釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

猫の祖先たち

2013-11-19 19:11:04 | 自然
今朝は久しぶりに小雨が降っていた。午前中わずかに日が射したが、昼にはまた小雨が降った。昼休みに甲子川沿いから八幡神社へ行ってみた。オナガガモなど渡りの水鳥たちが来ていた。八幡神社のモミジも少し色付き始めて来た。ここも表面はもう紅くなって来ている。しかし、大樹の下から見上げるとまだまだ緑の葉が多い。この木は毎年釜石でも紅葉が最も遅く、例年は12月初めが見頃だ。 先日、犬の起源が欧州である可能性について書いたが、ネコ科の動物の起源がアジアにある可能性が出て来た。これまでは大型ネコ科動物の最古の化石は380万年前のアフリカの地層で発掘された化石であったが、2010年にチベット高原で発見された大型ネコ科動物の化石が600万年前のものであることが明らかとなった。頭蓋骨と下顎のすべての骨を、現在のネコ科動物の骨と比べた結果、ユキヒョウの祖先であることが分かった。ニューヨークのアメリカ自然史博物館の古生物学者、ジャック・ツェンJack Tseng氏のチームによる研究だ。スウェーデンの自然歴史博物館の、ネコ科動物の化石が専門であるラーシュ・ワーデリンLars Werdelin氏によると、間違いなくユキヒョウの系統であり、何百万年にもわたる堅固な適応性を示している、とする。発掘を行なった化石層ではヤギやカモシカの仲間のチルーやバーラルといった動物の化石も発見され、大型ネコ科動物と共存していたことが分かった。200万年前頃に地球を氷河が覆うようになったが、常に寒冷であったチベット高原で生きていた動物達は氷河期に適応しやすく、その時期にユーラシア全体に広がって行った。2004年に中国甘粛省ではやはり大型ネコ科動物の化石が発見されており、一昨年、250万年前の現在のトラの頭骨に最も近い化石であることが判明している。同じく、中国甘粛省では200万年以上前の現存するチーターの頭蓋骨に似た化石が発見されており、チーターの起源を北アメリカ大陸ではなくユーラシアやアフリカであるとする説を支持する発見となっている。600万年前の大型ネコ科動物の化石がチベット高原で発見されたことで、ヒョウやライオンなど現存のネコ科捕食動物の一部は、チベット高原から台頭した可能性が高くなった。この頃、人の祖先はまだチンパンジーから分かれて間もない頃であり、大型ネコ科動物は脅威であっただろう。まだ集団で武器を持って対抗するには至らなかったはずだ。現在人とともに暮らす猫は13万年前に、中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコが祖先であるとされる。リビアヤマネコは現在もアフリカ北部、中近東、アラル海までの西アジアに生息し、ヨーロッパヤマネコ、ハイイロネコ、アジアヤマネコ、イエネコなどとも近縁になる。ヨーロッパヤマネコもリビアヤマネコも人と暮らす猫と遺伝子的にも形態的にもほとんど差がなく、この3種が分岐したのはさほど遠くない時期であったと考えられている。日本の家猫の最古のものは、2008年に発表された長崎県壱岐市(壱岐島)のカラカミ遺跡で発見された紀元前1世紀頃の弥生時代中期の家猫の骨である。オオヤマネコは日本でも3万年前の縄文時代中期から後期頃まで野生していた。岩手県陸前高田市の中沢浜貝塚でオオヤマネコの下顎骨や牙の縄文時代の装飾品が見つかっている。沖縄県の西表島(いりおもてじま)には日本で唯一のヤマネコであるイリオモテヤマネコが現存している。一方、現存する大型ネコ科動物は7種類いる。タイガー、ライオン、ジャガー、ヒョウ、ユキヒョウ、ピューマ、そしてチーター。タイガーが最も大きい。200万年前の氷河期に大陸から日本列島へも大型ネコ科動物も渡って来ているが、その後、絶滅している。
色付いて来た八幡神社のモミジ