昨夜も小雪がちらつき、今朝は車に積もったその雪を出勤前に取り除いた。昼頃からまた空を雪雲が覆って、周囲は白銀の世界になってしまった。まだまだ寒波は続くようだ。震災後釜石では仮設住宅が真っ先に建設されて行ったが、途中からは仮設の商店街も造られるようになった。その一つに新日鉄の所有地に建てられた仮設商店街がある。そうした商店に来る客には他県から来ている人たちもいる。その客たちの中には、被災した商店主たちに傲慢な態度をとる心ない人たちもいる。支援者が必ずしもすべて心から支援する気持ちでやって来ている訳ではない。形は支援だがあくまで組織の指示でやって来たような人に特にそうした態度を見受ける。震災直後にも支援のふりをして、実際には取り残された物品を物色し、持ち去る人たちもいた。警備が強化されたために、最近はそれはあまり聞かなくなったが。海外が賞賛したように確かに震災直後は暴動のような状態は生じなかったが、実際には心ない行為がそれなりにはあったし、現在もあるのだ。昨日未明南米ペルーでM(マグニチュード)6.3の地震が起きているが、今日の読売新聞によれば、海洋研究開発機構などの研究グループが東北沖の新たな大地震の可能性を突き止めたという。昨年4~7月、宮城、福島両県の沖合250Km以上離れた海域に設置した20台の海底地震計で、プレート内部で起きる余震を観測、データを分析した結果、東日本大震災の地震により、東北地方に沈み込んでいる太平洋プレートの内部で力のかかり方が変化したことが明らかになった。東北を含めた糸魚川-静岡構造線以北の日本列島は北米プレートの上に乗っており、その北米プレートの下へ日本海溝で、太平洋プレートが潜り込んでいるが、太平洋プレートの潜り込んでいない浅い部分では引っ張り合う力が働き、深い部分で押し合う力が働いていた。しかし、震災後は東北の沖合300Kmで深い部分でも引っ張り合う力が働くように変化したために深いところで40Kmに渡って断層が動き、M8.1の昭和三陸地震と同じタイプのM8級の大規模地震が起きやすくなったのだ。津波の解析が専門の東京大学地震研究所佐竹健治教授によれば、10mの高さの津波が陸上を駆け上がる可能性が考えられるという。昨年の震災で防備はすべて破壊され、地盤も沈下しているので、前回より規模が小さくなるとは言え、再び大きな被害が出る可能性がある。1日の時間帯によっても被害状況は変わって来るだろう。対策を待ち切れず元の住居に戻った人たちが心配である。福島第一原発では23カ所の水漏れが次々に生じているようだ。昨年の夏にすでに現場の作業員たちから、急遽設置された冷却装置の多くの配管への冬場の凍結防止対策の必要性が訴えられていたにもかかわらず、保安院も東京電力も放置していた。昨年末になって、ようやく一部の対策が講じられたが、遅きに失したのだ。例年より寒い東北で、配管の凍結が配管の損傷までもたらしている。重大事故が起きても何ら反省の色を見せない保安院や東京電力は後手に回る対策しか講じることが出来ない。これが「安全」の実態だ。今月18日の原子力委員会新大綱策定会議で慶應義塾大学経済学部金子勝教授が提出した資料によれば東京電力は当面4年間だけで債務返済額3兆7,421億円をかかえており、潜在賠償見込額は6兆円近くに膨らむと考えられ、現時点の廃炉費用見込み1兆2000億円を加えれば、1兆円の公的資金注入と1兆円の銀行借り入れを考慮してもすでに債務超過は明らかで、破綻している、とされている。昨年8月共同通信の井田徹治編集委員は『原発の不都合な真実』と題する記事を書かれている。地球温暖化対策として政府は「クリーン」な原発を推進して来た。しかし、原発の新増設をして来なかったドイツ、デンマーク、スウェーデンなどで二酸化炭素排出量が削減されているのに対して、事故後の昨年6月にもまだ「2020年までに9基、2030年までに計14基の原発を新増設する」と打ち出している日本では1997年の京都議定書以後も二酸化炭素排出量は増加し続けていることで原発推進の根拠は失われているとしている。米国の国務省にも在籍した著書『歴史の終わり』で知られるスタンフォード大国際問題研究所上級研究員フランシス・フクヤマ氏は共同通信のインタビューで「平穏で安定し、経済成長を何十年か続けてきたうちに、先進民主主義諸国は、ある種の共通した問題を抱え込んだ。さまざまな利権集団が生まれて、強い影響力を持つようになり、自己の権益を守ろうと民主的政治制度を操る術を覚え込んだ。そのため、政治制度はまったくと言っていいほど身動きがとれなくなっている」「その一例が、規制当局と癒着し、市民の安全を犠牲にしてまで自己利益をうまく図ってきた日本の原子力産業界だ。米国では、保険会社と医療業界がつるんで、本格的な医療保険改革を難しくしている。金融業界も強くなりすぎて、激しい富の集中と格差が生じている」「それが先進民主主義社会が直面している政治の自壊という問題だ」と指摘されている。政治の自壊は同時に民主主義の崩壊をも伴っている。
甲子川で寒さの中でも元気に泳いでいたホオジロガモの雌