になった。
おそらくこの作家、この受賞で終わらないと見た。
次回作に期待する。

梁石日「明日の風」

2010年10月25日 22時44分29秒 | 小説
本日、梁石日「明日の風」を読み終わりました。

「誰もが恐れる暴力的な父、お人好しで働き者の母、優しいが内向的な姉、小さな妹に囲まれて育った在日二世の少年。彼は、のどかな疎開先の村で、空襲で破壊され焼け野原となった街で、無秩序と混沌を原動力に復興してゆく繁華街で、誰と出会い、何を見たのか?騒乱。変革。相次ぐ近親者の死。非日常と愛しき日常生活が混在する戦中戦後の時代の空気と、そこに生きる少年の激動の日々を描き切った渾身の長編小説」

親も親なら子供も子供と言う言葉が聞こえてきそうである。
作者は、客観的に親父の悪行を記述するが、本人の悪さも天下一品である。
喧嘩、苛め、騙し、泥棒など悪事の限りを尽くす。ある意味、憎い親父の悪業をさらけ出しながら、自分の不手際は、武勇伝がごとき書き綴る。最悪である。
他責、逃げ、責任転嫁、一世を風靡し、映画化もされた「血と骨」を作者の子供時代の視点で綴っているが、親族でありながら親を本気で”殺したい”と書き綴る血も涙も無い作者の心の闇、心の薄さに不快感120%である。
でも、こんな不快な作品でも読ませる筆力、戦後当時の生々しい真実の記述に興味深々で読み耽ったのは、事実である。
正直、面白かった。

角田光代「ひそやかな花園」

2010年10月05日 20時39分13秒 | 小説
本日、角田光代「ひそやかな花園」を読み終わりました。

「幼い頃、毎年サマーキャンプで一緒に過ごしていた7人。輝く夏の思い出は誰にとっても大切な記憶だった。 しかし、いつしか彼らは疑問を抱くようになる。『あの集まりはいったい何だったのか?』夫々の人生を歩んでいた彼らに、突如突きつけられた衝撃の事実。 大人たちの〈秘密〉を知った彼らは、自分という森を彷徨い始める――。」

小生が珍しく推す女流作家”角田光代”の最新作。
大絶賛した「八日目の蝉」、考えさせられた「森に眠る魚」を経た最新作。
期待せずには、いられない。
物語の前半部分は、ミステリー仕立て存分でグイグイと内容に引き込まれる。
数名の男女が幼少期に過ごしたキャンプの意味に疑問を覚え、成人していく。
その過程で、拭いされない疑問に大人の視点で解決を求める。
「知らなければイイ事実もある・・・」
「何もそこまで踏み込まなくても・・・」
そんな言葉が聞こえてきそうであるが、思い立ったら人間って止められないよね。
事実を知ってからの葛藤を緻密に描き切る角田光代は、凄い。
でも、代理母ならぬ精子ドナーには、少し浮世離れ感も否めない。
しかし、最後の2ページで一番粋がっていた登場人物に「勇気を出して悩みの扉を開けようよ」と語らせ、悩めるホモサピエンス達にエールを送る筆術に乾杯である。
真実が語られてから最後の2ページを迎えるまで、「ん~~~~っ?」と焦燥感を持ちながら読み進めたが、最後の2ページで乙女心よろしく「頑張って生きよ~~~っと」と思う41歳であった・・・。

道尾秀介「向日葵の咲かない夏」

2010年10月02日 21時49分54秒 | 小説
本日、道尾秀介「向日葵の咲かない夏」を読み終わりしました。

今や、売れっ子作家の仲間入りをした道尾秀介。
彼の第二作目が文庫本化され書店で山積みになっている。
数日前に後輩から貰い、読み始めた。
始まりから100P迄は、ミステリー感たっぷりで熟読させる。
途中から生まれ変わりなどのファンタジー感、幼児虐待、児童性愛などの理解し難い異常性癖。
サスペンス感も兼ね備えた進行にハラハラドキドキ、たまらない。
でも、真相が解明される終盤は、奇々怪々な進行で「んーーーーっ?」と相成る。
トリックもここまですると妄想甚だしく、興醒めである・・・。