釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

子供たちの被曝低減は大人の責任

2012-01-26 19:19:59 | 文化
明日からは裏日本中心に大雪が予想されている。釜石も週末は気温がさらに下がるようだが、雪は予想されていないようだ。今朝はまた地鳴りとともに地震があった。宮城県沖を震源とするM5.1の地震で、釜石は震度2のようだが、体感的にはもう少しあったのではないかと思えた。まだ眠気の去らない時間だったので、そう感じたのかも知れない。今日も釜石らしい青空が広がっていて、職場の駐車場から見える裏山に何日ぶりかでゴイサギが同じ枝に戻って来ていた。少し安心した。甲子川もよく観察すれば、多種の野鳥を見ることが出来るのだが、残念ながらゴイサギを甲子川では見かけたことがなかった。愛知県にいた時は何度か見かけたことがあったが、釜石では初めて裏山の木に休んでいるのを見つけた。冬至が過ぎて1ヶ月を超えて来るとさすがに日が長くなって来たことが分かる。日が沈んだ西の空に愛染山が黒くシルエットを浮かび上がらせ、その上には傾いた上弦の月が顔を出し、東の空にはオリオン座の三ツ星が並んでいる。午前中には平田地区のコミュニティ型仮設住宅で市や各団体が出席する会議があり、娘も出席していた。職場の同僚で、市の部長職も兼務されている方から、会議終了後に職場に戻られた時、娘がタイミング良く発言したことをお褒めいただいた。意欲的なのはいいが出しゃばり過ぎないように、常々娘に注意していた。昨年12月宮城県は県内33市町と共同で東京電力に対して約3億7326万円の損害賠償を請求したが、本日岩手県も放射線量を測るサーベイメーターなどの機器購入や牛肉検査、除染などで県と市町村が負担した費用のうち、昨年11月末までの確定分を東京電力に請求した。厚生労働省の委託を受けたいくつかの機関が各地の放射線量を測定しているが、北海道の室蘭沖のマダラからも国の規準値内ではあるが測定のすべてにヨウ素131、セシウム134、セシウム137が検出されている。24日に福島県の相馬地方森林組合が開いた放射性物質が森林に及ぼす影響について説明する会合で、東京農業大学の林隆久教授は相馬市や南相馬市などの山林を調査したところ標高4百メートル以上の山のふもとで放射性物質による汚染が悪化する傾向があると報告している。さらに採取したスギやヒノキなどを詳しく調べたところ、表面の樹皮にとどまらず、樹木の内部にまで放射性セシウムが浸透し、濃度は数百から数千ベクレルに達していた。樹木の場合は表面の除染だけでは済まないどころか、建材やその他の用途にも使えないということになる。海や山の汚染は確実に広まっている。今後はそうしした場所を生活のよりどころとしている人たちからも賠償請求が出るようになるだろう。一度汚染されてしまうと実質的には確実な除染など不可能だ。汚染とともに暮らして行くしかない。問題はその中で妊婦や子供をどう守って行くのか、だ。昨日書いた南相馬市で医療支援をされている東京大学医科学研究所の坪倉正治医師も述べておられるが、一般論ではなく、現場の個々の問題にいかに個別に具体的に答えられるかが問われている。今回の原発事故は日本では初めての経験であり、国をはじめ東京電力やそれに関わる多くの原発推進に協力して来た大学教授たちは汚染の影響はないという立場に立つので、それらの人たちの言説は何の役にも立たない。今の日本が唯一参考に出来、具体的な対処法を学べるのはチェルノブイリしかない。昨年11月08日NHKの石川一洋解説委員が解説委員室ブログに記しているように国土の23%が放射性物質で汚染されたベラルーシでは全国に放射線検査所が860カ所設けられ、放射性セシウムについて年間1,100万個の食品がチェックされ、現在の日本よりはるかに厳しい内部と外部合わせて年間1mSv以下が適用されている。土壌研究所では各地の土壌のカリウム含量毎に作付け作物を決定し、作物の汚染を減らそうとしている。ベラルーシ・ベルラド放射能安全研究所の副所長であるウラジーミル・バベンコ氏がまとめた『自分と子どもを放射能から守るには』が京都大学原子炉実験所今中哲二氏の監修で日本語訳され、出版されている。具体的な家庭で取り組める食品の安全性を少しでも高められる方法が書かれている。被曝の影響は30歳が境となっており、若ければ若いほど大きくなる。逆に30歳を過ぎると年齢とともに影響は少なくなって行く。乳幼児がもっとも守られる必要がある。福島県が実施した甲状腺検査で、先行して検査を受けた18歳以下の子供3,765人のうち、26人に一定の大きさのしこりを甲状腺に認めたが、検討委員会座長の山下俊一福島県立医大副学長は「原発事故に伴う悪性の変化はみられない」発表している。では、その「しこり」の原因は何に由来するのだろう。山下氏は「年に100ミリシーベルトを浴びても大丈夫」で「名を上げ」、『ミスター100ミリシーベルト』と通称されるようになった人だ。
釜石駅前の「復興の鐘」
鐘には「鎮魂」「復興」「記憶」「希望」の四つ文字が刻まれている。向こうに白っぽく駅舎が見える。