釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「中国の民主主義のレベルは?」

2023-09-02 19:16:13 | 社会
中国保健当局が,武漢市で累計198例(うち死亡3例),北京市で2例,深セン市で1例の新型コロナウイルスによる肺炎が確認されたことを発表したのは2020年1月20日であった。この3日前の17日、中国人の知人とともに初めて中国を訪れた。人口600万人の大連市だ。成田からは3時間で着き、1時間の時差がある。正直、中国へのイメージは良くなく、機内ではやや緊張していた。監視社会で、何らかの行動制限があるのではないかと考えていた。社会インフラについても中国の古いイメージしかなかった。それが滞在中に180度変わってしまった。インフラは日本以上に現代的で、デジタル化も日本よりはるかに先を行き、行動制限など何もなく、日本人以上に個々人が主張を持つ。大都市でありながら日本のような雑踏の混雑もない。世界中の車種が多車線の道路を走る。むしろ日本への危機感をさらに強めた。中国の人はメディアが流す情報をそのまま受け入れてはおらず、各自それぞれ考えを持つ。これも先入観を改めさせられたことの一つだった。以下は昨日の、日本に帰化された米国人ビル・トッテンBill Totten氏訳の「What level of democracy does China have?(中国の民主主義のレベルは?)」だ。著者は作家で週刊ニュースレター「Here Comes China(中国がやって来る)」の発行人でもあるゴッドフリー・ロバーツGodfree Roberts氏だ。2020年12月18日に出版された著作『Why China Leads the World: Talent at the Top, Data in the Middle, Democracy at the Bottom(中国が世界をリードする理由: トップの人材、中間のデータ、底辺の民主主義)』の米国AMAZONの著者紹介には、「1967年以来、私は中国を訪れ、その躍進を追いかけてきた。カリフォルニア大学アマースト校で博士号を取得した後、私は中国国境から1時間の距離にあるタイのチェンマイに移り住み、この国の驚異的な成功を理解しようと努め始めた。 その結果が一冊の本『なぜ中国は世界をリードするのか』である: なぜ中国はこれほどうまくいくのか、なぜ95%の中国人は中国が正しい方向に向かっていると考えているのかを説明した唯一の英語本である。 「トップの人材」とは、最も聡明で、最も正直で、理想主義的な人だけが政治家になれるということであり、この政策は2200年間変わっていない。 「中間のデータ」とは、あらゆる政策がテラバイト単位のデータに基づいてテストされ、実施され、追跡され、最適化されることを意味する。中国は世界最大の公共調査消費国である。 「底辺の民主主義」とは、一般人がすべてについて最後の発言権を持つことを意味する。全国から3,000人の正直な素人が年に2回集まり、統計をチェックし、新しい法案に署名する。政策が法律になるには、最低66%の民衆の支持が必要だ。だからこそ、95%の中国人がこの国は正しい方向に進んでいると言っているのだ。 『中国が世界をリードする理由: トップの人材、中間のデータ、底辺の民主主義』は、伝染病が米国から中国へのグローバル・リーダーの交代をいかに加速させたかを示し、中国のより大きく安定した経済、科学におけるリーダーシップ、より強力な軍事力、より強力な同盟国、より広範な国際的支持を検証する。 図表、脚注、長文の引用が満載の『中国が世界をリードする理由』は、地殻変動を理解し、この新しい時代に適応し、さらにはその中で繁栄するのに役立つ、深く心を揺さぶる本である。 なぜそれが重要なのか?なぜなら、2021年末までに、米国には中国よりも多くの飢えた子どもたち、貧しい人々、ホームレス、麻薬中毒者、投獄された人々がいることになるからだ。」とある。現在は米国カリフォルニア在住だ。

中国の民主主義はどのレベルなのかと聞かれるが、民主主義には実にさまざまな形や大きさがあることを説明するには時間がかかる。

中国の民主主義はどのようなレベルなのかと聞くことは、スイスの民主主義のレベルを尋ねるようなものだ。

中国とスイスは、地球上のどの国よりも民主主義のレベルが高く、中国人は民主主義を非常に重視している。

(青:民主主義は重要、赤:私の国は民主的)


中国はどれくらい民主的なのか?


アメリカと中国はどちらも共和制国家で、どちらも民主的であると主張している。では最後に、中国はどの程度民主的なのだろうか?

