釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

秋を感じさせてくれる自然

2016-10-19 19:20:28 | 自然
平日は職場の裏山を眺めるのが日課になっている。アザミがまだ咲いており、クルミや名前の分からない木に実がなっている。小山の上には秋晴れの青空が広がり、とても気持ちがよく、それだけでも癒しを感じられる。職場の匠の話では、今年は山の木々の葉がまだ揃って落ちていないと言う。例年だと、今頃はすでに葉が落ち始めているそうだ。そんな中で、今年は山で熊に出会うことも多いと言う。秋田県では熊のために4人がすでに犠牲になっている。豊かな山は人間にも多くの山菜や木ノ実を与えてくれるため、どうしても人が熊に遭遇する機会も増える。山間を走る道路では必ずと言っていいほど狸や鳥たちが轢かれてもいる。同じように見える自然も年ごとにやはり違いがある。今年は紅葉が遅くなるのかも知れない。山間地の丘陵部ではリンゴや梨、ぶどうが植えられ、今の時期は産直や直売所でそれらが売られている。スーパーなどよりよほど新鮮で美味しい。東北の自然はある意味では今が一番いい時かも知れない。カジカガエルや鮎やヤマメがいる清流の土手を散歩していると、とても市街地に入るようには思えない。土手では鹿たちの糞もよく見かけ、夜には鹿の鳴く声も聞こえて来る。沿岸部にある釜石は内陸のより産業の盛んな所に比べて、隔絶された陸の孤島のようだが、それだけ海と山の自然を身近に感じることが出来る。日中の晴れた日は赤トンボがたくさん飛び交っている。北海道にいた頃もやはりたくさんの赤トンボが飛ぶのを見た。昆虫好きの人によれば、釜石にも珍しいトンボがいるそうだ。庭の地面を見ていると、釜石へ来て初めて見る虫たちも多い。植物や昆虫がいつかは地面に栄養となって帰って行き、また豊かな植物が育つ。こうした自然の循環が行われているのがよく分かる。日本列島はほぼ全域で山に覆われているが、同じ山でも四国の山とはかなり違っている。本当に東北の山の豊かさには感心させられる。豊かな山はまた季節ごとに美しさも見せてくれる。甲子川にはもう冬の渡り鳥が来始めている。鮭の遡上防止柵ももう設けられており、おそらくすでに鮭もやって来ているのだろう。住んでいる家のあたりでは川の流れも早く、流れの音も癒しを感じられる。渡りの水鳥たちの多くいる下流では流れも緩やかで、のんびり流れに任せている鳥たちの姿が同じく癒しになる。秋は夕暮れの空もまた癒しと言えるだろう。
市街地で見る夕焼け