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日々の気になる出来事を私なりの切り口で動物たちに報道させます。
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まさプヨのアゲインスト 第2話「自信作」

2005年06月16日 | ドラマ街[創作ネタ]
この物語は世間の冷たい風にさらされながらも
懸命に今日も彷徨う
まさプヨこと、まさのぶが繰り広げる意味ねードラマである。

第2話 「自信作」

まさのぶはワンルームマンションに住んでいる。
こじんまりとしたその部屋の中央には
年間を通してコタツが居座り、
その下からは、いつ干したかもわからない
敷布団が顔をのぞかせている。
彼はバイトをしながら音楽家を夢見る
エキセントリック少年だった。
今日もこたつの上に置かれたキーボードに向かい作曲活動だ。

まさぷよ
「んーなかなかいいんちゃいますのん」

どうやら久々の「自信作」のようだ。
彼は早速その曲をテープに落とすと、
枕もとに常備してあるラジカセに放り込み
いつものようにボリュームを最大限に上げ、
その音を部屋中に響かせた。

まさぷよ
「ほうほう、ん、うん、こりゃええわ」

少しにやけながら"これは売り込める・・!!"
そう確信したまさのぶの顔には
ハエが止まっていた。

手で払いのけるとまさのぶは殺虫剤をおもむろに天井めがけ吹きつけ
勝ち誇った顔を浮かべつつつぶやいた。

まさぷよ
「人間様をなめんなよ」

そう言うと再びテープの再生を繰り返すまさのぶだった。


「ドン」

それは午前2時の衝撃音だった。
まさのぶは、うとうとしていた眠気もすっ飛び
音のした壁を見やった。が、何の異常もなかった。
"なんや夢か・・・"
そう思うと再び「自信作」を子守唄に寝床につこうとした。


「ドン、ドン」

その瞬間まさのぶは気付いた。
"隣の野郎の仕業か・・・・!"
隣の部屋には最近引っ越してきた学生らしき若い男。
以前まさのぶはこの男が夜通し仲間と騒いだことに腹を立て
壁を思い切り蹴り、隣のドアに
「うるさいんじゃボケ」
と張り紙をした事があった。

まさぷよ
「ふふん、ええ度胸してるな」

そうつぶやくと同時に立ち上がったまさのぶは
以前にも増して足を大きくスイングさせた。

「ズドン」

まさのぶの部屋の壁には大きなへこみができた。
それは石膏ボードにヒビが入ったと分かるほどの衝撃だった。
その後隣人からの音は鳴りを潜めた。

まさぷよ
「ふん、俺様をなめるなよ」

そう言うとまさのぶは再び寝床についた。
無論、「自信作」は彼にとって心地よく部屋に響いていた。

眠りにつくとやがて朝日が部屋を射していた。

ピンポーン

朝日に気付くまもなく、
インターホンのチャイムが彼を目覚めさせた。
居留守を使おうを思ったが、その音は2度3度鳴り止まない。

まさぷよ
「誰やねん朝から・・・」

頭を掻きながらのそのそと玄関に向かった。
ドアノブに手をかけつつもまずは確認とばかりに
ドアスコープから外を覗いて見た
するとそこには明らかに警官の姿があるではないか。
まさのぶはギョッとした。
と、同時に彼の脳裏に昨晩の出来事が駆け巡る。

まさぷよ
「なんや・・・隣の奴警察に・・・」

彼はその一瞬様々な反論を考えた。
が、朝早くいきなりの警官登場にその思考回路は鈍っていた。
そして"民事不介入"という言葉がよぎった後、
何かホッとした気持ちを感じた。
そして考えていても仕方ないと一気にドアを開ける。

警官
「ああ朝からすみませんね。そこの派出所の者ですが」
まさぷよ
「はぁ・・・」

見ると警官の後ろには管理人の姿が。
"ははん・・・管理人に言いつけたんかあの野郎"
そうまさのぶは直感した。

警官
「ちょっと調べで回ってるんですが」
まさぷよ
「はぁ・・・」
警官
「この辺でどうも変な音が毎晩聞こえてくるらしいですね?」
まさぷよ
「は・・・?」
管理人
「最近不審な音が聞こえると
多数の住人さんから苦情がありましてねぇ、
おたくも聞いたことあるかいなと思いましてね」

警官
「なんかねぇ気持ちの悪い不協和音というか
黒板を爪で引っ掻いたような音らしいんやけどね」

まさぷよ
「毎晩?多数?不協和音???」

まさのぶは混乱した。

"壁を蹴った事とちゃうんか?不協和音てなんや??
そんな音は特に聞いた覚えも無い。
隣の奴がわざとありもしない話しをしたのか・・。
いやまてよ、他の住人からも言われているんか
どういうことや??"

まさのぶが理解しかねる顔で考えているその時
管理人がぼそっとつぶやいた。

管理人
「・・・・部屋で何かしてます?」

まさのぶは意外な言葉に驚いた。

まさぷよ
「うちで?」
管理人
「ええ、・・・あの音はなんです?」
まさぷよ
「音?」

皆が部屋の中に聞き耳を立てる。
するとそこからは昨晩からかけっ放しの
あの、まさのぶの
「自信作」
が聞こえてきた。

警官は軽く頷いた。

警官
「ん、・・・これやな」
まさぷよ
「ぷよぷよぷよ・・・・」

まさのぶの「自信作」は"自身suck"だったらしい。
曲はまだ鳴り止まない。


第2話 「自信作」   終

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こわい。こわすぎる。 (きゃす☆)
2005-06-16 14:14:23
きっと、こういうバカは懲りずに繰り返すのだろう。



「自信作」というより「作 まい 自信」やね。 
返信する
いらっしゃいませ♪ (ota)
2005-06-16 21:09:57
>きゃすさん



彼はその繰り返す罪も気付かないのであろう。

そしてさらに風は冷たく強く吹きつけるのです。

しかし本人はそれに対しても逆切れします。



今の貴乃花みたいなもんだね。
返信する
Unknown (大きい子)
2005-06-17 13:28:58
彼は、勘違いをしている なぜ、あんなにも、自分の事を出来る人間やと思っているのか?なぜ、世界が、自分を中心に回ってると思っているのか?勘違いもここまで来ると逆にすごい、けど、係わり合いたくないキモい
返信する
月並みやけど (きゃす☆)
2005-06-17 16:35:42
それだけの継続力と斬新な発想があるのに、なぜ表\舞台で勝負しない?

言うだけ無駄かな…
返信する
まぁまぁ (ota)
2005-06-17 18:20:31
>大きい子さん



そこまで怖いと思っていただければこの主人公も本望ですわ。正直自分で作ってて世間から反発される人間を描くことの辛さを痛感しております。

ただね、キモいと切り捨てず、そんな主人公を救えるストーリーにできればいいかなと思ってます。



>きゃすさん



彼なりにやろうとはしているんだけど、

それが空回りしていると受け取ってもらえれば。

アゲインストがフォローに変わったときを彼は受け入れることができるのか。

今後に注目してちゃぶだい。
返信する

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