釜石の日々

自由経済には国境がない

日本銀行が株価指数連動型上場投資信託(FET)を連日347億円投入したにもかかわらず、円高株安となった。日本銀行がいくら株価を支えようとしても支えられていない。経済の一般的な常識では株価が上がれば、日本の通貨である「円」の価値も高まり、円高となるはずだ。ところが日本経済にはこの常識が当てはまらない。日本では株価が上昇した時には円安となり、株価が下がると円高になる。今や株もグローバル経済に組み込まれてしまっている。株式はすでにその本来の役割である市場を通じて資金を集めることよりも金が金を生み出す投機の対象でしかない。ゲームである。そしてそのゲームには日本人以外も参加するようになっている。6月20日の日本経済新聞によれば、外国人の株保有比率は2015年末で29.8%であると報じている。日本の株式の3割を外国人が保有する。そして、実際の株式の売買の6割もがこの外国人によって行われていることもある。今の株式の取引はまさに「博打」であり、手元に実際に持っている資金の25倍までの株式を購入することが可能だ。一時は400倍もの購入が可能であった。但し、そのためには「証拠金」を積まなければならない。日本の株式を購入しようとする外国人投資家は、「円」で証拠金を積んで、手元資金の何倍もの株式を購入する。しかし、その株価が下がると、証拠金の積み増しを要求される。そのためには「円」を買い増しせざるを得ない。この時点で、円が買われるから、円高に動く。つまり、株安の時には円高となる。外国人投資家の参加がこうした事象をもたらしている。株価が上がるとこの逆で、証拠金は少なくて済むようになり、不要な証拠金の円を売ることになるため、円安となる。現在の円高株安も実態経済とは無縁だ。実態経済は物が売れているかどうかだ。物価が上がらず、デフレから脱却出来ないでいる。物価が上がらないのは物が売れていないからだ。物が売れなければ、生産量も増やせない。物が売れないのは国民の所得が上がらないからだ。輸出大企業はアベノミクスによる株高円安の演出により、空前の利益を得たが、物が売れたからではなく、円安による為替の差益と株高で利益を得たに過ぎない。しかも空前の利益は大半が賃金ではなく、社内留保となった。その額はすでに国家予算の3倍を超えた。現政権は数々の前代未聞を見せつけてくれたが、財界に従業員の賃金を上げるよう働きかけたこともその一つだ。この事実自体がすでにアベノミクスが国民に行き渡っていないことを意味するだろう。日本銀行は同じく国家予算の3倍以上の国債を高値で買い取った。それだけの貨幣がともかくも市中に流れた。その流れが悪く、滞留してはいるが。いずれ、その分は急速なインフレの源になる可能性がある。
釜石で今なお咲く紫陽花
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