真田丸-30

2016-07-31 20:04:29 | Weblog
秀吉の寿命はすでに終わりに近づいていた。悲しいことだが、富める者にも貧しいものにも、善きものにも悪しきものにも、この世のどんな権力者であろうと平等に、そして決してだれも避けることのできない命の時間の限界が秀吉にも近づいていたのだ。

非常に悲しく辛いことだが、その頃の年代になってくると、いやでも耄碌とか惚けという現象も少しづつ起こってくる。忘れるとか、わからなくなってくるというのは決して悪い面ばかりではないのだが、最高権力者に上り詰めた秀吉の耄碌や惚けは悲しいだけでなくて、周囲に及ぼす影響も大きい。

普通の老人が失禁したところで天下国家にはなんの影響もないのが、秀吉となると話は違ってくる。周りにいるのは味方ばかりではない。跡継ぎはまだ幼い、豊臣を盛り立てるよりいっそわが手中にと考えをめぐらす家康もいる。

真田家の一族にもその影響は大きく及ぶのだ。兄、源三郎の正妻は徳川方の有力者の娘、弟源次郎の正妻は豊臣方の有力者の娘、秀吉の今後の生と死は真田家全体をも大きく動かしていくのだ。今日の話はまだその前哨戦のようなものだが、つくづく人の世の悲しみを考えずにはいられない内容だった。