釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

電力不足は再稼働の理由にはならない

2012-04-24 19:22:09 | 文化
昨夜の雨は朝方まで降ったようだが、朝には日も射していて、青空も見えていた。しかし、その後は雲が空を覆うようになった。朝、犬たちが餌を食べている間、庭の山野草を一つ一つ見て歩くと、次々に小さな目を出して来ているのが確認出来た。喜びがこみ上げて来る。冬の状態を見ている限りはとても生きているようには見えなかった。今回の冬は例年になく寒さが厳しかったので芽を出すのも遅かったのだろう。特に、敦盛草(あつもりそう)が気がかりだった。今のところ希少種の北海道礼文島に咲く礼文敦盛草だけが芽を出していない。最も高価な花なので何とか芽を出して欲しいのだが、今朝もじっくりと芽出しが見えないか見てみたが、残念ながら確認出来なかった。敦盛草に似た熊谷草は芽を既に出して日ごとに大きくなって来ている。何種類かの山芍薬もみんな赤紫の芽を出して来てくれている。出勤時には玄関先の大きな杏(あんず)の木でも花が7分方開いていた。梅の花に似ているが、基部が梅よりさらに赤味が強い。写真などだと梅と間違いやすい。昆虫たちがこの花の蜜をたくさん吸ってくれると、やがて実がたくさんなってくれる。現在、国内で唯一稼働している北海道電力泊原発3号機は5月5日から定期検査に入るため、止められてしまう。関西電力大飯原発3、4号機の再稼働が現在のところ決定されていないため、5月6日以降国内の原発稼働はゼロになる。政府や関西電力は何としても大飯原発の再稼働を急ぎたい。しかし、昨年の東京電力福島第一原発事故で明らかになったように、一旦事故が起これば、被害の及ぶ自治体は広範囲になる。以前と状況は大きく変わった。単に原発が立地する自治体の同意だけでは容易に稼働させられなくなった。法律上は立地自治体以外の周辺自治体の意向は無視出来るが、現実的には全く無視するわけには行かなくなった。大飯原発が事故を起こせば、福井県だけに留まらず、滋賀県や京都府も被害を受ける。それらの府県知事は早急な稼働に反対している。大阪府も同様だ。再稼働に向けて必死の関西電力は電力不足を強調した資料を経済産業省に提出した。しかし、16.3%の電力不足を示すその資料では、節電効果を低く見ており、揚水発電や他の自家発電容量などを過小評価しており、大いに問題がある。自民党の河野太郎氏なども自分のブログでこの点を数字を上げて指摘されている。昨年9月の政府見通しでは今年は日本全体で9.2%の電力不足となっていたが、昨日の政府見通しでは日本全体での不足は0.4%に修正された。原子力安全・保安院はこのほど北海道電力の泊原発、福井県にある日本原子力発電の敦賀原発、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」、中国電力の島根原発に対して、活断層が連動した場合、想定される最大の揺れがこれまでより大きくなる可能性があるとして、原発の耐震性への影響の見直しを求めた。同じ福井県にある大飯原発にはそれを求めていない。しかし、「もんじゅ」や大飯原発を含めた若狭湾沿岸部には断層が多数存在する。毎日新聞が調査したところ、原発事故に際し、原発から30Km圏の住民への避難対策がほとんど手つかずの状態であるのが21道府県であることが分かった。一般的な避難手段である自家用車が一斉に動くための大渋滞が予想され、医療施設の患者などの避難もほとんど目処が立っていない。避難を含んだ安全対策が立てられないまま、作為的な資料に基づく電力不足を武器に大飯原発の再稼働を急ぐことはもはや福島第一原発事故を経験した日本では許されないだろう。列島は今、どこで大地震が起きてもおかしくないほどの地殻変動のまっただ中にいる。
雪割草