歴史に目を向けるのはよいことだ。孔子の最も偉大な弟子である孟子が、国家と人民の関係について述べている:

国家は二の次であり、支配者は最も重要ではない。人民を喜ばせる者だけが統治できるのだ。

2500年後、毛沢東はロイターの特派員から、中国にどのような政府を計画しているのかと質問され、こう答えた:

中国は、孫文の民主主義の三原則、リンカーンの『人民の、人民による、人民のための』という原則、ルーズベルトの大西洋憲章を実行する。中国は国家の独立と団結を保証し、すべての民主的大国と協力する。

ローマの民主主義


私たちの政治的伝統はローマに由来しており、このシステムの弱点のひとつは、政治家を選んだあと市民が政治家をコントロールできなくなってしまうことだ。ローマ時代の先人たちがそうであったように、私たちが政府を最大の問題とみなす理由のひとつがそこにある。彼らは約束を守らないからだ。実際、ローマ人はそのアイデアを古代ギリシャからコピーし、特にアテネの有名な立法者ペリクレスの影響を受けた。

現在の中国の民主主義


雄弁な素人を選ぶ代わりに、プロの社会学者、統計学者、政治学者、経済学者を雇い、彼らに公共の調査を行うよう指示し、私たちの問題を特定してもらうことを想像してみてほしい。

そして彼らに解決策を試したいと考えている州や地方自治体を支援するように指示し、彼らは数年間地域の満足度を追跡し、失敗した政策を止めて成功した政策を推進する。

もしカリフォルニア州の医療費が50%減少し、カリフォルニア州民の寿命が3年延びた場合、カリフォルニア州がカナダ方式のメディケア(医療保険)を導入するかもしれない。私たちはボランティアを派遣してカリフォルニア州の結果を監査させ、すべてが政党であることを確認した後全国的な法律を制定して、すべての人の医療費も削減し、皆がより長生きできるようにするだろう。それが中国のやり方である。中国は米国の半分の医療費で、同じように健康で長生きしている。

出生時の健康平均余命(赤:中国、青:米国)

政府はみんなのために働いているか?
(青:米国、緑:韓国、黄:日本、紫:台湾、赤:中国)


北京は、教育レベルが上がるにつれて民主的な法の支配を拡大すると約束しているが、3000年前から別の非公式な民主主義が機能している。

市民は誰でも政府に請願できる


国民は誰でも政府に要求や苦情を申し立てることができる。歴史的にはいつでも可能であったが、特に今は、議会が人民代表大会と会合を開いている時には何千人もの執拗な有権者が請願書を持って議員の玄関先に現れる。手順としては、彼らはまず地域レベルで始め、それでも不満が解消されない場合次のレベルまで進み、必要なら全国人民代表大会(全人代)まで行くことになる。実際、国家信書弁公室という特別な事務所があり、市民でなくても誰でも陳情を行うことができる。

参加型民主主義


かつては新聞に掲載され、地域の掲示板に貼りだされていた法案は今ではオンライン上で展開されている。すべての法案は、市民、市民でない人、国内外の企業など、誰もがコメントや批評を行えるようになっており、実際に行っている。もし提案された法律に対して強い反発や抵抗があれば、修正のために差し戻される。また手続きが煩雑すぎる場合、公然と抗議する権利も憲法で保障されている。

スマートフォン、ソーシャルメディア、ストリーミング動画は、公的デモの効果を倍増させている(2018年に15万件の「集団事件」があったことが証明している)。通常、地方の役人の不公平さん、不誠実さ、無能さによって引き起こされる騒々しい抗議活動は、安価で興奮を呼び起こし、警察が非武装であるため安全である。憤慨した{14}市民は標語を描き、NGOやメディアに情報を提供し、近隣住民を募り、太鼓を叩き、スローガンを叫び、パレードをライブストリーミングで配信するなどの活動を行う。

レスポンス


かつては対応に数カ月かかったが、今では数時間で行われる。通常は、怒りっぽい上司からの電話を受けたあと対象となる役人は現場に急行する。深々と頭を下げ、深く謝罪し、赤ちゃんにキスをし、そのようなことが起こっているとは知らなかったと説明し、明るい未来を約束する。携帯電話が普及して以来、地方公務員の支持率は45%から55%に上昇した。そして2025年にはアメリカ人の支持率70%に追いつくはずである。

1950年代の土地再分配、1960年代の共同体、大躍進、文化大革命、改革開放、反腐敗まで、中国の政治は次々と変わってきたが、政策の支持率はスイスに匹敵する。清華大学のダニエル・ベル教授{15}は政策の成功について、「下層部での民主主義、中層部での実験、そして上層部の実力主義が一連の政策的成功をもたらした」と評価している。また、ニューヨーク・タイムズのトム・フリードマンは、「もし我々が1日でも中国になることができれば、実際に正しい決定を下すことができるだろう」と悲痛な面持ちで語っている。

胡錦濤国家主席


Trial Spotsを正式化した胡錦濤前国家主席は、中国の民主的プロセスには見た目以上のものがあると賢明にも観察した:

「能力に応じて各個人から取り、必要に応じて各個人に与える」という原則を実現するためには、民主的な法の支配、公正と正義、誠実さと協調、豊富なエネルギー、安定性、秩序正しさ、人々と環境の調和、そして持続可能な発展が必要である。

https://youtu.be/G-YSiWJ9WP0

考えさせられる言葉だ。