た・たむ!

言の葉探しに野に出かけたら
         空のあお葉を牛が食む食む

連休後半:たこあげ

2008年05月08日 | essay
 気心の知れた仲間とキャンプをしに清里へ向かう。

 山の奥へ奥へと車を走らせていたら、突然開けた牧草地が出現した。そこが清里であった。随分な観光地で、大人も子どもも行列になってソフトクリームを舐めていた。
 広場では親子がたこあげをしている。製作キッドを購入し、自分で組み立ててあげているので、よくあがるのもあれば地面を車輪のように回転しているのもある。ただ走っても駄目だよ、糸を引きながら走らないと。たこを持っててあげようか? 眺めているうちにわれわれも童心に返り、気がつけばたこを製作してあげていた。

 空が青い。遠くに雪をわずかに被った山脈が見える。もっと遠くに富士山も見える。

 たこは、散歩に連れられて俄然元気を見せ始めた犬のように、力強く風を受けてはためいている。

 そうか、たこあげは空を見上げる遊びなんだ。と今更ながら思う。とすると、ビー球や「陣地取り」は地面を触る遊びか。「堰止め」といって、用水路の水を雪でせき止める遊びも私のふるさとにはあったが、あれは雪解け水の冷たさを知る遊びだったかも知れない。まあこじつけの嫌いがないでもないか。

 でも、たこあげは、空を見上げる遊びなんだ。

 そう考えていると、ふと、あげている糸を切りたい衝動に駆られた。そうするとたこはもっと上空へ舞い上がるだろう。もっと高い空を眺めることができるだろう。
 「環境破壊になるからよせよ」
 と友人に言われた。「それに、そのたこはおれが作った奴だ」

 そうだった、ごめんごめん。
コメント
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