京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師。タグ・ホイヤーの失敗!

2010-12-07 22:51:36 | 日記



「2秒ごとに秒針が飛ぶのです!」
電池切れ予告なのです。
いきなり時計が止まってあわてないようなシステム。

電池交換の失敗!
タグ・ホイヤーに対するクレーム。

①クオーツ時計の秒針の運針にクレーム。
文字盤の60個のポインターの上にきちんと止まらない。
秒針の動きが気に入らない。

②時計をつけるとき買った当時は、カチッと音がした。
今は鳴らない。気に入らない。

③電池交換の修理をした際に上下のマークが微妙にズレて戻ってきた。
ホイヤーの3大クレーム。

タグホイヤーはアメリカと日本で生産数の60%を占める。
2カ国だけでほとんど売れている!

ライバル各社のねたみもあって大変なメーカーです!

クレームの多い日本、アメリカで売れているのです。
特に問題は無いと思うのです。

スポーツ用時計のアイテムだけをがんばって造ってきました。

さて、電池交換とメンテナンスのお話。

今日はリンクス。

①ベルトをはずすためにピンを抜く。一発で抜く。素人は一気に抜けない。
結果ピンを曲げたりします。

②裏蓋の錆を確認。錆取り。丁寧に時間をかけてサビ取り。

③オープナーを選ぶ。
サビ付きが多い場合は強力オープナー。普通のサビはセイコーの保持機で充分だ。
今日はセイコーの保持機に乗せて、オープナーで裏蓋を開ける。

④裏蓋に傷がついていないことを確認。
防水パッキンを移動。シリコンケースに入れる。

⑤電池を取り出す。電池押さえを持ち上げて古い電池を取り出す。
新しい電池に交換。古い電池の電圧を計測。
本体の抵抗値を確認。

⑥正常な数値であることを確認した。裏蓋を閉める作業を開始。
防水パッキンをチェック。ケース本体に挿入する。
裏蓋をケースに乗せて仮に止める。

⑦裏蓋に日付けを記入。2010年12月パスティーシュ工房。

⑧裏蓋を閉める。閉めるときに一番傷をつけやすいので細心の注意。終わりだ。

電池交換1000円の手数料。

⑨秒針の確認。
4秒に一人、世界の乳幼児が死んでいる。
つっーと進んで止まる。その間にどこかの国の幼児が命をなくしている。

850万人の小さなチビ子が毎年命をなくしている現実がある。

⑩厳しい現実があることを知らされる。勇気が必要な仕事。

目を閉じてはいけない。この社会を何とかしようとこの業界に進む人が多いのです。

平和産業なのです。紛争が起きると時計業界は潰れます。

ヨーロッパ時計師の当たり前の常識でした。
給料の3%程度の天引きがある。

自分ひとりでも始められる間違った時間の修理。
間違った時間は正しい時計で直します。

時計師は常に正しい時間を把握することにプライドを感じる。
尊敬される職業でした。

基礎編。これが日本では難しいね!明日はお休みだよ!





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