釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

歴史は繰り返されるのか?

2012-01-20 19:11:33 | 文化
今日は東京でも初雪が降ったようだ。『なごり雪』という歌が確か「東京の雪」を歌っていたように思う。学生時代に雪が首都圏に積もるのが珍しく、友人とはしゃいで雪合戦をやった記憶がある。その頃は雪が降るとタイヤにチェーンを巻くしかなかった時代だ。今と違って学生で車を持つ者などほとんどいなかった時代だが、友人の一人に裕福な家庭に育った人がいた。親に若者が憧れるタイプの新車を買ってもらって、1度乗せてもらったことがある。腫れ物に触る思いで運転したので笑われたように思う。とても高価で傷付けたりしないように気を付けたのだ。道路も今程十分舗装されていなかった。その友人とは共通のスポーツで知り合ったが、卒業後商社に入った彼とは1度も会っていない。雪合戦をやった友人も卒業後銀行へ入ったが、バブル崩壊後にその銀行は他の銀行と合併した。二人とも今日の初雪を見ているのだろうと思って、つい昔が懐かしくなった。今他の本と平行して2002年に徳間書店から出版されたハーバード大学名誉教授であったジョン・ケネス・ガルブレイスの『日本経済への最後の警告』を読み直している。ちょうど小泉内閣成立直後に書かれた。日本経済への警告とあるが、むしろ、軽い現代経済史的な内容でもある。カナダの農家の息子であったガルブレイスの自分史も交えて、英国人経済学者ジョン・メイナード・ケインズやルーズベルト大統領、ケネディ大統領などとの出会いにも触れている。現代経済史的に見ると、ほんとうに歴史は繰り返す、と言う言葉が頷けてしまう。1920年代の産業界優先の自由放任経済が一時的な繁栄をもたらしたが、それはやがて市民を巻き込んだバブルを招き、世界大恐慌へと至る。ケインズの反対は無視されて第一次世界大戦の敗戦国ドイツに法外な賠償請求をしたためにヒットラーの台頭を招いてしまった。ルーズベルトの経済への国家の介入により、経済の立て直しが速やかに行われ、それを米国へ足を運んだケインズが支援し、第二次大戦が始まると、ガルブレイスもハーバード大学の教職から、米政府の物価統制局長に就任し、国内の戦時物価の安定に奔走する。戦後はルーズベルトの依頼でドイツと日本の経済復興の任にあたり、ケインズ経済学の実践を図り、ドイツと日本の経済復興に成功した。米国で第二次大戦のために中断されたケインズ流の経済学の実践がむしろ敗戦国のドイツと日本で行われた。しかし、米国でレーガン大統領が登場すると、それまでのケインズ流の経済運営が廃され、再び企業優位の自由放任主義が台頭し、グローバル化の名の下に、世界中に新自由主義経済として広まって行く。そららはやがて日本のバブル、米国の金融バブルをもたらし、米国は軍事費の膨大な支出のために巨額の財政赤字を、日本は戦後からの官僚主導の財政運営がそのまま無評価のまま拡大し続けて、同じく巨額の財政赤字を生み出した。欧州は経済格差のある国々の統合により、経済先進国にも大きな負担がかかって来ている。その欧州経済の悪化で新興国中国やインド、ブラジルなども輸出の減退で、経済的な失速状態が見られて来ている。日米欧のいずれの国々も財政に大きな問題を抱えている。いずれかが転べば、それは他へも確実に大きな影響を与えるだろう。一つ間違えば戦後初めての世界大恐慌すらあり得るだろう。ここ数年の日米欧のあり方が世界を決すると言っても過言ではないと思う。その上で、今、米国が仕掛けているイラン問題の行方が心配である。米国内には二つの流れがあり、ユダヤロビーとそれに賛同しない流れだ。経済面では圧倒的にユダヤロビーが優位にあり、表面上はその流れに沿って動いている。ただその流れがそのまま行けば間違いなく、米国はイランを攻撃するだろう。そうなると米国の財政赤字はさらに上昇し続け、危険水位を突破する可能性も出てて来る。世界経済のためにも米国にはイランを攻撃してもらいたくはない。まして、イランの原子力関係の学者が何人か暗殺されて、その影にイスラエルの諜報機関モサドがいると言われており、イランの核爆弾の開発根拠も何も示されていない現状を考えると、一人、イスラエルの思惑のみが見えてくる。イスラエルこそむしろ核保有が公然の秘密になっている。米国は再び「イラク」を繰り返すのかどうか。
親たちが命をかけて遡上する傍らで群れをなす15cmほどの稚魚たち