釜石の日々

財政破綻の防波堤

昨日日中の雨は夕方には雪に変わり、朝までに5cmほどの雪を積もらせた。今時の雪は湿った雪で、路面にあった雪は今日の晴れた日射しでほとんどが溶けて消えた。庭の鉢植えの福寿草が咲いたので、今日は昼休みに職場近くの空き家へ行ってみた。予想通り、そこの庭でも福寿草が咲いていた。昨年までは2箇所で咲いていたが、今年は1箇所の福寿草がなくなっていた。 世界の三大信用格付け会社と言われるスタンダード&プアーズ、 フィッチ・レーティングス、ムーディーズがそれぞれ2001年に日本国債の格付けを下げた。これに対して、財務省は、それら格付け会社宛て意見書を送り、その要旨を2002年5月2日発表した。「日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。」とし、「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」「日本は世界最大の貯蓄超過国・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高」であり、これらの「要素をどのように評価しているのか」と訴えている。その後、リーマン・ショックの影響が少なかった日本は相対的に高く評価され、2007年から2009年にかけては格付けが上がったが、その後、再び格下げが続いている。財務省は「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。」とするが、ドル建て国債を発行していた米国は1971年のニクソン・ショックで実質的にはデフォルトしている。金本位制を維持出来なくなった。ドルと言う通貨への信用もなくし、ドル建て国債の発行が出来なくなり、その後、ドイツマルク建て、スイスフラン建ての米国債を発行せざるを得なかった。現在は世界の先進国は裏付けのない自国通貨を使っており、中央銀行は発行したいだけ無制限に通貨を発行することは可能だ。その意味では現在は政府発行の国債を中央銀行が買い続ける限りは政府の債務不履行、デフォルトはあり得ないと言えるだろう。しかし、制限なく中央銀行が政府発行の国債を購入し、通貨を発行し続ければ、デフォルトは避けられても、通貨への信用は失われてしまう。2008年のリーマン・ショック後、先進国は財政支出を増加させ続け、政府債務を大きく膨らませた。その借金の利払いを極端に低く抑えるよう中央銀行が政府を助けて来た。日本銀行の場合、第二次安倍政権の発足直後の2013年からゼロ金利政策を開始し、すでに発行済みの国債1000兆円に対する金利はわずか0.8%であり、利払い費は8兆円と言う少なさで抑えられている。さらに2016年からはマイナス金利が導入され、新規に発行される国債の金利はほぼゼロになっている。現在、日本の政府負債合計は1270兆円になっており、この負債の金利が仮に3%になると、利払い費は38兆円となり、30兆円増加する。毎年の財政赤字が40兆円であるから、毎年70兆円の財政の不足が生じることになり、とても税収では賄える可能性は失せる。日本経済新聞は2月28日のコラム「大機小機」で、「通貨の番人はどこへいく」と題する記事を載せ、2期続投となった黒田東彦日本銀行総裁に対して、「懸念されるのは、2期目は円高に加え、財政破綻の防波堤という役割も担わされることになるのではないかという点だ。」と書いている。「「緩和の目的の一つは財政の下支え」などと黒田総裁が言うはずもなく、思ってもいないだろう。だが、長期金利をゼロに抑える政策の継続で得をするのはだれかを考えれば、答えは明らかになる。」政府が財政破綻を免れようとすれば、円の信用は失せる。円の暴落は生活の多くを輸入に頼るため、ハイパーインフレにならざるを得ない。太平洋戦争直後の政府も財政破綻を避けて、ハイパーインフレと預金封鎖を招来させた。財務省はいずれ先例にならって、政府債務の完済を実行するだろう。
福寿草
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