離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする民法などの改正案は16日、参院法務委員会で自民、公明、立憲民主、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決された。17日の参院本会議で可決・成立する見通しだ。
離婚後の親権に関する家族法の改正は約77年ぶりとなる。
改正案は、離婚後の親権者を父母の一方に限る「単独親権」のみを規定する現行法を見直し、父母が協議で合意すれば共同親権を選択できるようにする。父母双方が子育てに責任を持つことで子どもの利益を確保する狙いがある。
父母の協議が調わない場合は、家庭裁判所が親権者を判断するが、一方の親から子への虐待や、父母間のDV(家庭内暴力)の恐れがあるなど「子の利益を害する」場合は、単独親権としなければならないと定めた。共同親権の場合でも、緊急の手術など「急迫の事情」があれば単独で親権を行使できる。
改正法は公布から2年以内に施行される。すでに離婚して単独親権となっている場合でも、施行後に家裁に申し立てて認められれば共同親権に変更できる。
このほか、離婚時の取り決めがなくても別居親に最低限の養育費を請求できる制度の創設も盛り込まれた。支払いが滞った場合、他の債権者に優先して財産を差し押さえられる。
16日の法務委では、親権者の判断などで業務の増加が見込まれる家裁の職員増員など「必要な人的・物的な体制の整備」を求める付帯決議が採択された。
読売新聞オンライン 配信
(写真)「共同親権」導入を柱とした、民法などの改正案が賛成多数で可決された参院法務委員会(16日午後、国会で)=川口正峰撮影