時代が時代だし、昔とは比べられないかもしれないが確かどこかで作家の曽野綾子さんが、若い時に身についた仕事がその人の一生の仕事になるとか書いていらっしゃったような記憶がある。この年になってみると、それはたしかに本当のことのようだと思う。
親が本が好きで、印刷会社にいたから、なんとなく自分も印刷系の仕事につき、読んだり書いたりするようになって未だにその延長でなんとか最低限は食べている。いいか悪いかはよくわからない。書くということを知らなかったら生活保護に甘んじているよりましな仕事を探していたかもしれないし、だいたい、裏の大変な大事件にも巻き込まれず、普通に生活して普通のおばはんになっていただろう。
言いたいのはとにかく、若い時にどんな仕事を身につけるかということは非常に重要なことだということだ。才能の有る無しも勿論大きく関係するが、多分、それがその人の一生食べていく仕事やその基礎になるらしいと感じるのだ。でも大学を出て普通に就職した方ではそのへんはわかりにくいかもしれない。
実は昨日youtubeで捜し物をしていて、たまたま六文銭の及川恒平さんの長い対談を見つけた。それで、及川さんがどういう経緯で小室等さんに出会い。六文銭と関わっていったか初めて知った。人それぞれの歴史は面白い。若い日の出会いが今の及川さんにつながってきたのだ。
youtubeで有り難いのは昔の古い記録が出ていることだ。その昔、カトリックに改宗する以前は相当固いプロテスタントに所属していたから、言ってしまえば今の下手な修道生活よりはるかに厳格な生き方でテレビの娯楽番組など一切見たこともなかった。カトリック教会で初めて電線音頭とかしらけ節を知ったくらいだ。今になってやっとyoutubeでそれがどんなものだったかやっとわかった。でもテレビはよっぽど気に入ったものでなければ、いまだに普段はほとんど見ていない。
それが、あるドラマが気に入ってから、主演の俳優さんの演技力に感心し、その方の昔々の若いまだ子供の顔をしていた頃のものまでこれもyoutubeや、daylymotionで探し出して見ていくと、その方の俳優人生に大きく影響した人間関係などまで、多少は見えてくるわけで、思いもよらない人が出てきたり実に面白い。そして、この方も十代の劇団の頃から今日まで、若い時に身につけた仕事で過ごしてきたわけだ。
しかし、人との出会いもまずは当人が動き出さなければ何も起こらないのだ。というわけで、最後にひとつだけ言いたい。
年間三万人の自殺者の出ている日本だけれど、とりあえず若い人は死ぬことを考える前に何でもいいから動いてみたらどうだろう。こんな仕事じゃ嫌だと思ってもとにかく動いて、たくさんの他の人と出会ってみることは出来ないか。自分だけに目を向けていては何も見えないぞ。現実に動いていくと、他の人達との出会いの中から次の道も見えるかもしれないよ。たくさんの本を読めよ。たくさんの人に会ってその人達をよく見ろよ。