京都 洛北の時計師 修理日記

時計修理工房「ヌーベル・パスティーシュ」京都の洛北に展開する時計修理物語。
夜久野高原で営業再開しました。

時計師の京都時間。

2014-01-25 09:15:07 | 日記

水沢腹堅(すいたくふくけん)厳しい寒さで沢の水が凍る朝。
季節は厳しい冬。
「冬の京都時間」
「夏の暑さよりまだまし、冬がすごしやすいよね~!」
明日からさらに寒くなるらしい。エルメスカラーのオレンジが暖かく感じます。

もうすぐ節分吉田神社「おにやろ~!」の掛け声がまちどうしい。節分の日に食べる「塩いわし」日本酒は熱燗が合います。これもまちどうしい!
お酒が入ると時計も楽器も事故が怖いので触れないのでまちどうしい。

サラリーマン時代に朝からお酒を飲む同僚がいました。
「今日は仕事はお休み!」のアピールだ。緊急事態で呼び出されてもお酒を飲んでいますと行って断る事が出来る。朝からヨッパライが出来上がっていて、日ごろは飲まないお酒を飲むので暴れるのが迷惑でした。
ストレスが厳しいのが時計の仕事なのです。

毎日、仕事が落ち着くとチェロの練習を始める。そのまま興奮状態で自宅に帰ることはありません。
何かの都合で直帰すると家族が迷惑します。
緊張した一日を送る為にミスが許されない。どのような壊れ方をした時計が来るか解らないのも不安なのです。
「今日はエルメスとブルガリと~、後は水が入ったセイコーとほかにベルトの修理やら~大変だったよ~」私に捕まった嫁さんは仕事の話を延々と続けられてしまう。とにかく誰かと会話をしたいのですがオヤジのh仕事などに興味のない家族は迷惑な話です。

一般のサラリーマンなら仕事が終わると飲みに出かけてストレスを発散するところが時計師の仕事は孤独。
一人ですべての責任を負うので苦労を分かち合える会話はない。愚痴ると次の日から仕事が回ってこなくなる競争社会だ。「あの人仕事が辛いらしいよ!」と噂だけでもアウト!環境が音楽の世界に似ている。出番が回ってこなくなるのです。

ライバルばかり同僚と連れ立って飲みに繰り出す事はあまりない。一度くらい上司の悪口を肴に飲んでみたかったと思う。

上手なクールダウンの方法も時計師の仕事では大切なスキルの一つ。酒に走ると簡単にアルコール中毒に行き着く。ギャンブルに走ると破産が待っています。腕のいい人ほど危険が待ち構えている。仕事の結果が気になって眠れなくなる事など日常茶飯事です。

無事にここまでやってこれたのはチェロのおかげ?夕方になると騒音が響いて工房前の歩行者の皆さんに迷惑をおかけしていますがご理解ください。
ところでお気に入りの指揮者のクラウディオ・アバド氏がお亡くなりになりました。
キャチアップ・ターゲットの一人でした。彼のように生きてみようと思う人が次第に少なくなってきた。

節分まえに今日も寂しい旅、トボトボと歩いているヘナチョコ時計師。
カザルスが砂浜を一人で歩いている写真を眺めながら「人間死ぬ時は一人やな~」
死ぬまでに一本でも多く時計を治したいものです。
昨日、アバドの追悼番組を聴きながら冬の季節を生きているのだと再確認しました。




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