釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

表明された再稼働を認めない住民の意志

2016-10-17 19:19:50 | 社会
昨日の新潟県知事選で、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働反対を掲げた野党統一候補が当選した。7月の九州電力川内原発の再稼働に反対する鹿児島県知事の誕生に続く。政官財こぞって原発の再稼働を進めているが、福島第一原発事故以来、原発を抱える地元住民は原発の安全性への不信を感じ取っている。安全性より経済性を優先して来た推進派の姿勢も住民には見えて来た。柏崎刈羽原発は7基の原発合わせて821.2万kWの出力を持つ世界最大の原発だ。現在日本には43基の原発があり、そのうち稼働中の原発は川内原発1号機・2号機と伊方原発3号機の3基である。福島第一原発事故を契機に世界的に脱原発の機運が高まり、日本も当初は脱原発に方向転換するかに見えたが、その後、一気に再稼働に走った。もっとも真剣に脱原発に舵を切ったのはドイツであった。ドイツは現在原発を8基までに減らしている。米国やフランスなど日本よりも保有原発の多い国々さえ原発の比重を減らして来ている。一人日本だけが原発に邁進している。あれだけの大事故を起こしながらである。巨大地震や火山噴火の歴史を無視して、原発を全国展開した推進派は福島の教訓を何ら考慮せず、安易な審査のまま再び稼働に向けて、地道を上げている。東京電力は柏崎刈羽原発の再稼働に向けて、4700億円を安全対策工事に投じている。海抜15mの防潮堤や火災の延焼被害を防ぐ全長4Kmの防火帯、代替電源や冷却システムのほか、放射性物質を除去するフィルターを備えた排気設備など。廃炉や損害賠償の費用が拡大する中で、東京電力にとって、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働は最大で年2400億円の収益改善効果をもたらし、再稼働は社運をかける重要事項だ。しかし、柏崎刈羽原発は2007年7月16日のM6.8の新潟県中越沖地震で火災事故と放射線漏れ事故を起こしている。その記憶は住民にもまだ消えてはいない。2014年8月26日政府の有識者検討会では日本海の大地震で最大23mの津波が発生し得るとの調査報告書を公表している。しかも、日本海の地震は断層が陸地に近く、数分で津波が到達する場所が多く、また、太平洋側で起こる同規模の地震に比べて海底の隆起や沈降が大きく、津波が高くなりやすいと言う。通常はこうしたデータが示されれば、安全対策は何割か増しで、講じられるが、原発の場合はむしろ過少な対策しか取られていない。我が身に降りかかるかも知れない被害に住民が真剣になるのは当然だ。ひたすら再稼働を推進している政府も2度にわたって地元住民に再稼働反対を示されてしまった。
夕暮れの常盤山査子(ときわさんざし)