釜石の日々

増え続けている癌

厚生労働省によれば、癌は1981年以降日本人の死因の第1位となっている。生涯で2人に1人が癌になる。国立がん研究センターの2013年のデータでは男性で62%、女性で46%となっている。また、同センターの「がん情報サービス」によれば、高齢化による年齢を調整しても、1990年代後半から癌による死亡は男女共減少しているが、癌になる人は1985年以降増え続けている。男性では食道、膵臓、前立腺、甲状腺、悪性リンパ腫が、女性では食道、膵臓、肺、乳房、子宮、子宮頸部、子宮体部、卵巣、甲状腺、悪性リンパ腫が増加している。これらの癌を見ていると、環境因子でもやはり口から体内に入るものが大きく影響しているように思われる。何らかのホルモン的な刺激があるのだろう。人間には60兆の細胞があり、分裂により体が支えられている。これだけの数の細胞があると、時には突然変異するものも出てくる。毎日5000個の癌細胞が生まれるとも言われる。人には体内の異物を排除する免疫システムが備わっていて、この仕組みによって、発生した癌細胞が攻撃され、消失するようになっている。しかし、何らかの原因で、その免疫システムが弱くなると、癌は消失しないで、増殖し始める。癌細胞には免疫に関わる細胞を抑える仕組みがあることも近年明らかとなって来た。細菌は抗生物質の攻撃を受けるようになると、その抗生物質に対抗できるように変異して、いわゆる耐性菌が生まれてくる。癌細胞も免疫による攻撃に耐えられるような仕組みを持っているのだ。太古から人類は自然界で生存して行くために免疫システムを身に付けて来た。しかし、それでも南アフリカでは、すでに170万年前の原人の左足の指の骨片から最古の悪性腫瘍である骨肉腫が見出されている。医療が進んだ現代でもこの癌には根本的には太刀打ちが出来ない。様々の抗癌剤なるものが作り出されているが、それらはいずれも効果は限られており、延命効果を期待出来る程度で、完治は困難だ。合成された化学物質は癌細胞だけでなく、正常な細胞にまで影響する。人には本来免疫システムが備わっていて、それによって癌から免れている。であれば、その免疫システムを強化することで、癌細胞を消失させられるはずである。30年前にはそうした考えは専門家の間では見向きもされなかった。しかし、その後、少しずつ欧米で免疫力に注目した研究が行われるようになり、今では癌が免疫細胞を抑えてしまう働きを妨害する試みが行われ、効果を発揮するものも現れている。癌の種類を問わず、副作用も既存の抗癌剤などと比べて少ないようだ。こうした研究がさらに進めば薬で癌を根治出来る日が早く訪れるのかも知れない。
職場の裏山の木々を覆うクズの葉
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