観客不在

2009年04月22日 15時11分00秒 | B地点 おむ

 

「うッ、追忍か!?」
「ふふふ、オムイ! 冥土の土産に、華麗な変身の術を拝ませてやる!」
追忍はサギに化けた。実に見事な化けっぷりである。

「どうだ!」
更に、ナマズに化けた。水中の生物に化けるのは命がけである。

「どうだーッ!」
「……って、あれ? オムイ? どこ行った?」
オムイは追忍のことなどとうに忘れて、全く別の場所で花見を楽しんでいた。
「そ、そんなぁーーーッ」
ガクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


さりげなく

2009年04月22日 14時43分00秒 | B地点 おかか

 

この素晴らしい場所を
おかか先生が僕にプレゼントしてくれた
それは単に言葉の上だけのことではなかった
先生は、僕がここで遊ぶ間ずっと、危険がないよう、見張っていてくれたんだ
先生に、何かお礼をしたい
でも、どうしたらいいか、思い付かない
……とりあえず、さりげなく腰を揉んであげることにした
先生も、さりげなく喜んでくれたようだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


花と花が寄り添う

2009年04月22日 14時28分00秒 | B地点 おかか

 

 

おかか先生は、なんだか元気がない
「……先生、どうかしましたか?」
「ん……。うまく言えないが、ガックリしてしまってね」
「牡丹桜が散るのを楽しみにしていただけに」
「いざ、こうして散ってしまうと、心の中で張り詰めていたものが切れてしまったようで……」
「なるほど。僕にも解りますよ」

「だろ?」
「でも、こればっかりは、しょうがないでしょう」
「また来年がありますよ」

「うん。そうだな……」
彼等は理解していなかった
彼等自身もまた、優れた意味に於いて花である、ということを
花だけが花なのではない、ということを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


その間の出来事

2009年04月22日 12時57分00秒 | B地点 おむ

 

 

時間が止まりました
神々のベンチが現れました

神々が世界の視察に来るのです 
あろうことか、一匹の猫が、神々のベンチにひょいと乗ってしまいました

ために、世界の秩序が崩壊してしまいました

世界は光を失いました
ところが ―― 猫の背中が輝いて、再び世界を照らしました
決して驚くはずのない神々が、驚いてしまいました
神々は、この猫について、相談をしました
その結果、この猫は、高貴なるものとして認められました
神々のベンチに座ることを許されたのです
猫は神々に愛でられました
もちろん、猫自身は、何も気付いていませんでした
いつも通りに、いつもの場所にいる、そう思っていたのです
神々は、かわるがわる猫を抱き、優しく撫でました
猫は、不思議な甘い感覚に包まれて、幸せでした
神々が撫でた跡が残っています
やがて神々は、世界の外へと帰ってゆきました
―― 時間が止まっている間に、これだけの出来事があったのです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


プレゼント

2009年04月22日 12時49分00秒 | B地点 おむ

 

 

「三日前は、」

「こうだった」


※このコマのみ、三日前(19日)に撮影

「ところが、今日は、こうだ」
「考えてみれば、不思議だよなあ」
「ええ、本当に」
「……お前にやるよ」
「えっ?」
「私からのプレゼントさ。この花は全部、お前のものだ」
「……先生! キザだなあ!」
「先生がモテるのも当然ですね!」
「大人をからかってはいかん……」
「ふふっ」
「……」
「先生、どうもありがとう」