釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

声を上げるグローバル・サウス

2023-09-11 19:15:11 | 社会
先週後半は雨や曇天が続き、今日は久しぶりに晴れた。最高気温は29度で、内陸より2度低い。職場近辺は海からの風が吹き、日陰では暑さを忘れさせてくれた。数ヶ月前から、週1回午後、震災の頃のように職場の関連施設へ行っている。先週行った際に、感染者が22人いた。ピーク時は27人いたそうだ。職場の人員はほぼ同じだが、関連施設の方がワクチンの接種率は高い。こちらの職場は今のところ2人だけで済んでいる。同じようなことが岩手県でも見られる。4回目接種までは岩手県より隣の秋田県の方が接種率が高かった。しかし、5回目、6回目で岩手県の方が秋田県を上回った。その結果、先週金曜日、岩手県は全国一の感染者となった。東北6県自体が接種率が高く、従って、感染者も全国より多い。ワクチンを打てば打つほど感染しやすくなる実例が身近にある。東北は真面目で素朴な人が多く、疑うことをしない。政府や自治体がワクチン接種を進めれば、黙って従う。無料ならばなおさらだ。7日の毎日新聞は、「コロナワクチン、国費での無料接種終了へ 65歳未満は原則自己負担」を報じている。65歳以上は自治体により一部を補助する。秋冬に1回の定期接種となるようだ。一部でも有料化となれば、接種する人が減ってくれるだろう。政府は国民を守るどころか、健康被害を及ぼす。原発汚染水の海洋放出も同じだ。そして、メディアは真実を伝えない。その意味で、メディアの罪は重い。今日の昼のTVでは「世界から孤立した北朝鮮」と報じていた。どのメディアも北朝鮮、ロシアの孤立を唱える。しかし、北朝鮮と国交がないのは、国連加盟国196カ国中、わずか36カ国しかないのだ。同じくロシアへの経済制裁を実施しているのもわずか38カ国しかない。ロシアへの経済制裁はアジアでは日本、韓国、シンガポールだけだ。しかも、シンガポールは形ばかりでしかない。世界の8割が北朝鮮と国交を結び、世界の8割がロシアへ経済制裁していない。これで、どこが孤立していることになるのだろう。日本も韓国も米国や英国の視点でしか世界を見ておらず、他のアジアやアフリカ、中南米など眼中にない。しかし、世界は今、良くも悪くも大きく変化している。日本や欧米から相手にされて来なかった国々が結束し始めている。9日、10日、インドのニューデリーでG20首脳会議が行われた。これまで無視されていたアフリカ連合がインドの計らいで招待された。今日の毎日新聞は、「突然の首脳宣言合意 日本政府関係者「聞いてない」「ふざけるな」」を報じている。インドのモディ首相は、日本には何も声をかけないで、首脳宣言を発表した。日本のメディアは欧米と同じく日本は無視し得ない大国だと思い続けている。しかし、欧米以外の世界から見れば、もはや日本は単に欧米に従う属国程度にしか見ていない。その表れが今回の事態だ。10日の産経新聞は、「G20で強まる「南」の発言力 米、中露の影に危機感 バイデン政権「回廊」で巻き返し狙う」を載せている。「サミットではアフリカ連合(AU)の参加が正式承認されたことで「グローバルサウス(GS)」と呼ばれる新興・途上国の発言力が増すことになった。多極化が進む世界の現実を反映する半面、今後は意見集約がさらに困難になるのは必至。」とある。インドは今回のG20で、国名を「バーラトBharat」に正式に変更している。「インド」は欧米により付けられた国名だとして、変更した。ある意味で、インドはこのG20で、欧米とも対等な自立した国であることを表明したのだ。米国はこのG20で、米国、EU、UAE、イスラエル、ヨルダン、インドが参加した、インド、中東、ヨーロッパを結ぶ新たな経済回廊の創設を「目指す」協定に正式に署名したことを発表した。中国の「一帯一路」やサウジアラビアを牽制する意図があるのだろうが、この経済回廊は、インドから海路でアラビア半島東南端へ行き、そこから陸路で半島を縦断して北上し、イスラエルに至り、再び海路で欧州へ向かうルートとなっている。これでは、欧州へはインドから直接海路で紅海を通り、スエズ運河経由で欧州へ向かう方が早くなる。インドの地政学アナリストは、実効性に疑問を投げかけている。来月には中国で「一帯一路」首脳会議が開催される。