大島恵真(おおしま・えま)の日記

児童文学作家・大島恵真の著作、近況を紹介します。
絵本作家・大島理惠の「いろえんぴつの鳥絵日記」もこちらです。

兄との初めての会話

2020年09月23日 | 個人的なエッセイ
みなさま こんにちは!
お彼岸ですね。そんなおりに、兄と初めて電話で会話しました。

前回、自分から電話をしたのは、父が亡くなったことを知らせたとき。
それから25年以上たっています。

もともと、10年間をともに暮らしながらも、会話らしい会話はありませんでした。
兄が母の実子でないことを知ったのは、私が結婚するときでした。

前の晩からどきどきして、朝いちばんに電話をすると、
電話に出た兄は、思いのほか明るい声でした。

ずっと何も知らなかったことをあやまり、兄と父の確執、父が兄にした借金のことなど、
あやまりました。

兄は、ずっと、うん、うんとうなずきながら、聞いてくれました。
そして、もうそれはいいよ、過去のことだから、終わったことだからと言いました。
みんな棺桶に入っちゃったしな、と。

その電話の日から日々、兄と過ごした自分の子ども時代のことを思い出しています。
私にとって、兄は、家族を構成していた重要な一員でした。
父にも母にも頼れなかったので、会話がなくても、いちばん兄を頼りにしていたのです。

みんな棺桶に入ってしまいました。
兄との初めての会話は、自分の子ども時代の終わりを認めるものともなりました。

兄は自分の家族と、もうずっと前から新しい生活を歩んでいます。
兄の明るい声から、家族との生活が幸せであることが感じられました。

兄たちが遠くで元気に生きていてくれることは、やはり幸せです。

私も、自分のパートナーと、その家族たちと、絆をもっていこうと思いました。
みなが幸せに生きることが、遠くのだれかを幸せにすることだとも思えました。

みなさまも、よいお彼岸シーズンをおすごしください。
どのようなわだかまりの関係も、少しでもよい方向にほぐれていきますように。


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