釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

遠野の原風景

2013-08-24 19:12:15 | 文化
今朝は雲が多く、曇天の一日になるかと思ったが、西の愛染山がくっきりと見えていた。案の定、昼前から日が射し初め、午後には青空が広がり、気温も30度まで上がった。天気予報を見ると、南になるほど昼夜の気温差が少なくなっている。釜石は7度の差があるが、四国では3度しか差がない。午前中は庭の花木を見て過ごし、午後から遠野へ出かけた。最近、時々あるが、今日も遠野の方が気温が2度ほど低い。いつもは盆地である遠野の方が高いのだが。盆地であっても遠野は釜石よりずっと平野が広がっており、その遠野平野にはとても気持ちのいい風が吹き渡っていた。車を走らせている時も、窓を開けていると、気持ちが良かった。周りの車はみんな窓を閉めている。恐らくクーラーを入れていたのだろう。「日本の原風景」である遠野だと自然の風を味わう方がいい。所用を済ませた後、初めての道を市街地から北へ辿ってみた。遠くに高原地帯の風車が並ぶのが見えた。その近くには積乱雲が出ていた。農家の庭先にたくさんの花が咲き、車から降りて、気持ちのいい風に吹かれながら、しばらく、田園の景色を楽しんだ。秋の七草である女郎花(おみなえし)もたくさん咲いていた。農家の庭先の花をカメラに収めていると、不審に思われたのか、家の中からおばあさんが出て来た。しかし、こちらを一瞥すると、納屋に向かった。花を撮っているのが分かったのだろう。軽く、会釈をしたが、分からなかったかも知れない。車をまた走らせていると、大きな橋に行き当たった。猿ヶ石川にかかる橋だ。車から降りて見てみると、この辺りは護岸工事もされておらず、自然のままの川岸で、ゆっくりと大きな流れが下って行く。夏羽のゴイサギが一羽川岸の木から上流に向けて飛び立った。橋の下流の南岸にはススキがたくさん風に揺れており、傾いて来た日が川面に強く反射していた。この辺りの猿ヶ石川やその周りの景色はもう「日本の原風景」そのものだ。何時間いても厭きないだろう。おおよその見当を付けて、更に車を走らせ、時々走る山際の道に出て、そこから伝承園の方へ向かった。田園の中を走っているとカラスがたくさん集まっているところを通った。農道にも何羽かいた。赤トンボもたくさん飛んでいた。カッパ淵近くの道からいつもの荒神神社方向へ走った。車をゆっくり走らせながら、気持ちのいい風に当たっていると、遠野が「日本の原風景」である理由の一つは、ここには人間らしい空間があることではないかと、思われた。大きな木造の瓦屋根のある家があり、広い庭にはたくさん野菜や花が植えられている。土の臭いも漂っている。これが本来の人の住む空間だと思う。庭もなく、狭い部屋がいくつかあるだけの集合住宅や同じく猫の額ほどしかない庭と新建材で建てられた建て売り住宅などは人が暮らす空間ではない。どこか間違っているように思う。傾きはじめても、まだまだ経済大国の一つではある日本だが、実際にそこで住む人は大国の住人の暮らしを得ていると言えるのだろうか。遠野の原風景はそんなことを問いかけてもいるように思えた。
最奥に見える早池峰山

田園地帯に伸びる線路

遠野ではいつ行っても野火を見る

高原に並んだ風車

農家の庭先にたくさん咲いていた女郎花

橋の下流 高清水高原が見える

橋の上流 六角牛山(ろっこうしやま)が見える


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