渋谷区からはじまった自治体による同性カップルのパートナーシップを認める制度ですが、全国の自治体で次々始まっていくといった大きな広がりは見せてはいません。
制度を用意した市区でも、実際にその申請をしたカップルの数も多くない。
1年前に始めた兵庫県の宝塚市は0件のままです。
当事者目線で考えれば、この制度を今利用できるか?といえば、大概のカップルは躊躇するだろう。
生活をする地域において、公開カミングアウトをすることになってしまうからです。
親元でもあるような地方の故郷では、役所の職員も知り合いだらけで到底無理無理という気持ちになるでしょう。
社会の認識を高める機会になったこの制度の意義やインパクトは大変大きいものがありますが、地方から出て東京などの大都会に行った人には使えるのかもな・・という印象を持って眺めている当事者には多いだろう。
また、いざ自分の暮らす街がこの制度を考えると想像すると、隠れながらも社会と折り合いをつけて生活しいる多くの当事者にとって「自分の街ではやめてくれ!」という意識も大きくあるのです。
自分は愛媛や松山でこのパートナーシップ証明の制度を求めることはまだ早いと思っています。
もし求めるならば、当然に申請するカップルを用意しておかねばならないですが、そんなことを引き受けられる方がどれほどいるでしょうか?
隠れているしかないと考えている仲間たちは、制度の影響で、カミングアウトを強いられる気持ちになってしまい、追い込まれることになると思います。居たたまれない気持ちになるでしょう。
政治的な議論となることで、問題的な意見や対立を噴き出させてしまうきっかけにもなるでしょうから恐ろしいことです。
この街の仲間を、そんな目に合わせたくない・・。
もし何組かの希望があったとしても、数組程度の申請しかないという状況が想像されます。
その場合、求めた制度の社会的な必要性が問われるでしょう。
制度を利用できるカップルと利用しにくいカップル、そして当事者の中の分断が進んでしまいます。
この制度は、社会にあらたな意識を広げる力もありますから大都会ではどんどんやってもらえたらいいなと思う。
しかし、それはどこか他人ごとでおられるからの考えかもしれません。
地方ではより社会の理解を飛び越えた制度になってしまうのだと思います。
それよりも、性的マイノリティについて、地域の理解を高めていく様々な取り組みを進めてもらう方が先です。
社会の理解が進められた先では、こういった制度も多くの人の後押しで実現もしていくだろうし
当事者においても、今よりも躊躇が減り、申請できるようなカップルも増えることになるでしょうね。
現在、同性カップルのパートナーシップを証明する制度のある自治体を眺めてみると、革新系の首長がいる自治体のところが多いようにもみえますが、そんなところも多くの保守的なよくある地方に暮らす当事者にとっては、想像しがたい動きに見ていると思います。
多くの当事者にとっての生きづらさは、社会や周辺の無理解にあると思います。
それはいつまでも変わるわけが無いもののように思えますが、社会は変わっていくものです。
他の人権課題も、着実に社会の意識を変えてきました。
無理解を理解に変えていく努力、分からないを埋めていく努力の積み重ねが変えてきました。
無理解と思うような人々の多くが、知らなかっただけ、想像できなかっただけなのです。
多くの人の意識を変えてきました。性的マイノリティのことも当然そうできると考えます。
自治体には、地域での理解増進を、行政として実際の市民の皆さんの理解を進めるにはどうしたらいいのか?を地に足付けた試行錯誤で推し進めて欲しい。
それを求めていくことの方が先であると思っています。
松山市なども、人権の取り組みの中で性的マイノリティを取り扱う機会を増やし理解の輪を広げていってくれています。人権にかかわる行政の皆さんが、先生たちに広がり、学校の現場での試しがはじまり、公民館に広がりと性的マイノリティを取り扱うことの躊躇をなくしていっています。
行政が着実に取り組むことで、社会の空気感が変わり始めています。
地元での取り組みがさらに広げていけるよう、また、今はやってない自治体でも取り組みが始められるために「LGBT理解増進法」の整備についても全国LGBT理解増進ネットワーク会議で頑張ってみています。
