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連日の雨 この日の夕刻は かなりの降りだった |
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いつものせせらぎは 濁流と化し |
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いつもの場所は 水たまり 水びたし |
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そんな水びたしの川岸に カモが二羽 結婚したばかりの若夫婦だろうか |
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この日 猫たちは現れなかった |
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「ねえ、おかか先生」 |
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「何だい?」 |
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「水玉って、きれいだね」 |
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「ほら、これ見てよ」 |
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「僕、葉っぱの上の水玉が、大好きなんだ」 |
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「うむ。確かに美しいな」 |
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「だが、ゆうちゃんのお目々は、もっと綺麗だぞ」 |
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「え? 僕の目? そんなにきれい?」 |
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二人のそんな会話を、おむさんはじっと聞いていた。 |
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おかか先生はこのところ、目の具合が良くない。 |
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だから、薬入りのフードを食べたりしている。 |
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そんなおかか先生だから、 |
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ゆうちゃんの美しい瞳が、うらやましいのだろう。 |
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おむさんは、先生の気持がわかるような気がした。 |
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けれど、口に出しては言わなかった ―― 。 |
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名探偵ホおむズ 事件簿024 |
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「久し振りだな、ホおむズ」 |
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「むっ、貴様は、怪盗ルパン!」 |
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「チャンスだぞ、ホおむズ! 奴を捕まえろ!」 |
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「証拠がないのだよ……」 |
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「うう……そうか……悔しいなあ」 |
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「ふっふっふ。私は証拠を残すようなヘマはせん」 |
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「くっ! いつか必ず、貴様の尻尾をつかんでやる!」 |
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「できるかな。ふっふっふ」 |
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「で、できるとも!」 |
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「今すぐにでも!」 |
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「!?」 |
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ガブッ |
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ずこー 「そりゃ尻尾を『つかむ』じゃなくて、『かむ』だろー!」 |
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いきなり尻尾を噛まれたルパンは、ほうほうの体で逃げ去った。 「た、助けてくれ~」 |
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「ざまを見ろ! わ~っはっはっは!」 |
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「おいおいホおむズ……真面目にやれよ……」 |
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「細かいことは気にしない! わっはっは~!」 |