釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

官僚たちの独走が加速する

2013-11-28 19:13:50 | 社会
今朝は空全体を雲が覆い、愛染山も見えなかったが、昼休み頃から青空が広がって来た。昨夜遅く、2年ほど前に釜石から大阪に移った我が家の雌のホワイト・テリアが亡くなった。獣医も腫瘍に手を打てなかったようだ。9月に亡くなったシェパードと1歳だけ年下だった。小型犬なので寿命には早い。明るく、自分を犬ではなく人のように思っている節のある犬だった。よく慕ってくれたので、シェパード以上に喪失感を感じた。夕方、家族で焼却、納骨している場面を娘がメールで送って来た。 予想通り、一昨日の衆議院本会議で特定秘密保護法案が強行採決された。日本はいつか来た道に突き進んでいる。当日の抗議デモの影にひっそりとノーベル文学賞を受賞した大江健三郎氏が立っていた。日蓮宗の妙法寺の僧侶たちもデモに参加していた。今後、日本では、さらに、国家安全保障会議(日本版NSC)、武器輸出三原則の見直し、集団的自衛権行使を認めるための憲法解釈の見直し、憲法改正へと進んで行く。憲法改正では国防軍が明記され、公式に軍隊を認める形になる。米国の政権内部からさえ危惧されている日本の特定秘密保護法案が十分な審議も行なわず、曖昧な点を多々残して強行に採決されてしまった。毎日新聞によれば、この特定秘密保護法案の骨格はすでに2009年、麻生太郎政権下で内閣官房が秘密保護法制の報告書として検討していたものだという。政治家の中では安倍晋三氏は、自ら米国を訪れた際、「軍国主義者」だと言うだけあって、最も戦前回帰志向が強い一人だろう。しかし、これらの流れで最も危惧されるのは官僚の独走である。こうした流れのお膳立てはすべて官僚が行なっており、偶然、政権についた政治家が同じ志向である時に、一気に、その流れが表へ出されているだけであり、背後の官僚の思惑こそが最も重大である。一連の法が改定されれば、官僚の裁量権は大幅に拡大され、しかも、公表されることがない。まさに、戦前と同じことが進行し得る。今日の共同通信は「陸自、独断で海外情報活動/首相や防衛相に知らせず/文民統制を逸脱/民主国家の根幹脅かす」と題して、「陸上自衛隊の秘密情報部隊「陸上幕僚監部運用支援・情報部別班」(別班)が、冷戦時代から首相や防衛相(防衛庁長官)に知らせず、独断でロシア、中国、韓国、東欧などに拠点を設け、身分を偽装した自衛官に情報活動をさせてきた」ことを報じている。文民統制の効かない事態はすでに始まっている。現在の法規上はこうした活動は本来の自衛隊の在り方から大きく逸脱するものだ。現実は、現在の自衛隊は世界各国の軍隊と比較しても、もう立派な軍隊としての装備を持っており、憲法をなし崩しにして、軍隊に変容させてしまっている。その軍隊からすれば、国外での情報活動は当たり前の行動となるのだろう。しかし、問題は、こうした活動を自衛隊内部だけで密かに行なっていたことであり、政府が把握していなかったことである。こうした事態は特定秘密保護法案の成立、国家安全保障会議(日本版NSC)の設置により、ますます拡大して行くだろう。政治家のコントロールのないところで、官僚たちが独自の活動を行えるよう認めてしまったのだ。何が秘密で、どんな活動をしているかさえが、政治家にも分からないという事態になってしまった。政府批判を続けて来たあるブロッガーは特定秘密保護法案の成立を機に、ブログを閉じてしまった。戦前の治安維持法以上に悪法だと言われる特定秘密保護法案が衆議院を通過したことに衝撃と危惧を覚えたのだろう。日本はもはや確実に民主主義が崩壊したと言えるだろう。そして、いつの日にか、現在を機に日本が大きく舵を切ったことを後悔する日が訪れるだろう。かっての軍国主義はドイツでも日本でも経済的な低迷状態の中で芽を出して来た。そして、メディアが本来の役割を放棄した状態も同じである。歴史はまさに繰り返されている。
今日の八幡神社のモミジ