この街ではつねに人々に自分が試されている気がする。誰もが誰もを試したがっている。全幅の信頼や安心はそこには介在しない。今日手を取り合った友に、明日には奥歯を剥き出しにされて唾を吐きかけられてもおかしくないのだ。友の態度は私の能力いかんである。能力のない者は決して認められない。人間を歯車にまで貶めると必然的に導かれるであろうこの帰結が、この街のあらゆる建物の中に柱の芯まで染み渡っている。
あいつはどれだけ使えるやつか。人々は眼を細めて私を始終観察する。私もまた、この街に来て一年有余、そういう眼で周囲を観察し、そういう眼でしか人と接することのできなくなった自分に気づかされる。試されたら、試し返せ。
この街では、存在それ自体は、烏のつついたごみ袋ほどにも価値のあるものではない。能力なのだ。能力という当たり前のような捉えどころのないような評価基準がすべてなのだ。
あいつはどれだけ使えるやつか。人々は眼を細めて私を始終観察する。私もまた、この街に来て一年有余、そういう眼で周囲を観察し、そういう眼でしか人と接することのできなくなった自分に気づかされる。試されたら、試し返せ。
この街では、存在それ自体は、烏のつついたごみ袋ほどにも価値のあるものではない。能力なのだ。能力という当たり前のような捉えどころのないような評価基準がすべてなのだ。