7日のロイターは、「10月の「一帯一路」首脳会議、90カ国が参加表明=中国」を報じた。「中国国営メディアはセルビアのブチッチ大統領やアルゼンチンのフェルナンデス大統領らが出席すると伝えた。 ロシアの国営通信タス通信はプーチン大統領が10月に訪中する予定との側近の発言を報じた。 新華社によると、中国はこれまでに150以上の国と30以上の国際機関との間で「一帯一路」協力文書に署名した。」とある。国際通貨基金IMFの “World Economy Growth Forecast(世界経済成長予測)”によれば、今後5年間(2023~2028年)での世界のGDP成長率に対する寄与度は、中国22.6%、インド12.9%、米国11.3%、インドネシア3.6%、ドイツ・トルコ2.1%で、日本は1.8%である。IMFは「経済崩壊する」にもかかわらず中国が、米国の2倍の寄与度と予測している。6日のThe New York Timesは、「China Is Flooding the World With Cars (世界に自動車を溢れさせる中国) Even as China’s other exports falter, its carmakers are seeing big increases in overseas sales, mainly for gasoline-powered models.(中国の他の輸出が伸び悩むなかでも、自動車メーカー各社はガソリン車を中心に海外での販売台数を大きく伸ばしている)」を報じている。サウジアラビアは、中国のファーウェイが建設する大規模なクラウドデータセンターと契約した。AIを含むすべてのクラウド・コンピューティング・サービスが提供される。そして、中国は20万人のサウジアラビア人を開発者として育成することになった。サウジアラビアの実質的に実権を握るムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、同国の会議で、「私は中東が新しいヨーロッパになると信じています。 5年後にはサウジアラビアは全く違う国になるだろう」、「これはサウジアラビアの戦争だ。これは私の戦争だ。私は死ぬ前に中東が世界の頂点に立つのを見たい」と述べている。サウジアラビアは1973年以来、米国に従って来たが、サルマン皇太子は、その結果、自国が十分な発展をしていないことに気付いた。欧米は中東、アフリカ、中南米の豊かな資源を安価に買い入れるが、それらの国は一向に発展出来なかった。中国は、それらの国のインフラ整備を助け、それによりそれぞれの国が発展の兆しを見せるようになった。欧米は、中国による「債務の罠」を訴えるが、実際にはむしろ欧米やIMFこそが「債務の罠」であり、そこから抜け出せず、経済発展することがなかった。ギリシャやアルゼンチンはまさにその罠に嵌ってしまった。今年2月13日、「China-Africa Dialogue(中国・アフリカ対話)」が行われたが、そこでアフリカの出席者は、対話後に、記者の前で、「中国は今のところ、平和的に台頭した世界で唯一の超大国だ。現在米国の霸権をチエックし、バランスをとっている主力でもある。」、「中国はアフリカの資源に対してお金を払うが欧米は強引に奪うだけだ。」、「(中国からの)借金は私たちの将来にとって極めて重要なインフラの為のもので、中国の金利は欧米の金利よりも遥に低い。中国がなかったら、私たちの借金はもっと増えていただろう」、「支払いが出来なくなると、中国は融資を再構築し、時には帳消しにすることもある。欧米は私達の最も貴重な資産を没収し、私達が支払えなくなった瞬間に何世代にもわたって私達を奴隸にすることを可能にする偏った条件を追加する」、「中国と協力してから、これまでのところ、GDP、平均寿命、教育、生活水準は全て改善されている」と述べている。グローバル・サウスが中国に接近するのは、それにより実際にグローバル・サウスの国々が発展していることを実感出来るからだ。習近平やプーチンが国民から高く支持されているのも、国民が5年、10年と生活が豊かになっていることを実感出来ているからだ。中国の国民は日本などより自分の意見を持っており、不満はしっかり主張する国民だ。


バーラト(インド)のモディ首相とロシアのラブロフ外相

世界経済への寄与度