peaの植物図鑑

草や木の花や木の実(果実)、特に山野草が好きで、デジカメを持ち歩いて撮っています。2024年3月、85歳になります。

発熱する植物・ザゼンソウ(座禅草)

2009年03月21日 | Weblog
発熱する植物・ザゼンソウ(座禅草)
 2007年3月17日








2007年3/17(土)、北上市和賀町藤根地区で
「ざぜん草まつり」(藤根自治振興会主催)が
「ざぜん草の里」と稲葉神社周辺、藤根地区交
流センターを会場に開催されました。
ザゼンソウ(座禅草)の群生地の散策をしてか
ら、午後1時から同センターで行われた、岩手大
学附属寒冷バイオシステム研究センター教授の
伊藤菊一(きくかず)氏による公演「発熱する
植物・ザゼンソウの不思議」を聞きました。

当日、受付で渡された「石井威望の世界新技術
レポートTECHNO CURRENT(テクノカレント)
2005/10/15 No.404 発熱遺伝子を持つ植物・
ザゼンソウ」には、この公演でお聞きしたことが
記載されていますので、一部転載します。
発熱する植物 一般に、植物の体温は外気温の変化
とともに変動するものと考えられているが、驚く
べきことに、ある種の植物には、自ら発熱し、そ
の体温を積極的に調節できるものが存在する。
例えば、我が国の寒冷地に自生し、早春に花を
咲かせるザゼンソウ(Symplocarpus foetidus)は
氷点下を含む外気温の変動にも関わらず、その体温
を20℃内外に維持できるサトイモ科の発熱植物であ
る。
このような発熱植物の最初の記述は、今からおよ
そ200年以上も前のフランスの博物学者ラマルク
(Jean-baptiste de Lamarck)によるヨーロッピア
ン・アルム・リリーに関する報告である。
その後、ヒトデカズラ、ザゼンソウ、ソテツ、ハス、
デッドホースといった発熱能力を有する植物が発見
され、「発熱植物」とでも呼ぶべき一群の植物の存
在が明らかになりつつある。
ザゼンソウの発熱現象
~生物進化の過程で獲得した巧妙な仕掛け・仕組み

ザゼンソウは、北米大陸東部および北東アジアに分
布するサトイモ科に属する多年生植物である。本植
物は湿地に群落を形成して自生し、その地上部には、
サトイモ科に特徴的な仏炎苞と肉穂花序と呼ばれる
器官を有している。
これまでに、サーモグラフィーによる温度解析から
本植物の肉穂花序が特異的に発熱していることが判明
している。ちなみに、ザゼンソウと同様、湿地に自生
し、早春に花を咲かせるミズバショウもサトイモ科に
属する植物であるが、ザゼンソウのような発熱現象は
観察されない。植物分類学においては、ミズバショウ
はザゼンソウに最も近縁の植物種であると位置づけら
れているが、その発熱能力に大きな差異があることは
非常に興味深い。
また、ザゼンソウはサトイモ科の植物に見られる”
雌雄異熱”と呼ばれる特徴を示す。これは、自家受粉
を避けるため、雌期と雄期が時期的に分けられている
ことを指すが、非常に興味深いことに、ザゼンソウの
肉穂花序における発熱は、雌期のみ観察され、その体
温は氷点下を含む外気温の変動にもかかわらずほぼ20
℃内外に維持されていることが明らかになっている。

また、マイナス15℃の寒冷環境で発熱しているザゼン
ソウの発熱量を他の生物と比べてみると、その発熱量は
、飛行中のハチの筋肉や、ハムスターの発熱組織(褐色
脂肪組織)と比較できる程である。

このようなザゼンソウの発熱の意義については、
(1)開花・受粉プロセスの低温障害からの回避、
(2)寒冷環境における肉穂花序の生育の促進、
(3)訪花昆虫を誘引するための揮発性物質の効
   果的拡散、
   等の仮説が提案されている。

これまで国内外で報告されている発熱植物の中で、
外気温が氷点下まで低下するような寒冷環境下で
積極的に発熱し、かつ、その体温を自立的に調節
できる恒温性を有する植物は、ザゼンソウ以外には
例がない。従って、本植物の発熱現象には、生物進
化の過程で獲得した温度制御システムに関する巧妙
な仕掛け・仕組みが含まれているはずである。
(以下省略)

ザゼンソウについて、さらに詳しいことが知りたい
方は、Googleなどの検索ソフトで「ザゼンソウの研
究」と入力して検索すれば、伊藤教授などの研究成
果がヒットするはずです。




 

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