全国LGBT理解増進ネットワーク会議
http://lgbtrikai.net/
レインボープライド愛媛
http://rainbowpride-ehime.org/
(参考記事)
兵庫・宝塚市の同性パートナー認定 申請ゼロも「安心感」
2017/6/1 07:30 神戸新聞NEXT
https://this.kiji.is/242779252485948922
性的少数者(LGBT)支援のため、兵庫県宝塚市が同性カップルをパートナーとして認める「受領証」を交付する制度を始めて6月1日で1年になる。申請したカップルはゼロ件だが、同市は電話相談、職員や教員向けの研修会を開き、LGBTへの理解や支援を進めている。「制度があることで当事者の安心感につながる」といった評価もあり、同様の制度を持つ自治体は、同日から始める札幌市を含めて6自治体になる。(中川 恵)
東京都渋谷、世田谷区が2015年11月、文書を発行し同性カップルのパートナーシップを証明する制度を始めた。その後、三重県伊賀市▽宝塚市▽那覇市-の順に導入され、今年6月1日からは政令市として初めて札幌市でも始まる。
宝塚市は15年11月に制度導入を発表。その後4カ月で「結婚制度が崩壊する」などとする反対意見が約2500件寄せられた。市は16年度から、支援や啓発のための電話相談、ポスターやリーフレットの作成、職員や市民向け研修を実施。広報誌でもLGBTを特集した。制度導入後に目立った反対意見は寄せられていないという。
東京都世田谷区では50組に交付。アンケートでは、申請理由に「公の証明として認めてもらいたかった」「日常の中にLGBTカップルが生活しているという認知が広まってほしい」などが挙げられた。区営住宅への入居支援や区民への周知などの要望もあった。担当者は「制度を知って転入した人もいる。申請数は人口の多さや土壌も影響しているかもしれない」と話す。
札幌市は議会から「説明が足りない」との指摘を受け、4月の実施予定を延期し、2カ月を周知に充てた。相手がいない人からも「パートナーと暮らす未来が選べてうれしい」との声が寄せられたという。既に15組が申請予約している。
宝塚市はこの1年で、申請に関する問い合わせが5、6件あったが、手続きには至らなかった。担当者は「交付数は、当事者の要望を受けて始めた自治体とそうでない自治体との違いもあるだろう。制度があることが性的少数者の安心感につながっていればいい」と前向きに捉える。
市は今後、受領証を持つカップルを夫婦と同様に扱うよう民間病院や不動産業者へ働きかける。民間企業に対しても出前講座の実施を呼び掛けるなど、LGBTへの理解を促していく。
■元参院議員でLGBT政策情報センターの尾辻かな子代表理事の話
制度を導入する自治体が増えるのは評価するが、もう少し広がってもいい。当事者もいろんな生き方があり、申請がないから「いない」というわけではない。制度があることで当事者は否定されず、安心して住める。ただ、法的保障がないため、制度の広がりとともに立法化が課題だ。
制度を用意した市区でも、実際にその申請をしたカップルの数も多くない。
1年前に始めた兵庫県の宝塚市は0件のままです。
当事者目線で考えれば、この制度を今利用できるか?といえば、大概のカップルは躊躇するだろう。
生活をする地域において、公開カミングアウトをすることになってしまうからです。
親元でもあるような地方の故郷では、役所の職員も知り合いだらけで到底無理無理という気持ちになるでしょう。
社会の認識を高める機会になったこの制度の意義やインパクトは大変大きいものがありますが、地方から出て東京などの大都会に行った人には使えるのかもな・・という印象を持って眺めている当事者には多いだろう。
また、いざ自分の暮らす街がこの制度を考えると想像すると、隠れながらも社会と折り合いをつけて生活しいる多くの当事者にとって「自分の街ではやめてくれ!」という意識も大きくあるのです。
自分は愛媛や松山でこのパートナーシップ証明の制度を求めることはまだ早いと思っています。
もし求めるならば、当然に申請するカップルを用意しておかねばならないですが、そんなことを引き受けられる方がどれほどいるでしょうか?
隠れているしかないと考えている仲間たちは、制度の影響で、カミングアウトを強いられる気持ちになってしまい、追い込まれることになると思います。居たたまれない気持ちになるでしょう。
政治的な議論となることで、問題的な意見や対立を噴き出させてしまうきっかけにもなるでしょうから恐ろしいことです。
この街の仲間を、そんな目に合わせたくない・・。
もし何組かの希望があったとしても、数組程度の申請しかないという状況が想像されます。
その場合、求めた制度の社会的な必要性が問われるでしょう。
制度を利用できるカップルと利用しにくいカップル、そして当事者の中の分断が進んでしまいます。
この制度は、社会にあらたな意識を広げる力もありますから大都会ではどんどんやってもらえたらいいなと思う。
しかし、それはどこか他人ごとでおられるからの考えかもしれません。
地方ではより社会の理解を飛び越えた制度になってしまうのだと思います。
それよりも、性的マイノリティについて、地域の理解を高めていく様々な取り組みを進めてもらう方が先です。
社会の理解が進められた先では、こういった制度も多くの人の後押しで実現もしていくだろうし
当事者においても、今よりも躊躇が減り、申請できるようなカップルも増えることになるでしょうね。
現在、同性カップルのパートナーシップを証明する制度のある自治体を眺めてみると、革新系の首長がいる自治体のところが多いようにもみえますが、そんなところも多くの保守的なよくある地方に暮らす当事者にとっては、想像しがたい動きに見ていると思います。
多くの当事者にとっての生きづらさは、社会や周辺の無理解にあると思います。
それはいつまでも変わるわけが無いもののように思えますが、社会は変わっていくものです。
他の人権課題も、着実に社会の意識を変えてきました。
無理解を理解に変えていく努力、分からないを埋めていく努力の積み重ねが変えてきました。
無理解と思うような人々の多くが、知らなかっただけ、想像できなかっただけなのです。
多くの人の意識を変えてきました。性的マイノリティのことも当然そうできると考えます。
自治体には、地域での理解増進を、行政として実際の市民の皆さんの理解を進めるにはどうしたらいいのか?を地に足付けた試行錯誤で推し進めて欲しい。
それを求めていくことの方が先であると思っています。
松山市なども、人権の取り組みの中で性的マイノリティを取り扱う機会を増やし理解の輪を広げていってくれています。人権にかかわる行政の皆さんが、先生たちに広がり、学校の現場での試しがはじまり、公民館に広がりと性的マイノリティを取り扱うことの躊躇をなくしていっています。
行政が着実に取り組むことで、社会の空気感が変わり始めています。
地元での取り組みがさらに広げていけるよう、また、今はやってない自治体でも取り組みが始められるために「LGBT理解増進法」の整備についても全国LGBT理解増進ネットワーク会議で頑張ってみています。
全国LGBT理解増進ネットワーク会議
http://lgbtrikai.net/
レインボープライド愛媛
http://rainbowpride-ehime.org/
(参考記事)
兵庫・宝塚市の同性パートナー認定 申請ゼロも「安心感」
2017/6/1 07:30 神戸新聞NEXT
https://this.kiji.is/242779252485948922
性的少数者(LGBT)支援のため、兵庫県宝塚市が同性カップルをパートナーとして認める「受領証」を交付する制度を始めて6月1日で1年になる。申請したカップルはゼロ件だが、同市は電話相談、職員や教員向けの研修会を開き、LGBTへの理解や支援を進めている。「制度があることで当事者の安心感につながる」といった評価もあり、同様の制度を持つ自治体は、同日から始める札幌市を含めて6自治体になる。(中川 恵)
東京都渋谷、世田谷区が2015年11月、文書を発行し同性カップルのパートナーシップを証明する制度を始めた。その後、三重県伊賀市▽宝塚市▽那覇市-の順に導入され、今年6月1日からは政令市として初めて札幌市でも始まる。
宝塚市は15年11月に制度導入を発表。その後4カ月で「結婚制度が崩壊する」などとする反対意見が約2500件寄せられた。市は16年度から、支援や啓発のための電話相談、ポスターやリーフレットの作成、職員や市民向け研修を実施。広報誌でもLGBTを特集した。制度導入後に目立った反対意見は寄せられていないという。
東京都世田谷区では50組に交付。アンケートでは、申請理由に「公の証明として認めてもらいたかった」「日常の中にLGBTカップルが生活しているという認知が広まってほしい」などが挙げられた。区営住宅への入居支援や区民への周知などの要望もあった。担当者は「制度を知って転入した人もいる。申請数は人口の多さや土壌も影響しているかもしれない」と話す。
札幌市は議会から「説明が足りない」との指摘を受け、4月の実施予定を延期し、2カ月を周知に充てた。相手がいない人からも「パートナーと暮らす未来が選べてうれしい」との声が寄せられたという。既に15組が申請予約している。
宝塚市はこの1年で、申請に関する問い合わせが5、6件あったが、手続きには至らなかった。担当者は「交付数は、当事者の要望を受けて始めた自治体とそうでない自治体との違いもあるだろう。制度があることが性的少数者の安心感につながっていればいい」と前向きに捉える。
市は今後、受領証を持つカップルを夫婦と同様に扱うよう民間病院や不動産業者へ働きかける。民間企業に対しても出前講座の実施を呼び掛けるなど、LGBTへの理解を促していく。
■元参院議員でLGBT政策情報センターの尾辻かな子代表理事の話
制度を導入する自治体が増えるのは評価するが、もう少し広がってもいい。当事者もいろんな生き方があり、申請がないから「いない」というわけではない。制度があることで当事者は否定されず、安心して住める。ただ、法的保障がないため、制度の広がりとともに立法化が課題だ。